人が創作をするのは、それが楽しいからです。
創作が楽しい理由とは、自分の欲しい物を生み出したいという欲求と、自分の考えを伝えたい、自分のことを知ってほしいというコミュニケーション欲求のいずれか、あるいは両方を満たせるからです。
人間と他の動物の違いを一言で言うと『創造力』の有無です。
人間だけが、自分のアイディアを具現化して、この世に存在しない物を作り出します。
人類は万里の長城やピラミッドのような巨大建造物から、クラッシク音楽のような無形文化財、チェスなどのゲーム、萌え美少女イラストが付いたライトノベルまで、様々な物を太古の昔から作ってきました。
幼稚園児などは、放っておいても積み木で家を作ったり、クレヨンで落書きしたりします。
生物とは、基本的に快感を感じないことを行おうとはしません。人間は何かを作ること、創造することを楽しいと感じる本能があるのです。
また、他の動物と違って、人間だけが物語を必要とします。
創作とは、この物語を作り出す行為なので、非常に人間的な行動と言えるのです。
以前、ネットで、『創作とは時間を無駄にする極悪趣味だ』という記事を見かけて驚いたことがあります。
これはプロが作ったエンターテイメントをお金を出して買った方がおもしろくて楽だし、創作はお金にならず、努力が無駄になることが多い、という考えです。
確かに現代では、お金を出せば、プロが作った高度な完成品がすぐに手に入ります。ネット上には、おもしろい無料コンテンツが大量にあふれています。
しかし、自分の理想とする物語やキャラクターというのは人それぞれ違うので、それを自分の手で作りだしたくて、二次創作が流行ったり、一から理想の物語を創作するのです。BL好きの腐女子などは、公式では有り得ない自分の理想のカップリングを実現するために二次創作に走り、妄想を具現化するために漫画の腕を磨きます。
ライトノベル作家志望に対して、なぜラノベを書くのですか? という質問をしたスレッドを立てたところ、『二次元美少女とお話したいから!』という返答があって、非常に共感しました。理想の美少女を小説の世界に生み出したいという『創造の喜び』が、その方の原動力になっているのです。
また、創作物を通して、あわよくば多くの人に自分のことを知ってもらいたい、という欲求をクリエーターは持ちます。
例えば、死刑囚の中には、詩や絵、手記を作るようになる者が多く、中には、第19回新日本文学賞を受賞した永山則夫など、プロ作家デビューしてしまった例もあります。なぜ死刑囚が、詩や小説といった創作に目覚めるかというと、自分が生きた証を残したい、自分のことを多くの人に知って欲しいという欲求が、死を目前にして高まるからだと考えられます。
例え、創作物を通してお金を稼いでも、刑務所にいたら満足に使えず、死刑になったらすべて無意味なので、これはコミュニケーション欲求以外の何物でもないでしょう。
ネットが発達してからは、死刑判決を受けた木嶋佳苗被告が、2014年6月2日に動画配信サービス「ニコニコチャンネル」を開設し、そこで有料連載小説を発表するなど、伝えたいという欲求を爆発させています。
(お金を取るのは、お金を払う価値があると認められたいという承認欲求の現れ)
多くの人に自分を知ってもらいたい、認めてもらいたくて創作をするのです。エンターテイメントを消費しているだけでは、他人に自分のことを知ってもらうことは決してできません。
もし創作を続けるのが苦しくなったら、何をこの世に生み出したかったのか、どうすればそれが他人に伝わるのか、原点に立ち返ってみるのが良いでしょう。
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