今やパソコンやケータイで文章を書くのは当たり前となっています。
インターネット上で小説を発表するためにも、文章のデジタルデータ化が必要ですし、プロになっても、デジタルデータでの入稿が求められます。
ここで注意したいのが、パソコンで文章を書く場合は、他人とデータの受け渡しをすることを前提に考えなければならない、ということです。
その際、マイクロソフトの『Microsoft Word』で作成されたデータの受け渡しは、あまり薦められません。
『Word』は広く普及した文書作成ソフト(ワープロソフト)です。このため、文書作成というと必ず『Word』を使っている人は少なくありません。
でも、ここで大きな問題が3つあります。
1・Wordは高額なソフトです。
2・全てのパソコンにインストールされているとは限らず、他人とデータの受け渡しをする際、相手のパソコンにWordが入っていなければ、開いて内容を見ることができません。
3・Wordは元々が英文作成機能に特化したソフトであり、日本語作成には向いていません。
2の問題への対策として、『Word』で作られたファイルの中身を見ることのできるフリーソフトが配布されています。
また、あまりに高額なMS-Officeソフトに対抗して、研究機関の有志がボランティアで『Open Office』と言う、MS-Officeとほぼ同程度の機能と互換性を持つフリーソフトを開発・配布しています。
しかし、これらの存在を知らなければ、Wordのファイルを開くことができません。ファイルを渡す相手に、これらのソフトをインストールしてもらうようお願いする必要があります。
また、Wordは本来、英語の文書を作成するために開発されたソフトです。日本では、これを日本語の作成もできるように改造して出している訳です。
そのため、開発コンセプトとして日本語文書作成のためだけに作られた『一太郎』などとに比べると、使い勝手が悪い点があります。
そもそも小説を書くのにWordのような高機能な文書作成ソフトは必要でしょうか?
Wordは文字の色や大きさなどを変えられたり、図や画像を挿入できたりしますが、、小説を書く場合は、このような機能は煩雑なだけで、特に必要ないと言えるでしょう。ネット上の小説投稿サイトに小説をアップする場合でも、色や文字の大きさまで指定することは通常できませんし、よっぽど考えてやらないと可読性も逆に悪くなります。
以上のことから、小説を書く場合は、テキストエディタで行なった方が便利です。
ここで言う「テキスト」とは、文字コードのみのデータです。もっとも簡単で基本的なデータ形式です。
例えどのようなパソコンであっても、基本となるデータ形式はテキスト(.txt)です。このため、いろいろなソフトで開くことができ、互換性が高く、データの受け渡しに向いています。
テキストエディタは、この「テキスト」を編集するためのソフトです。
もともとテキストエディタの開発された理由は、プログラミングのためでした。
長時間、延々と文字を入力することを想定して開発されたソフトです。起動や動作が軽く、パソコンに負担をかけないのもエディタの特徴です。
Windowsパソコンなら、メモ帳という非常にシンプルなテキストエディタが必ず入っています。シンプルなので操作がとても簡単で、パソコン初心者でも使いやすいです。
Macにもテキストエディタが最初から入っています。ただし、基本設定だとリッチテキストエディタとなっており、Web上の文章をコピペすると文字の大きさや色などが、そのまま持ってこられてしまうので煩わしいです。参考資料などを調べて、コピペするのには向いていません。
環境設定で「標準テキスト」に変更すると、Windowsのメモ帳と同じ感覚で使えるようになります。
他人との文書データの受け渡しを行う際は、Word文書ではなく、テキストファイルで渡すのが良いです。
私は本を5冊ほど出版していますが、編集者さんとの遣り取りはすべて、テキストファイルで行ないました。最初、編集者さんから送られてきた修正が入った原稿はWordファイルだったのですが、私のパソコンにはWordが入っていなかっため、テキストファイルでの遣り取りに変更してもらいました。
それで仕事の進行に支障が起こったことはありません。
完成版の本に、4倍角やフォントの変更など、特殊な表記を使いたい場合は、《 》のような特別でわかりやすい括弧記号を使い、その中に特殊表記の指定をしておけば大丈夫です。データを渡された方も特殊な括弧記号を使ってくれれば、検索や置換をしやすくなります。
ラノベ新人賞の中には、ファンタジア大賞のように紙ではなく、テキストデータ(.txt)で原稿を応募するように指定しているところもあります。こういった新人賞を狙う場合にも、、テキストエディタで小説を書いたほうが良いでしょう。
ただ、AmazonのKindleで電子書籍を出版したい場合には、Wordで小説を書くのも良いです。
Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)はWordのファイル形式をサポートしているので、WordファイルをそのままKDPにアップすれば電子書籍が作れます。
また、MFJラ文庫ライトノベル新人賞の公式サイトでは、1ページ40文字×34行という応募原稿の書式に合ったWord原稿の見本がダウンロードでき、そのまま原稿執筆と印刷に役立てられるようになっています(2013年11月現在)。
Wordは、ラノベ新人賞が指定する応募原稿の書式通りの原稿を印刷するのに向いています。テキストエディタは文章を書くのには便利ですが、1ページの行数と行の文字数を細かく設定することができず原稿の印刷には不向きです。
小説を書くのはテキストエディタで行い、印刷するのはWordや一太郎といったワープロソフトを使うのがベストと言えるでしょう。
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