早期教育の危険性

新生児の脳の重さは誕生から最初の3年間で約3倍以上に増えるから、このころまでに学習して脳に刺激を与えれば、効果が高いと言われています。
そこで「幼稚園では遅すぎる」という言葉が早期教育ブームに火を付けました。一時期、子供がまだ赤ん坊のうちから、英語などを習わせる早期教育が盛んになったのです。

でもこれはちょっと危険なようですね。脳にはシナプスという脳細胞同士を繋ぐ連絡網があります。「シナプスの過形成と刈り込み」といって、脳にはシナプスの量を多めに形成し、後で不要なシナプスを刈り込むというシステムが存在しているのです。『赤ちゃんと脳科学』という本によると、

過度な刺激を与えすぎると、シナプスの刈り込みに支障を来たし、脳のシステムのバランスが崩れてしまうというのです。

例えば、私たちはふだん日本語を使って物を考えていますよね。「昨日は魚を食べたから、今晩の食事は肉にしよう」とか。あのスーパーは日曜日になると割引セールをするから、日曜に買いだめしよう」とか。
このように思考するとき英語を使ったりはしないはずです。でも、言語習得の臨界期となる小学生までに、日本語と英語の二重言語で生活すると、日本語が母国語だというアイデンティティーが確立できなくなるのです。
つまり、どちらの言語で思考したら良いか混乱するようになってしまい、物事を深く考えることが難しくなるのですね。言葉は思考の道具であり、母国語が確固としていないと、思考能力が身に付かないのです。

最近の脳科学、発達行動学の知見により早期教育ではなく、「普通の育児」が大切であることがわかってきています。


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