ライトノベル作法研究所
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  5. ミケの一生公開日:2013年12月31日

ミケの一生

e-honさん著作

ジャンル: 猫視点・悲劇

 よく晴れた夏の日。
 河原には気持ちのいい風が吹いていて、空は抜けるように青かった。
「じゃあ仲良く留守番してるんだよ。すぐに帰ってくるからね」
 母さんはお昼になると食料調達に出かけて行く。
 取ってくるものは様々だったけど、この日は魚の骨を取ってくると言っていた。
 魚の骨は僕らの大好物だ。
 僕と兄ちゃんは母さんが食料調達に行く間、河原の橋の下の段ボール箱の中で待っている。
 僕と兄ちゃんが毛づくろいしながら母さんの帰りを待っていると、外が騒がしくなってきた。
「おい、ネコがそっちに逃げたぞ!」
「逃がすな! 捕まえろ!」
 ネコという言葉で僕と兄ちゃんは段ボール箱から飛び出し、橋の下からそっと河原の方を見た。
 母さんが二人の子供に追われていた。
 子供に追いかけられながら、石を投げつけられている。
 母さんの身体に大きな石が当たったのが見えた。母さんは苦しそうな顔になるが、それでも魚の骨を放さずに懸命に駆けている。
 どうしてあんなひどいことするんだ。
 母さんが河原の草むらに逃げ込むと、子供たちは母さんを見失ったようで、不満そうな顔で引き返していった。
 母さんが橋の下に辿り着いた時には出血が酷く、ぐったりとしてしゃべることもままならなかった。
 僕たちにはどうすることもできなかった。
数時間後、母さんは僕たちをのこして橋の下で息を引きとった。
 僕たちは泣きながら母さんの取ってきた魚の骨をむさぼった。

 僕たちは餌の見つけ方が下手だった。
 何日も経たないうちに空腹に苛まされるようになった。
「あらまあ。そんなに痩せちまって。ほら、これをお食べ」
 段ボール箱の中でのびている僕らを見つけて餌をくれたのは人間のおばあちゃんだった。
 人間は大嫌いだったから最初は餌を貰うのを拒んでいたけれど、飢えには敵わず、三日目にして僕も兄ちゃんも餌を食べてしまった。
 その人はそれから毎日餌を持ってきてくれた。
 そのうち僕たちはばあちゃんに心を許すようになっていった。
 一緒に河原を駆け回ったり、ひなたぼっこをしたりした。
 ばあちゃんは僕たちを心の底からかわいがってくれた。
 ばあちゃんは兄ちゃんにニケ、僕にミケという名前をつけてくれた。
 僕たちはばあちゃんの家で一緒に暮らすようになった。
 ばあちゃんの家は藁ぶき屋根の一軒家でよく風の通る、居心地のいい家だった。
 僕たちにもう一人の親ができた。

 半年経った頃、ばあちゃんの孫が訪ねてきた。
 その日、ばあちゃんは朝からうきうきしていた。孫に会うのが楽しみで仕方ない様子だった。
 僕たちも遊び相手が増えることを楽しみにしていた。
 けれど孫の顔を見て僕も兄ちゃんも目を丸めた。
「おい、あいつに見覚えあるよな」
 兄ちゃんは厳しい目で言う。
「うん。忘れたことなんてないよ」
 僕は答える。
 その男の子は僕たちの母さんに石を投げつけた男の子の一人だった。
「あのばあさんは母さんを殺した奴の家族だったのか……」
 兄ちゃんはメラメラと眼を燃やした。
 死んでいく母さんの顔が頭に浮かび、僕もはらわたが煮えくりかえっていた。

 その日から僕たちはばあちゃんと距離を置くようになった。
 家を出て行くことも考えたけれど、餌に困るのでそれはできなかった。
「ニケとミケ、こっちにおいで」
 ばあちゃんはよく僕たちのことを呼んでいたけれど、僕たちは知らん顔で縁側に居座った。
 ばあちゃんが近付いてくれば縁の下に逃げ込んだ。
 最初はばあちゃんも不思議がっていたけど、そういうもんだと受け入れたようだった。
「嫌われちゃったかいね」
 と、よく呟いていた。
 そうなってからもばあちゃんは相変わらず僕たちの名前をよく呼んでいたけれど、僕たちがそれに答えたことはなかった。

 それから一年ばかり経つと、ばあちゃんは一日の殆どを寝床で過ごすようになった。
 ばあちゃんは日に日に具合が悪くなっていった。
「ニケとミケ、こっちにおいで」
 時折布団の中からばあちゃんは僕たちのことを呼んだけど、相変わらず僕たちはばあちゃんの方に行こうとはしなかった。
 縁側からただばあちゃんの方を見つめているだけだった。
 そんな時ばあちゃんはいつも寂しそうに笑っていた。

 ばあちゃんの孫の太郎はよくばあちゃんの世話をしにきた。
 あんな冷酷な奴でも自分のばあちゃんは大切なようだ。
 僕と兄ちゃんは太郎が大嫌いだったから、太郎が家にきた時には話が聞こえないところまで遠ざかっていた。
 だから話の内容はわからなかったけど、二人はいつも楽しそうに話をしていた。

 ばあちゃんが死んだのはそれから間もなくのことだった。
 親族が皆ばあちゃんの家に集まってきた。
 その中には太郎もいた。
 太郎は顔が崩れるんじゃないかってくらいぼろぼろ泣いていた。
 僕たちの母さんが死んだ時、僕も兄ちゃんもあんな顔で泣いていたっけ。
「太郎のやつざまあみやがれ。せいせいしたぜ」
 兄ちゃんは僕の隣で小さな声で言った。
 僕も太郎の泣き顔を見て、胸の内がスッとするのを覚えた。

 その日の夜、トイレに起きると、兄ちゃんがばあちゃんの遺影の前にちょこんと座っているのが見えた。
 暗がりの中、石像のように動かずに遺影の方をじっと見つめている。
 いつだったか、ばあちゃんが寝込むようになった後の冬の日。
 夜寝ている時にばあちゃんが布団をはいでしまっていたことがあった。
 高齢者は風邪を引けば死ぬこともあると知っていながら、僕はどうしていいかわからなかった。
 自分がどうしたいのかもわからなかった。
 そんな時、兄ちゃんはむくりと起き上がってばあちゃんに布団をかけ直してやっていたのを思い出した。
 兄ちゃんは今、ばあちゃんの遺影を見つめてなにを思っているんだろうか。
 僕自身、ばあちゃんが死んで本当によかったと思っているのだろうか。
 ばあちゃんが死んで――。
 そこまで考えるとなぜか涙がとまらなくなった。

 ばあちゃんの葬儀が終わると、僕たちは太郎の家に引き取られることになった。
 太郎の家はマンションの7階だった。
 ずっと家の中の生活が始まった。
 僕も兄ちゃんも太郎にはなつかなかった。
 もちろん太郎の家族にも。
 さわられた時には爪で反撃した。
 太郎はじゃれていると思っていたようで、腹が立った。
 ご飯の時だけは体をさわることを許した。
 僕たちにとってご飯をもらえるのがありがたいことだったのは間違いなかった。

 やがて小学生だった太郎は高校生になり、僕たちは年寄りになった。
 そんな中で兄ちゃんは体調を崩した。
 食欲もなくなり、みるみる痩せ細っていった。
「俺が死ねば太郎は悲しむ。俺が死んだ時にはざまあみろって太郎のこと笑ってやれよ」
 兄ちゃんは得意のキザな笑みで言った。
 兄ちゃんが死んだ時、太郎は泣いていた。
 僕は号泣していた。
 笑うことなんてこれっぽっちもできなかった。

 やがて僕の番になった。
 兄ちゃんと全く同じ症状だった。
 もう間もなくという時になる。
 太郎は僕を膝の上に乗せて、僕の顔を見ながら涙をこぼしていた。
 もうすぐ太郎ともお別れだ。
 母さんのかたきなのに、なぜかちょっと寂しいと感じた。
 長い間一緒に暮らしてきたからだろうか。
 だけど死ぬのは怖くなかった。
 向こうに行けば母さんや兄ちゃんに会えるからだ。
 ばあちゃんと兄ちゃんは向こうでは仲良くやっているだろうか。
 きっと仲良くやっているように思えた。
 もし向こうに太郎がきたら、その時は太郎とも一緒に遊べるかもしれない。
 僕の視界はだんだんぼやけていった。

作者コメント

短い枚数でどれだけ心情の変化を書けるかやってみたかったので書いてみました。
質問板で議論されていることも試してみたかったので、感想いただけると喜びます(^O^)

2013年12月31日(火)15時28分 公開

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感想

みうらさんの意見 +40点2013年12月31日

こんにちは。
みうらと申します。
拝読しました。

好きになったおばあちゃんが仇の血縁だったという複雑でドラマチックな展開。読みながら、許すのか許さないのか気になりました。最終的に許さないまま終わってしまうわけですが、お兄ちゃんが遺影をじっと見ていたり、夜おばあさんがはいでしまった布団を直してやっていたり、憾みだけじゃない感情が伝わってきます。

文章が読みやすく、書きすぎ書かなすぎというところも無く、実に達者で読ませられました。
勉強になりました。
ありがとうございます。

では、失礼します。

美波さんの意見 +40点2013年12月31日

先程はご感想をありがとうございました。
作品を拝読しましたので、感想を残させていただきます。

とても良かったです!最後までミケの心情が描かれていて感動しました。
猫視点のお話というのも面白いですし、作品のファンになりました。

次回作も楽しみにしています。

あまくささんの意見 +20点2014年01月01日

あけましておめでとうございます。
拝読しましたので、感想を書かせていただきます。

>短い枚数でどれだけ心情の変化を書けるかやってみたかったので書いてみました。

 そこは、よく書けていたのではないかと思います。
 うまいと思ったのは、猫を兄弟にしたところ。人間への愛憎を語り手のミケは兄と共有はしていますが、1歩引いて見ているところもあるんですね。そこから、ニケが憎まれ口をききながらばあちゃんに布団をかけ直してやっていたというような描写が可能になり、心情の描き方に客観性が加えられていたように感じました。

 猫たちが最後まで太郎をゆるさなかったのも、よい踏みとどまりだったと思います。この尺で安易な和解をラストに用意すると、予定調和的な印象を読者に与えかねないでしょう。
 それでいて、1行だけ救いを入れていらっしゃいました。

>もし向こうに太郎がきたら、その時は太郎とも一緒に遊べるかもしれない。

 微妙な匙加減ですが、個人的には最善手に近い着地点かなと思いました。


 次に、少し物足りなく感じたことも書いておきます。
 上述のように、心情の微妙なあやや推移はよく書けていたと思うものの、全体に想定の範囲内という感じで意外性はありませんでした。
 短いストーリーであっても、どこか一つ波を起こさないと読み終えてあまり印象に残らない気がします。

 それから文章は読みやすく整って、テンポも良かったと思うのですが。
 いくぶん気になる点も無くはなかったので、一応指摘しておきます。ただ、以下の諸点はさほどのキズではないと思いますから、あまり気になさらないでください。参考程度です。

>数時間後、母さんは僕たちをのこして橋の下で息を引きとった。

 ケアレスミスだと思いますが、字下げされていませんでした。

>ばあちゃんは僕たちを心の底からかわいがってくれた。

 一人称なので、ばあちゃんについて「心の底」とあるのは、やや違和感。

>ばあちゃんの家は藁ぶき屋根の一軒家でよく風の通る、居心地のいい家だった。

 河原に段ボール箱が転がっている時代。藁ぶき屋根の家は地方にはまったく無くはないかもしれませんが、民家としては珍しいのではないでしょうか? 藁ぶき(茅ぶき)屋根というのは補修や葺き替えがかなり大変なので、庶民の家として維持するのは現実的ではないと聞いたことがあります(昔は、村の共同作業としてやっていたらしい)。

>けれど孫の顔を見て僕も兄ちゃんも目を丸めた。

 目を丸くしたとは言いますが、目を丸めたとはあまり言わない気がします。

>僕たちの母さんが死んだ時、僕も兄ちゃんもあんな顔で泣いていたっけ。

 兄の泣き顔は見えても、自分の泣き顔は見えないはず。これも、一人称における視点の問題ですね。


 このくらいでしょうか。
 先にも書きましたがどちらかというと瑣末なことばかりではありますから、よしなに取捨選択してください。


 それでは。執筆お疲れ様でした。

えんさんの意見 +10点2014年01月01日

こんにちは~はじめまして。

拝読しました~。

猫は好きなんですけど、なんか作品中の猫が猫らしくなかった気がします~。

(泣いた、とか。無粋なツッコミだとは思うのですが)

感動的な話にするのならおばあちゃんや孫との関係をもっと丁寧に書いたほうが良いかも。

あまりにも駆け足だった気がします。

短編くらいの長さで読みたかったです。

でわでわ

デルティックさんの意見 +20点2014年01月01日

どうも、拝読させて頂きました。
デルティックです。

子猫の感情の変化がよく描かれていると思います。
作中内で提示されている情報には過不足なく最適なバランスだったように思えました。

ですが惜しいのは、あまりにも淡々と語られるので感情移入は出来なかった事です。
これは猫を擬人化してある都合もありますし、猫の立場での感情表現をどうするのか?
という問題もありますので、一概に淡々とした描写が悪い訳ではないのですが、作中内での展開と感情の揺れは描かれていたので、もっと入り込めたらな。
という私の願望に近いモノですね。

特に一人称を使う場合は如何に感情移入させるかが大事な所だと思っているので、文脈から「僕」の心情をもっと感情的に込めても良かったのかな? とは感じました。

まあ、そうは書きましたが、本作の場合は作品の雰囲気の兼ね合いもありますので難しい所ではあると思います。

あくまで私、個人の感想ですので、他の方の意見も見つつ参考程度で扱って下さい。

それでは、お疲れ様でした。

遠藤亨さんの意見 +40点2014年01月01日

はじめまして、拝読しました。
感想を残しますね。

初見の感想としてはすごい教科書な印象です。
ごんぎつねを思い出しました。
皆さんの言うようにこの枚数では足りていないように思います。
特に青年期は全てカットされています。
ですが心情の変化という点では書く部分はしっかり書かれていたと思います。
執筆お疲れさまでした。

ヒュンケルさんの意見 +40点2014年01月01日

お初です。拝見しました。

猫の一人称、いいっすねえ。
ミケ君に思わず涙涙。
動物物は弱いです。
親の敵は許さないままという構成も気に入りました。
青年期。確かにそこの書き込みは欲しかった。
執筆お疲れ様です。

橋本家さんの意見 +20点2014年01月01日

はじめまして、橋本家と申します。読ませていただいたので、感想を残させていただきます。

話としてはベタだと思います。ベタな作品は丁寧に描かなければ、読者が飽きてしまうといったこともあると思いますが、この作品は文章が柔らかで「猫らしさ」があり、突っ掛ることなく読むことが出来ました。必要以上の情景描写がなかったのも良さだと思います。

作者様のコメントにもある心情変化も良く、主人公の葛藤が深刻に伝わっていました。

この作品では情景描写はあまり書きすぎると蛇足になってしまうので、次はそこに力を入れた作品も読んでみたいと感じました。

それでは、失礼いたします。

高山ゆうやさんの意見 +40点2014年01月01日

こんばんわ、高山ゆうやと申します。作品拝読させていただきました。

「歳を重ねるごとに変化する、心の葛藤」がよく現れていてよかったと思います。
ねこ視点と言うのは難しいと思いますが、素直に楽しむことが出来ました。

読んでいてとても勉強になりました。では、またの機会によろしくお願い申し上げます。

ささみの刺身さんの意見 +10点2014年01月01日

こんばんは。作品読ませていただきました。

なんだかやけに景気いい点数ですね。少し前はここ、マイナス点投下魔が出没してたのに……。
あまりにも高得点だったんで低評価入れると角立つかなと思って感想を控えてたんですが、これはもう高得点入りほぼ確定でしょうし遠慮なくいきます。

前置きが長くなりました。

話は面白かったと思います。出来事の密度が濃く、山も谷も緩やかながらあったので飽きませんでした。
気になったのは二点。
まず文章。
なんだか淡々としすぎていてあまり感情移入できませんでした。とくに後半ですね。出来事の羅列が続き、日記を飛び飛びに読んでいる感覚でした。それに関連して、『~た』で終わる文が多かったように感じました。個人的にここは気になるところ。
二つ目は、一人称にしているせいで獣らしさが薄れていたことです。
夜トイレに起きるとか、悲しいときに泣く、というように、やけに人間くさいなぁ、と。獣ってもっとドライなイメージがあるのでちょっと違和感がありました。

そんな感じです。
ライトノベルの掌編ってこういう作品の方がウケいいんですかね……うーん、よくわからん!
では、失礼しました。

未来さんの意見 +20点2014年01月02日

どうもです。新人ですが感想を述べさせていただくことをお許しください。
猫を主人公にするっていうアイディアが斬新でいいと思います。
そして、細かい心理描写がとてもいいと思いました。
時が経つにつれての主人公たちの心境の変化が良く描かれていると思います。
最後に、何か上から目線の感想になっているかもしれません。
その時は、すいません。

たまさんの意見 +20点2014年01月02日

読ませていただきました。

きちんと書かれた物語だと思います。
親を理不尽な形で奪われて、それでも生きていかなくてはならない。
御作で素晴らしいと感じたのは、命を奪った相手と生きていく部分を
下手に流したりせずに書き切ったところです。
猫視点からの描写も心情に訴えかけるものがあったと思います。

初見ではミケの話に没入していたので、それほど気になりませんでしたが
後半にいくほど、次第に猫らしさが失われていったのは気になりました。

これはミケの視点から描かれた物語なので、できればという要望になるのですが、
肝心の憎き相手である太郎の心情変化が見えづらかった事でしょうか。

善悪の判断が付かず、面白いかどうかで物事を決めがちな幼少時に猫をいじめていたのは分かります。
けれどもそれがなぜ、いつの間にか猫の世話をし、涙を流すまでになったのか。
何か、太郎の方で心情の変化があったのでしょうか。

じるさんの意見 +10点2014年01月02日

拝読しました。

お母さんを殺した子供が、おばあちゃんの孫だと分かった時に再び人間を嫌いになるのは分かります。
ですが、餌に困るから出て行かないってのは言い訳じみているというか、理由としては弱いと思います。
しかもおばあちゃんが亡くなり、親の仇と一緒に暮らす事になった時でさえ、餌が貰えるからという理由でそこに留まっています。
前者は未だしも、後者は理解出来ません。そこまでしてさえ大嫌いな人間に頼って生きていく理由が分かりませんでした。

例えば猫ではなく群れで行動している動物が、中途半端に人間との生活を続けて匂いが付いてしまい、野生に帰る事も出来ない。とかならまだ納得いくかなと思いました。

ラスタさんの意見 +20点2014年01月02日

どうも
ラスタです
感想を頂いたので感想返しに参りました

面白かったです
とても感動させられるお話でした

感想を見返したところ文章が淡々としていたという意見が多いと感じました
私も同感です
千円札にもなった夏目漱石大先生も猫の一生に関してあれだけの頁で表現したわけですから、この猫の半生を原稿用紙8枚で書ききるのは難しかろうと思います
それでシンプルな文章になってしまったのではないかなと
出来れば短編以上で読みたかったです

いやぁー、こういう感動話には弱くて……
ちょっと涙が出そうになりました
この猫たちの何とも言えない猫生(人生みたいな)と太郎君との関係が心にぐっときましたね
良い作品でした

感想に不備等ありましたら申し訳ありません
私は素人ですので間違ったことを言っているかもしれません
ご容赦ください

ではでは、次回作も期待しております。

海老坂さんの意見 +10点2014年01月02日

 こんにちは。海老坂です。

 感動できるようなお話だったのですが、そこまで心が盛り上がらなかったのが正直なところでした。
 自分がそのように思った理由は、太郎がいまいちお話に絡みきれなかったからと考えます。

 親殺しの太郎(とその家族)に対して猫の兄弟がどのように心情変化するのかがこのお話を楽しむポイントだと思います。それについてお婆ちゃんでは上手く書けていると感じました。親殺しの家族だけど自分たちの命の恩人であり、憎らしいけれど愛おしく想っていた感情は読んでいて感動するものでした。
 しかし太郎についてはその印象が薄かったです。
 そのため最後の展開もどこか感動しきれなかったです。お婆ちゃんについては丁寧に心情変化なりを書いているのですが、太郎についてはダイジェスト気味な展開だったのが問題なのかなと。太郎もまたお婆ちゃんと同じように猫の兄弟を大事に思い、そんな彼らも(自身は認めないながらも)太郎に対して憎しみとは違った感情が芽生えていたと思います。それをもっと丁寧に描写してほしかったです。そうすれば最後の展開もお婆ちゃんの時と同じように感動していたかと思います。
 ……ここまで書いて、たま様が先に簡潔にご指摘なさっていることに気づきました。長々書いていますが、同じようなことを感じたと捉えていただければ幸いです。

 文章について、一人称なのに淡々としているという印象は自分も持ちましたが、これはこれで人間らしくない味があっていいのかなとも思います。好き嫌いが出る書き方だなとも思いますが。

 短い枚数の中での心情の変化はよく書けていたと思います。できれば太郎についてももうひと頑張りしてお互いの心情変化をしっかり書ききってほしかったです。

 点数はこのようにつけさせていただきました。太郎についての心情変化が書かれていればさらに+10点だったかなと。高得点が並んでいるので少し気後れしましたが、読後にすぐ思った点数がこんな感じだったので。

 感想は以上です。執筆お疲れ様でした。

樹思杏さんの意見 +20点2014年01月03日

 こんばんは。樹思杏と申します。
 先日は拙作に感想をいただいてありがとうございます。
 感想返しが遅くなってしまい、申し訳ありません。大変多くの感想が入っていて今さらという感じで恐縮ですが、面白く読ませていただきました。

 読みやすい文章で、淡々とした調子も私は好みでした。
 最後の終わり方のさじ加減も絶妙だと思います。ハッピーエンドにしすぎると胡散臭くなりますし、かといってバッドエンドでは後味が悪い。この終わり方が一番良かったと思いました。
 気になった点を挙げるとすれば、他の方のご意見にもありましたが、太郎の心情変化が分かりにくいということくらいでしょうか。

 次回作も楽しみにしています。