高得点作品掲載所     紅供(くく)さん 著作  | トップへ戻る | 


言葉遊びの帰り道。

「ねぇ、『まんじゅうこわい』って知ってる?」
 いつもの帰り道、一人の高校生、千秋が楽しそうに言った。
「え……なにそれ。糖分恐怖症の人の言葉?」
 千秋の言葉に、面倒くさそうに答えたのは、幼馴染の同級生である浩太だった。
「ちっがうよ! 落語の話! えっとね、なんか「まんじゅうこわい」って周りの人に言いまくってたら、大好きなおまんじゅうが貰えたよ! みたいな話」
「……千秋の説明はいつもわかりにくいな」
 一つため息をついて、浩太は言った。
「そんなことないよ! こうみえて文系だよ!」
「じゃあ、前に言った『天衣無縫』の意味をもっかい説明してみ?」
「えっと、天女は肌が弱く、すこしの糸でもかぶれてしまうため、衣をつけず、つねに真っ裸って意味じゃなかったっけ?」
「正しくは、無邪気な人柄で、飾り気がないことだよ」
「おお! まるで私みたい!」
「自分で言うなよ」
「そういう、自分のことを褒めるのを『自転と公転』っていうんだよね?」
「それをいうなら『自画自賛』」
 浩太は少し笑いながら目を細めた。
 千秋の会話の意図を浩太は、まったくもって理解できなかった。昨日までは食べ物の話くらいしかしないのに、今日に限っては、思いついたまま話しているようだった。
 何かのタイミングを窺うように。
まだ何か話したそうにしているので、浩太は少し待ってみることにした。
「ねぇ浩太。このあいださ、女の子に呼び出されてたよね?」
 千秋はゆっくり言葉を選ぶように言った。
 選ぶといっても、結構ストレートに聞いているのは千秋の性格だ。
「ああ。そうだよ? なんでそんなこと聞くの?」
「ち、ちょっと気になって」
 そこから千秋は言葉を続けようとしなかった。
 少しの、沈黙。
 しびれをきらして浩太は千秋に呼び掛ける。
「千秋……?」
「あ、あのね! 私『まんじゅうこわい』以外にも色々覚えたんだよ!」
 浩太の言葉にかぶせるように、千秋は話題を変えた。
 少しの違和感を感じるが、浩太は気にしないことにした。
「何を覚えたの?」
「えっとね、百人一首! ええっとなんだっけ」
「百人一首? なぜいまさら覚えるようとするんだよ……」
「いいの。『まんじゅうこわい』すら知らない浩太は絶対知らないよ。ええっとね、『浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき』……どうでしょう?」
「なぜその首をピンポイントで覚えたのかは知らないけど、僕も一首知ってる たしか 『風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を おもふころかな』だったはず」
 千秋は少しポカンとした顔をした後、眉をひそめ首をかしげた。
「なんか痛そうな歌だね。岩うつ波ってすっごく痛そう……」
「ある意味痛い歌かな? それにしても、さっきから、どうした? 今日は何か千秋らしくない」
 千秋は笑顔を一転して、口を結ぶ。
 浩太は千秋の行動に一層首をひねった。
 またの沈黙を、今度は千秋が破る。
「お、女の子に……」
「?……。女の子に?」
 千秋は小さく深呼吸して、浩太に聞く。
「告白されたの?」
 浩太は目を見開いて千秋を見る。
 千秋は、眉尻を下げながら、浩太の方を覗きこんでいた。
「されたよ」
 浩太は少したってから、千秋に答えた。
「けど。断わった」
 浩太の言葉に、今度は千秋が目を見開いた。
「な、んで?」
「受験だから。……っていうのは嘘だけど。色々あるんだよ。色々」
 そっか、と千秋は嬉しそうな、悲しそうな、微妙な声音で呟いた。
「浩太は、『色々』で女の子を振っちゃえるんだ」
「そうじゃないけど」
「そうじゃなかったら何……? その女の子だって、ちゃんとした理由を聞かなきゃあきらめられないよ。……浩太はこわいよ。考えてることがわかんないし、私のこと、全部見透かしてるみたいで。浩太が女の子から告白されたことを聞いたときの私の気持ちとか、私が今から言おうとしてたことも全部、私の気持ちわかってるみたいでっ……」
 言葉を強めて、千秋は言った。
 それは、小さい時からずっとためてた言葉に近いものだった。
 千秋は。手に持つ鞄を、強く握りしめた。
「僕も、そう思うよ」
 ポツリと浩太がつぶやいた。
「千秋がこわい」
「な、んで?」
 浩太は少し笑って続ける。
「お化けもUFOも、怖くないけど、僕は世界で一番怖いものがある。それが千秋だよ。だから、告白を断ったんだ」
 真っ直ぐな目で、浩太は千秋を見つめた。
 少しずつ涙目になる千秋。
「ど、どういうことぉお? わ、わかんない……。私、そんなに怖いの? 小さい時に飛び膝蹴りしたこと? それともトラックに跳ねられても軽傷ですんだこと?」
 涙目から涙声に。
 浩太は大きくため息をついた。
「千秋ってさ、絶対文系じゃないよね。むしろ馬鹿……? 最初に自分で説明した言葉の意味ももう忘れたの?」
「わ、わかんないよぉ……な、何言ったっけぇ……」
 本格的に泣き始めようとする千秋にまたひとつため息をついて、今度は口元を緩めた。
「浩太、な、何笑ってる……の……?」
「なんでもないよ。なんでもない。ああ、まんじゅうこわい、まんじゅうこわい」
「まんじゅうこわいって……なんなの……?」
「なんでもないよ。なんでもない」
 浩太はそう言って、千秋の手をとった。
 それぞれの家まであと数分。
 千秋が言葉の意味に気付くまであと、三十秒。
 ああ、まんじゅうこわい。まんじゅうこわい。
作者コメント
 お久しぶりに投稿します。
 前回(多分四ヶ月くらい前)にコメントくれた方、本当にありがとうございました。

 前回バイオレンスな小説だったので今度は色で例えるなら白色の世界を描いてみました。

 書くきっかけは百人一首の教科書の発掘でした。
 作中で出ている歌の意味を調べてみると少し面白いかもしれないです。
 あ、でも教科書によって違ったりするので何とも言えませんが……。
 
 おちを隠すのに苦労しました。隠しきれてない気もしますが……。
 ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
 コメントを残して行ってくれると、さらにさらに嬉しいです。



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●感想
あざらしさんの意見
 初めまして、あざらしと申します。

 お見事でございます!
 ぐいぐい読ませるお力をお持ちですね。
 百人一首の下りもいいですし、冒頭からのキャラクターの色づけも。
 一見ただの会話のやりとりに見えながらオチにもちゃんと意味が出る。
 一文たりとも無駄にしないという気概を感じさせて頂きました。

 ただ、好みの問題だとも思うのですが。
 ラスト8行目から以降。
 若干の失速、いや。
 進路でしょうか。
 蛇足っぽい感じもします。

 対して、8行目以降でも、

>千秋が言葉の意味に気付くまであと、三十秒。

 ここが決まってますね。
 これだけで充分に、ニヤリとさせて頂けました。
 もうちょっと読者を信用してもいいのではないでしょうか?

 面白いストーリーでした。
 今はただ、ごちそうさまでした。と言いたい。
 次作、首を長くして楽しみにさせて頂きます。


乾坤一擲の『2』さんの意見
 こんにちは。感想を少しだけ。

 まずお題はとっても良いものだと思います。
 このテーマを選んだのは極めて正解であり、それであるからこそこの先の物語が成り立つ。
 そしてその物語も、『言葉遊び』という媒体を通じて彼ら彼女らの甘酸っぱい青春を描いている。
 ここには何も文句のつけようがありません。
 文章作法的に注文をつけることもできるのでしょうが、それは野暮というものでしょう。
 ぐいぐいと読者を引き込むテクニックは素晴らしいですし、オチに至るまでの経過がとても丹念に描写されていますので、
 ここにもまったく問題はありません。
 それでもあえて問題点を挙げるならば、ややヒロインの会話や描写にくどい点があるところ。
 これはライトノベル的手法としては良いものなのですが、
 逆にあまりにも狙い過ぎている、という感じもします。
 もっと自然に、ヒロインというキャラを確立し、彼女の考えがラストで核心に至るまでを描いて欲しかったかな?
 などと、そんなことを思います。
 総じて素晴らしい……とまではいかないものの、とても面白いお話ではありました。
 私からはこんなことしか書けませんが、これにて失礼します。


杏各勝負さんの意見
 初めまして、杏各勝負です。
 読ませていただきました。
 素直に良い作品だ、と思いました。
 短い文章の中できっちりと話が纏められており、オチに持っていくまでの間もすらすらと読んでいけました。
 何より、千秋のキャラクターの魅力がいいなあと感じました。ちょっと浮き世離れしているというか、おばかで、どこかズレていて、とても可愛らしかったです。トラックにひかれて軽傷かよ……流石は千秋、おれたちに出来ない(ry
 しかし、一つだけ違和感を感じた言葉がありました。
 「初っ端」です。今までの彼の口調にはあまりマッチしていないように思いました。
 「最初に自分で〜」などの方がいいんじゃないかなと…。まぁこれは完全に私の主観なのであまり気にする必要はないかもしれません。 
 では、失礼しました。


kinoさんの意見
 初めまして。
 つか初めて感想を書きます……。

 素晴らしい、よく出来た文だと思いました。
 千秋と浩太のキャラを冒頭で上手く表現し、そこから千秋の不安を伝え、そして最後の饅頭怖いへと繋げてく。
 この流れをたった6ページで、しかも手を抜くことなく書いていく技術は本当にすごいと思いました。

 しかし、個人的な意見を言うと、やっぱりもっと遊びを入れた方がいいのかな、とも感じました。
 これだけ魅力的な人物を書いているのだから、もっと二人のやりとりを見てみたい……という我が儘な思いを読み終えた時に少し。

 掌編でこんな事言うのは間違っているとは思うのですが、ちょっともったいない?感じがしました。

 でもやっぱり完成度はかなり高いと思います。
 他の作品も見てみたくなりました。

 ……駄文失礼しました。


冗さんの意見
 まず、和歌の引用や饅頭怖いの使い方に、感服いたしました。参りましたというほかないです。特にラストが。気づくまであと三十秒、というところからの二行が、幸福へのカウントダウンのようで、素晴らしいです。読後、幸せになれます。
 惜しむらくは、文にわかりにくいところが少しあったのと、送り仮名の誤用などのミスでしょうか。「ん?」と読むリズムが途切れてしまい、作品を楽しみきれなかったことが、本当に残念でなりません。
 細かいミスは脇に置いとくことにして、読みづらい部分だけ挙げさせていただきます。

>千秋の会話の意図を浩太は、まったくもって理解できなかった。昨日までは食べ物の話くらいしかしないのに、思いついたまま、何かを話しているようだった。

 この部分の意味がつかめず、読みなおしてしまいました。「食べ物の話くらいしかしなかったのに」「いまは思いついたまま」と、時制をはっきりさせた書き方であればわかりやすくなるのではと思います。

 気になったのはそれだけです。すばらしい作品だと思います。


御鶴さんの意見
 はじめまして、御鶴と申します。
 「言葉遊びの帰り道。」を読ませていただいたので、さっそく感想を書かせていただきます。

>大好きなおまんじゅうが貰えたよ!みたいな話し」

 話、でしょう。
 「?」や「!」のあとは、一字開けが基本です。
 あと冒頭の字下げが出来ていない個所が一か所ありました。

 まず感想を一言で言うなら、好き嫌いが分かれる作品なのかな、という印象でした。
 引用もちょっと無理やりでしたし、意味を調べないことには面白さが伝わってきませんでした。 
 言葉遊びの掛け合いも、あんまり上手いとは思いませんでした。
 自分のことを褒める=自意識過剰はちょっと違うと思いました、どうして「自画自賛」ではなかったのでしょうか?
 自意識過剰だと意味がまた変わってくると思いました。そもそも自意識過剰は自らを褒めると言う意味ではありません。

 人物ですが、高校三年生の設定でしょうか。受験と書いてあるので。
 それにしては小学生の印象を受けました。ちょっと口調などが幼すぎる印象でした。

 話の構成は上手いと思いました。とくに「まんじゅうこわい」はよかったです。
 ただ結構淡々と読めてしまえたので、これで終わりか、と冷静に読めてしまえたという部分はありました。
 キャラクターで魅せている小説でしたが、僕はあまり千秋と浩太に魅力を感じませんでした。今一掴みどころがわからなかったです。
 タイトルはぴったりで、読後感はあったかいものがありました。
 意味に気付くまで三十秒。
 ここはなんだか微笑ましくなってしまいました。

 乱文失礼いたしましたm(__)m


ただのすけさんの意見
 初めまして。
 拝読させていただきました。ただのすけです。

 とても文章に熟れた方とお見受けします。いい作品だと思いました。

 ただ、オチがちょっと……。
 個人的な印象で申し訳ないのですが、物足りませんでした。そこは好みに寄るのでしょうが、ストーリがありきたりでテンプレ的だったので、その分オチに期待しつつ読み進めた所があったのです。
 刺激・意外性のあるオチを期待していたのですが、それが『微笑ましいあっさり風味のオチ』で終わってしまったので物足りなく感じました。あと、


>「え、なにそれ。糖分恐怖症の人の言葉?」
 千秋の言葉に、めんどくさそうに答えたのは、幼馴染の同級生である浩太だった。


 浩太の台詞がどうも面倒臭そうな口調に感じられません。この台詞を面倒臭さげに声に出そうと挑戦してみましたがムリでした。


>「そうじゃなかったら何……? その女の子だって、ちゃんとした理由を聞かなきゃあきらめられないよ。……浩太はこわいよ。考えてることがわかんないし、私のこと、全部見透かしてるみたいで。浩太が女の子から告白されたことを聞いたときの私の気持ちとか、私が今から言おうとしてたことも全部、私の気持ちわかってるみたいでっ……」


 この、オチを作り出すための端緒のような千秋の台詞に違和感があります。

 少し唐突な感じです。急に、浩太はこわい、と言い出す辺りが、オチのためにとって付け加えたような感を覚えました。
 それと『考えてることが分かんない』と言い、続けて『私のこと、全部見透かしてるみたいで』と吐露しているところも、なんだがしっくりしません。考えていることが分からない相手に私のこと全部見透かしてるみたい、と言うのにはそこはかとない矛盾を感じてしまいます。
ここが若干粗く思えました。

 しかし、二人の掛け合いの表現には絶妙ですばらしいものがありました。勉強になります。

 次回作も期待しています。それでは失礼いたします。


麺単品さんの意見
 くはぁ。とため息が出ました。あまずっぺえや。
 主人公やるなあ。

 伏線の張り方にはただただ感服致しました。
 でも折角まんじゅうこわいの意味は解説してくれたのですから。
 上手い感じに百人一首の意味も解るようにしてほしかったなあ。
 何か意味、伏線があったんですよね? アレにも。

 そんでもって、これは意見の別れどころの一部なのでしょうが、
 千秋のキャラクターが高校生の割に子供っぽすぎる印象が御座いました。
 文章全体が所謂「ラノベっぽさ」たっぷりのキャラ小説全開のタイプなら善かったのですが、今作品は「それ系」よりももうちょいリアルさを感じますので、千秋というキャラ自体にも人間としてのリアルさがあって欲しかったです。あくまで、個人的に。


ボトルさんの意見
 ども、感想返しに参りましたボトルです。

 言葉……遊び、だったのかなぁ……?
 なんか微妙に違うような気がします。「饅頭怖い」だとかそういうのとはまた別のものかと。

 あと、地の文。なんか「千秋が〜」「浩太が〜」みたいな感じでほぼ全ての文に人名が使われていて、日本語の名詞を使わなくてもニュアンスで分かるという特徴を活かしていないような気がしました。誰が何をしたか、と明確にするのは良いことですが、それによってちょっと読みにくかったり……。

 総じて、結構好悪の別れる作品かなぁ、と。

 まあ、こんな感じで。次回も頑張って下さい。それではノシ


北条さんの意見
 初めまして軟骨さま。
 拝見させて頂きました。

 点数が高かったので開いてみたのですが、
 なんというか……申し訳無いのですが私にはピンときませんでした(汗

 まんじゅうこわいのくだりから女の子が気にしだす辺りで。
 オチが容易に想像できてしまうのが何よりの原因でした。
(推理しようと思わなくても浮かんでしまいました)

 そのため言葉遊び部分も蛇足な気がして頭に入りにくかったです。
 本当は-20をつけようと思ったのですが。
 他の方が高得点なので、私が面白さをわからなかっただけかなぁ、
 と思いとりあえず0点で(笑)

 ここからは蛇足的な感想ですが。
 この作品は落語に似ていると思いました。というかそっくりです。
 「落語の面白さ」とははまんじゅうこわいとオチが効いたあとに、
 タイトルがそのまま面白さに繋がっていることも魅力だと思うのですが。
 この作品はオチとタイトルの関連性にもピンときません。
 冷たい言い方をすると別に「帰り道」としなくても良かったんじゃないかな?
 と思ったわけです。
 「言葉遊び」部分にも無理矢理感のようなものを感じました。
 というかぶっちゃけタイトルが「饅頭こわい」で良いんじゃないかな。
 とか、「浩太こわい」或いは「千秋こわい」の方がしまるような……
 と。いや、文句ばっかり言ってごめんなさい。

 良かった点は……文章が読みやすかったということです!
 では、失礼致します。


六十 七子さんの意見
 67個でございます。御作を拝見しましたのでここにご報告と、感想なるものを残したいと思いました。

 キャラの拳の効いた感じが好感触でした。わたしに欠けているものを持っておられると思い、大変勉強になります。自然な台詞回しと、地の文の選択とか、良かったです。

 さて、作者コメントにも若干それらしきことを感じましたが、わたしが感じるに、お話の構成がどうも無理矢理っぽい印象を受けます。
 個人的にはもう少しまんじゅう怖いの原作の意味に沿った方法論をした方が良かったのではないか、と思います。御作はネタだけにとどまっているような気がします。全体的にまんじゅう怖いを構築する必要があるように思えます。

 ネタの反復をすると、わかりやすさは上がりますね。
 御作で言うと、例えば、序論で千秋が主人公にまんじゅう怖いを仕掛けて、見破られる。みたいなラインが妥当かと思われます。
 でも、御作はもっとストレートで、女の子のもじもじとした青春の味もあるので、その線を踏襲すると、ポップにすぎるような気もしますが、結局の所、本作でもまんじゅう怖いを実践しているのは主人公だけなのですから、千秋に裏を取らせるより、主人公に語ってもらった方が良いと思います。

 ということは、千秋は
「いつもずるいよね。そうやって、わたしみたいな単純で馬鹿な子から搾取して、おいしいとこもってっちゃうんだから。怖いよ。この間ある女の子の告白を断ったのだって、云々」
 的な置きの部分に当てさせるのが妥当かと思います。そうすれば、
「いんや、お前の方が怖いって」
 ていう主人公の言葉の攻撃力が高まるのかなぁ。
 いやぁ、言っておいて何ですが、どうなんでしょう、これは(笑)

 ま、あの。あくまでこういうプランも構成的にはありかも。程度に今後の執筆活動の馬の糞にしていただければ、と思います。
 ごちゃごちゃ言いましたが、魅力的な掛け合いを楽しみました。どうもです。
 それでは。


ハイさんの意見
 はじめましてハイと言います。

 高得点の作品を見てみよう、と思い拝見しましたが・・・
 完成度高いです キャラもいいです。
 歌の意味は何となく予想がつきましたが、それよりもこの短さに対してきっちり資料を活用している姿勢が素晴らしいですね。
 ストーリーは容易に予想がついて意外性は無いですが、
 その分キャラの掛け合いに特化しているし、作品の雰囲気を鑑みればこのラストで良いんだと思います。
 もちろん、最初からオチに期待する方にとっては白けてしまうのかもしれませんが、
 逆にここへひねったオチを入れると雰囲気が壊れてしまうので私としてはこれ以外はありえないですね。
 この春先の穏やかな風のようなラスト、好きですよ。

 ただ、一つだけ
>いつもの帰り道、一人の高校生、千秋が楽しそうに言った。
 三人称ですが、主視点は浩太のようなのでここは、
>いつもの帰り道、千秋が楽しそうに言った。
 としたり、
>いつもの帰り道、幼なじみの千秋が楽しそうに言った。
 のように浩太視点を意識した方が良いと思います。
 その方が読者が感情移入しやすいのではないかと、
 冒頭は重要なのでここは違和感なく入れるようにして欲しかったですね。

 読み終えて、最低でも20点だなと思いました。
 しかし、雰囲気を反芻していると気分が良くなるので30点にしました。
 冒頭で引っかからなければ40だったかもしれません。

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