2009年下期 講談社X文庫ホワイトハート新人賞受賞
はじめまして、石和仙衣(いさわのりえ)と申します。
2009年12月に講談社X文庫ホワイトハートさんで新人賞をいただきました。
同レーベルにて、2010年9月に「ふしぎの家のアルバイト」という本を、
そして、2011年2月には「ギデオンの恋人」という本を刊行していただいています。
皆さんの熱心さに圧倒され、掲示板や投稿室などに積極的に利用する機会はありませんでしたが、受賞前は毎日のようにサイトをのぞいていました。
いまでも行き詰まると、元気と勇気をもらいに来ています。
私自身、まだまだつたない書き手ではありますが、息の長い書き手になりたいと願っております。
そして、サイトの利用者の方が、ひとりでも多く夢を叶えられますように!
経験の浅い書き手ではありますが、少しでも皆さんのお役に立てばうれしく思います。
Q1: 初めてライトノベルに出会ったのはいつですか?
小学生のころ。
「こんな本もあるのか!」と感動し、土砂降りの雨の中、お小遣いをにぎりしめて、久美沙織先生のドラゴンクエストのノベライズを買いに行きました。
Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
「らしきもの」は小学三年生の時。
自習の時間に「巨大な湯飲み茶碗に乗って冒険旅行する四匹の犬のお話」を書きました。
五巻あたりで家族に酷評され、連載中止になりました。
Q3: 作品はどのようなソフトを使って書かれていますか? あるいは手書きですか?
基本的に一太郎。Wordよりルビがふりやすいので(無駄にルビ好き)。
余談ですが、資料やキャラ設定、作品の工程表などの管理はExcelが便利です。
Q4: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方がありますか?
序章→終章→一章、二章、三章……、という風に書いてゆくことが多いです。
あとは「ここは見せ場! かならず入れたい!」というような場面を先に仕上げておいたり、下手でもいいからイメージボード(イラスト)を描くと、やる気のボルテージが上がります。
Q5: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか?
中学生の終わりか、高校に入りたてくらい。よく覚えてません。
たしか「魔法使いの父親を持つ、フツーの女子中学生の日記」みたいな話でした。
「書き終わって大満足!」
という、かなりお馬鹿で脳天気な学生だったので、一時通過したのかさえも確認しませんでした。
Q6: スランプになった、もしくは作家になることを諦めようと思ったことはありますか?
あえていうなら慢性的にスランプ。毎回、亀の歩みでフルマラソンに臨む感じです。
でも「諦めよう」と思える人は、他のものになれる素質があるんじゃないかなぁ……。
私はなにに対しても恐ろしく不器用で、でも書くことだけは少しなんとか出来たから、それに必死にすがりついて続けている、という感じです。
Q7: アマチュア時代に参考になった本はありますか?(ハウツー本など)
映画が大好きなので「ハリウッド・リライティング・バイブル」は、読んでいて楽しかったです。
あと参考になったのはダ・ヴィンチ編集部編の「本気で小説を書きたい人のためのガイドブック」。
選考する側からの意見や、作家さん達の経験談が載っているので、書くための心構えが出来た気がします。
Q8: 尊敬している作家さんはいますか?
田中芳樹先生。登場人物がそれぞれ魅力的、読者を飽きさせない痛快・爽快な展開がたまりません。
勝手に「師匠!」と仰いでいるのは、久美沙織先生と時雨沢恵一先生です。
あとはここには書ききれないくらいたくさんの作家さんを尊敬してます!
Q9: アマチュア時代にどのような方法で筆力を高めていきましたか?
自分の好きな小説を一冊ひたすらだだだだだーっ、とタイピングし続けたり、
(文章の感覚を身につける練習)
色んなジャンルの映画をたくさん観まくりました(気分が悪くなって倒れたのもいい思い出……)。
あとはプロのラノベ作家さんと同じペースで書けるようになるために、「最低でも半年に一作」というノルマを設定して書く習慣を身につけ、投稿を続けました。
●補足
「好きな作品をひたすらタイピングする」というのは、プロの編集さんとお話した機会に、たまたまお聞きした トレーニング法なのです。
プロの作家さんの中でも、筆が進まないときに自分のお師匠の作品をタイピングし続けて、文章の感覚を養うひとがいるそうです。
Q10: 執筆は、いつもどのような時間帯にされていますか?
最近は五時間くらい寝た後、午前3:00頃起きて、出勤する7:00頃まで書き続けます。
(この方法だと寝坊しない)
仕事が無い土日は、ほぼずっとPC前に座ってます。
でも「時間がたくさんある=良い作品が書ける」とは限りません。
時間を有意義に使えるよう、いまも試行錯誤中です。
Q11: 一日の執筆速度はどの位でしょうか? また、ノルマを作っていますか?
考えたことなかったです、これは。ノルマはたぶん「一週間に一章」……とか?
待機時間や、煮詰まったときにちょこちょこ書きためたパーツなどを組み合わせることもあるので、正確な速度はかなり不明です。ごめんなさい。
これまでの最短記録は一ヶ月で一作、……だったかな?
Q12: どのような方法でプロットを作られていますか?
ざっくり起承転結を3000字くらいに流れをまとめて章割。
書き始めて途中で細部が変わったとしても、着地点がぶれない程度に臨機応変に対応。
それはもう、……毎回、言葉にするのも恐ろしいくらいに悶絶しながら書いています。
息の長い作家になりたいので、自分のクセや傾向をモノにして早く要領よくなりたいです。
Q13: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
ラノベ作家としては高いハードルですが、なるべく美女や美男子を主人公にしないように心がけています。
容姿端麗な主人公を書くにしても、読む人が感情移入しやすいように、どこか人間らしい温かさや癖を加えるようにしています。
Q14: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?
まだ二冊しか書いてないので、エラソーなことはいえません。スミマセン(笑)。
でもどうしても「書きたいもの」があったら、いまはネットという便利な道具があります。
本当にいい時代になりました。
Q15: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
しつこかったから。
もっとプロらしくなるよう、これからも精進する所存です。はい。
Q16: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
イラストレーターさんに、キャラクター設定のラフを描いてもらったこと。
それが私にとって新人賞受賞の一番のご褒美でした。
それと、作品が人の目に触れて、意見をもらって、化学反応してゆく課程がおもしろいと思いました。
Q17: 最後に、これから石和仙衣さんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?
「作家になる」、「文章でごはんを食べてゆく」のを目標にするのに疲れたら、それを一度忘れて、自分がおもしろいと思うもの、素敵だと思うものというものを、「小説というツールを使って、どうやってそれらをプレゼンテーションしたらいいのか」と考えてみたらどうでしょうか?
あとは「これはだれにも負けない」という趣味とか、オタク的な専門知識とかがあると有利かなぁ……。
私もまだまだ修行中の身です! ここまでおつきあいいただき、どうもありがとうございました。