作家歴数年のライトノベル作家
RETUさんは、新人作家ではなく、すでに何年かプロ作家を経験済みの方です。
『ラノベ作家の処世術』というラノベ作家になった後に役立つ情報を紹介するサイトを運営しておられます。
今回、作品名と実名を伏せるという条件で、デビュー後に待ち受けている困難にどのように対処すれば良いのか、語っていただきました。
RETUさん、ありがとうございました。
Q1: プロになって一番辛かったことはなんですか?
いっぱいあるので一番は決められません。
・編集者と意見が合わなかった時。
私はこれが書きたいのに、書かせてもらえない時は辛かったです。
書きたいものを書いて無理やり渡しても全没……。
お金は一銭も出ないのでバイトバイト……辛かったですね。
・本がいつまでも出ずに白い目で見られたこと。
本を書いてる書いてる詐欺と言われました。
新企画はどうしても時間がかかります。
一年空いても仕方ないんですよ、と言っても理解されなかったですね。
・お金が尽きた時。
本が出ないとお金がなくなります。
今は専門職のバイトがあるので生活は出来ますが、専門スキルが無いときは死ぬかと思いました。
サラリーマンと兼業とまではいかなくとも、何か別のスキルを持っておくと楽ですよ。
Q2: プロ作家として活躍し続けるためには何が重要だと思いますか?
生活費を稼ぐ術です(笑)
作家を辞める一番の理由が金銭的理由だと思うので、作家業で一本立ちできるまで効率的に稼げるスキルは重要ですよ。
プログラミング、英語翻訳、塾講師、家庭教師、絵師、作曲業務……
なんでもいいので専門スキルがあると、派遣やバイトでも時給が高くなるので、作家業に費やせる時間が増えます。
正社員で土日作家でも良いのですが、体力的にはかなりシンドイです。
(私もサラリーマンと兼業してた時期がありますが、その時の体験談はラノベ作家の処世術でのちのち紹介します)
中高生の皆さんにはしっくりこないと思いますが、『これがダメでもこっちがある』という柱が二本三本あると、とても楽になりますよ。
また、創作関連の技能ならアイデアの元にもなります。
長々と書いてしまいましたが、プロは辛いことばかりではありません。
本を出して全国の書店に作品を置けるのはプロだけ!
ぜひ、みなさんも体験してください。この快感を!(謎)
Q3: 初めてライトノベルに出会ったのはいつですか?
私がライトノベルと出会ったのはわりかし遅い方で、大学生になってからだったと記憶しています。
それからライトノベルというジャンルにハマってしまい、色々とご縁がありまして、今はプロとして作品を製作する側の人間になりました。
Q4: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
高校一年生の時だったと思います。
内容は……はっきり言ってめちゃくちゃです。当時、私はゲームはやれど小説はあまり読まないタイプだったので、日本語すら怪しかったと思います。
(今も日本語に自信はありませんが;)
ヒーローものだったのですが、小説投稿サイトに投稿していました。
反応がそこそこあって、それが嬉しくて定期的に小説を書くようになりました。
Q5: 作品はどのようなソフトを使って書かれていますか? あるいは手書きですか?
ワードを使用しています。
Q6: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方がありますか?
大体の設定とストーリーラインは作りますが、基本的にキャラの動き、掛け合いにある程度流れを任せています。
その後、改稿で調整していくスタイルですね。
Q7: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか?
大学一年生の頃です。
結果は一次通過でした。通過を知った時は夜も寝られませんでした。
嬉しくて(笑)
Q8: スランプになった、もしくは作家になることを諦めようと思ったことはありますか?
何度もあります。アイデアが思いつかず、書けなくなった時はとても辛いですし、プロになってからも企画が通らなかったり、ボツしか出ない時は辞めたくなる時もあります。
しかし、一度本を出す喜びを知ってしまうと、辞めてやる、とまでいかなくなるんですよね。
不思議なものです。
Q9: アマチュア時代に参考になった本はありますか?(ハウツー本など)
ハウツー本は読みませんでしたが、投稿サイトで書いていたので他参加者さんからのアドバイスや、他作家さんの作品を読んで勉強させていただきました。
後は、やはりライトノベルそのものやゲームなどから吸収しました。
海外ドラマも好きなのですが、ライトノベルとはジャンルが違うので、なかなか参考にするのは難しいです。
Q10: 尊敬している作家さんはいますか?
プロになってからはほぼ全ての作家さんを尊敬してます。
どんなに売れなかろうと売れていようと、本を出すまでの工程には地獄のような道があると知ってしまったので。
Q11: アマチュア時代にどのような方法で筆力を高めていきましたか?
ひたすら投稿サイトに投稿しました。
あとは色んなジャンルを書いてみたり、ゲームや小説から影響を受けたり。
とにかく書いてみて、自分にあったスタイルを身につけるのが一番だと思います。
Q12: 執筆は、いつもどのような時間帯にされていますか?
基本的に夜です。
Q13: 一日の執筆速度はどの位でしょうか? また、ノルマを作っていますか?
1日10枚以上で、2週間程度で仕上げるよう調整しています。
私の場合、初稿は速いですが改稿がかなり多いので、結果としては他の作家さんと同じような速度だと思います。
ノルマは作ってません。
Q14: 一日にどれくらい執筆に時間をかけておられますか?
5~6時間。
修羅場の時やノっている時は一日中やってます。
逆に書けない時はほとんど書きません。
Q15: どのような方法でプロットを作られていますか?
自分が書きたい大体のイメージ(魔王が勇者を倒すストーリーなど)、どんでん返しとオチを作ったら、それでプロット完成です。
もちろん、設定や世界観も考えますが、それらは後からガンガン追記していきます。
勢いを重視するスタイルです。
Q16: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
・特に後半、適当に終わらせない。
息切れすると、どうしても早く終わらせたくなってしまうので。
・初稿はメチャクチャであると心がけておく。
改稿を怠けると納得のいくものには絶対なりません。
書き直せる内に書き直しておきましょう。
Q17: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、
答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?
プロである以上、売れるものを書くべきです。
書きたいものを書いても、編集者がNGと言えば世に出ることはありません。
月並みですが、売れるものと書きたいものの妥協点を探ることが生き残るコツです。
売れてしまえば、次回作はある程度好きに出来ると思いますよ。。
Q18: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
執筆速度が早かったので、色んな新人賞に応募出来たことです。
新人賞は倍率数百倍が当たり前なので、とにかく作品数は多いにこしたことがないです。
どんなに傑作でも、競争相手に超傑作が紛れていればそこで落選決定です。
特に一次選考ではブロック毎の選考になるので、傑作が涙をのむこともあります。
Q19: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
やはり、本が世に出たことですね。
イラストもついて、自分の世界観が「こんな風に表現されるのか」と驚きました。
後は印税がありがたかったです。
Q20: 最後に、これからRETUさんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?
小説家になるのは難しくありません。
特にライトノベルならば、レーベルも多くチャンスは多いでしょう。
しかし、作家業を続けるとなると非常に難易度が高くなります。
それを承知で、挑戦する覚悟がある方ならば、必ず光は見えてくると思います。
私のようなぺーぺーでも生き残っているので、最後に勝つのは諦めない心を持った人です。
志望者の皆さん、頑張ってください。