ライトノベル作法研究所
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弥生翔太さんのインタビュー

 第7回スーパーダッシュ小説新人賞・佳作 『反逆者 ~ウンメイノカエカタ~』

反逆者(トリズナー)―ウンメイノカエカタ

〈STORY〉
  『進化薬』と呼ばれる薬物によって驚異的な力を手に入れた『先駆者』が存在する世界。
 立花浩平は、『先駆者』として特別治安維持局で任務にあたる高校生。
 他者の死を見る予知能力を持つ浩平はある日、一人の少女の死を予知する。
 その直後に護衛の任務を与えられるが、対象として現われたのはその少女、シア=ヴァレンタインだった! あきらめ半分で護衛する浩平だったが、純真なシアとふれあうことで、その心が次第に揺れていく…。
 少女を救うことはできるのか!?運命は変えられるのか!?
出版社: 集英社スーパーダッシュ文庫
発行年月: 2008年09月25日

■ 弥生翔太さんからのコメント

 どうも、はじめまして。
 いつもライトノベル作法研究所の方、参考にさせていただいております。

 この度、第七回スーパーダッシュ小説新人賞にて佳作を受賞いたしました。
 『反逆者 ~ウンメイノカエカタ~』という作品の弥生翔太というペンネームのものです。

 小説、特にライトノベルを書き始め、右も左もわからなかった私はこのサイトには大変お世話になりました。
 掲示板への書き込みは四度か五度ほどと少なく、第四研究所に取り上げられたことも一度しかありませんが、毎日のように覗かせていただいておりました。
 その甲斐あってこの度の受賞を相成りまして、面識はなくとも恩のある方々と思い、お礼を申し上げたくメールいたしました。

 私のようにこのHPに助けられた方がたくさんいると思います。
 そして、今後ももっと増えていくと思っております。
 私もまた、若輩である己の身を見直すために、これからも通い続けると思います。
 運営、管理、大変だとは思いますが、管理人さん、どうか頑張ってください。

 まだまだ受賞の報告を受けただけで、出版の見通しなどは先のお話になりますが、お礼を述べたく先走ってしまいました。
 どうぞ今後とも、よろしく拝見させてください。
 本当に、ありがとうございました。

■ 作家になられた弥生翔太さんに気になる質問をいくつかしてみました

Q1: 初めてライトノベルに出会ったのはいつですか?
 中学校三年生の時ですね。
 友人の読んでいた角川スニーカー文庫の『ラグナロク』を借りたのが初めてでした。
 活字慣れしていなかったというのに、ダークな世界観と圧巻の戦闘シーンに虜になりましたよ。

Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
 ラグナロクを既刊全部読破して、高校一年生の時でしょうか。
 書き始めにありがちな起承転結もままならない、ラグナロクの劣化コピーでした(笑)

Q3: 作品はどのようなソフトを使って書かれていますか? あるいは手書きですか?
 もっぱらWordを使って書いています。
 手書きだった頃もありましたが、置換えや推敲の楽さでPCは手放せませんね。

Q4: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方がありますか?
 一時は書きたいシーンから書いていたのですが、それだと書きたいシーンを書ききってしまうと気力が保てないことに気づきました(汗)
 大抵、私が書きたいのはクライマックスなので、物語の最初から、「頑張れば、クライマックスが書けるぞ……」と言い聞かせながら書いています。

Q5: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか? 
 高校一年生の時のラグナロクの劣化コピー(笑)
 要項もまともに読んでいなかったので、下読みさんに排除されたかと。

Q6: スランプになった、もしくは作家になることを諦めようと思ったことはありますか?
 高校一年で一作、劣化コピーを書き終えてからばっさり書かない期間がありました。
 その頃は書くより読むのに夢中になっていたこともありましたし、小説家というのはやはり夢のまた夢だと思っていたのかもしれません。
 再び書き出すようになるのは大学二年になってからです。

Q7: アマチュア時代に参考になった本はありますか?(ハウツー本など)
 ハウツー本は読まないんですね。
 技術や疑問の解消は大概の場合ネット、ライトノベル作法研究所などに頼りきりだったので(笑)
 ただ、自分の心に残ったよい作品は全て手本になります。
 書く時は十冊近く、立ち止まった時ように隣に置いてありますね。
 モチベーションが下がったら読んで、こういうシーンが書きたかったんだ……と思い直すように。

Q8: 尊敬している作家さんはいますか?
 安井健太郎氏ですね。
 自分をラノベに引っ張り込んだ、ある種の恩人です。
 続刊、楽しみに待っています!

Q9: アマチュア時代にどのような方法で筆力を高めていきましたか?
 本をたくさん読む、これに尽きたと思います。
 おそらく私はライトノベル作法研究所の皆さんに比べても、そんなに文章を書いている方ではないと思います。書き上げた作品も十に届きません。
 ですが、一日に一冊は必ず本を読んでいます。
 ライトノベルなら六年で二千から三千は読んだはずです。
 良い物語を読む。構成やキャラクター、美しい文章など、自然と心に留まったと思っています。

Q10: 執筆は、いつもどのような時間帯にされていますか?
 主に深夜、午後十一時から午前三時くらい。
 今は時間に余裕のある大学生なので、この辺りでしょうか。
 雑音があると書けないタイプなので、静かな夜だとはかどります。

Q11: 一日の執筆速度はどの位でしょうか? また、ノルマを作っていますか?
 速い時は一日に二十枚くらい。遅いと0ですね(笑)
 ノルマは基本的に一日五枚は書きたいなぁと思っています。思ってるだけの場合が多いですが。

Q12: どのような方法でプロットを作られていますか?
 まず、書きたいシーンやキャラクターなどを考えて、物語を創造します。
 大筋の話を作ったら、本筋を補強するために入れたいイベントを思いつくだけ列挙。
 選別しながら時間軸を作って、物語のイベントだけを列挙した簡単なプロットを作ります。
 その後は大学ノートにイベントの詳細な内容、あるいは本文を書き始め、PCで打ち込む時に推敲という感じでしょうか。
 書いている間に新しく入れたいイベントや、キャラクターが勝手に動いてくれる時もあります。
 そういう場合のアイディアは必ず入れるようにしていますね。
 流れを追いながら生まれたものなので、いいものだと思いたいので。

Q13: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
 作品ごとに違いますが、テーマでしょうか。
 書きたいシーンやキャラクターは、物語のテーマを反映した部分があると思います。
 最初にそう決めて書き始めるのですから、それがぶれないように話を構築したいとは常々思っています。

Q14: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?
 難しいお話ですが、どちらも正解であると考えます。
 小説家はなるより維持が難しい。周知の事実ですね。
 ですから今後も小説家を名乗りたいなら「売れるものを書くべき」です。
 ただ、売れるものと書きたいものが違えば当然、筆者自身の気力も萎えてきますから「書きたいものを書く」べきでもあります。兼ね合いは難しいですね。
 私の場合、書きたいものを書いたら担当さんに「売れる路線だと思ったから拾った」と明言されてしまいましたが(汗)

Q15: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
 諦めなかったこと。それから、自分の好きな物語だけ書き続けたこと、でしょうか。
 綺麗事かもしれませんが、やはり自分で面白いと思える作品を書けなければ、他人が楽しんでくれるとは思えません。
 好きな物語を、好きな言葉で、好きだと思ってくれる人達に見てほしい。
 そういう考えで書き続けたことが、良かったんじゃないかなぁなんて。

Q16: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
 現状では受賞の報告を受けて、お世話になった大学の先生や友人達に連絡をして、おめでとうと言ってもらえたのが一番嬉しかったです。
 ですが今後、自分の作品が本という媒体に変わって、書店に張り込んだりして誰かが本を買っていってくれる場面に遭遇したら……
 考えただけでも幸福なことだと思います。

Q17: 最後に、これから弥生翔太さんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?
 まだまだ何もしていない身でアドバイスというのも恐縮ですが……。
 自分が大好きな物語を、全力を尽くして書くのが一番かもしれません。
 それが万人に認められるわけじゃありませんが、それでも世界で一番身近な自分という読書大好き人間が、大好きと言える作品です。
 同じように思ってくれる人が一人……もうちょっといるかもしれません。
 そう思うだけで、諦めるのは惜しいと思える気がします。
 諦めるにはこの道は、楽しすぎると思いますから。

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