貧乏神が! 泰庵高校連続殺人事件
魔軍一意さん一押し！（男性）
■ 解説
ある夏の日…。ふとした過ちから、貧乏神・紅葉は主人公・市子を殺してしまった…。「やっべー…、超やっべー…」 このままではアニメも放送できない！！ 紅葉の隠蔽工作がはじまる！！ 他３編収録の「貧乏神が！」小説版！！
（少年ジャンプの漫画『貧乏神が!』のノベライズ）
■ 魔軍一意さんの書評2012/10/12
さーて。まずは表紙から、一丁ド派手にいきまっしょい！！
いきなり主人公が白目をむいて倒れていたり、チャイナ娘が脚の付け根まで見えるほどのハイキックをしていれば、ろり体型の女子高生がスク水縦笛ランドセルの神器を纏っていたりと（紅葉<もみじ>の名探偵ルックも、いつものノリで面白）、登場人物のコスった姿が目に嬉しい仕様となっています。
本編に目をやると、原作の漫画の勢いをそのまま文章にした話は違和感がなく、ファンはもちろん、原作者も満足しうる出来だと思います。
というのも、単行本には『キャラクターファイル』という、プロフィール等を原作者が説明するコーナーがあります。その中には今後描いてみたい話もされていて、それが四編が一つ『山吹さん、教師になる』で実現しています。と同時に、原作の展開上、描き辛くなった裏話を挿入する形となり、漫画本編のストーリーとキャラクターに厚みを持たせることに一役買っています。
またこの話を読むことで、市子に対する紅葉のやや不可解な態度ゆえに内面が掴み辛く、ふたりは似た者同士なのでは≒ほぼ想像した通りだと解り、実に貴重なエピソードでした。
こうした、原作者と作り手の血の通った姿勢は作品の質を上げるのはもちろん（ちなみに、小説の表紙と単行本十二巻の表紙は構図はそのままで、先述のコスプレバージョンだったりします）、ファンには堪らないものがあります。
お気に入りのキャラはいますか？ どんなところが好きですか？
ちびっこお嬢様の『艶光路撫子<あでのこうじなでしこ>』です。
市子<巨乳ヒロイン>のビキニアーマーもイイけど、撫子<ぺたん娘>の『踊り子と三種の神器ルックとスモック姿』は、それ以上のインパクトでした（……あれ？ 自分、おっぱい星人なのに……）。
…………ああ。十年も想い続けた石蕗<勤労イケメン>に“結婚の”告白は断られ、家のしきたりで望まぬぼんぼんの下に殉じるときに見せたあの悲痛な表情が、仲間たちのジャンプスピリッツ（努力・友情・勝利）で取り払われたことにより、元の幼女の如き百面相を取り戻したからだな、うん（よし、ロリコン疑惑回避成功……あ。結婚云々は原作の話だったか。
まあ『可愛いは正義』ということわざがあるから無問題）。その他にも好きキャラは沢山いますが、漫画の方と混同して書く懼れがあるので、次いってみよー。
この作品の欠点、残念なところはどこですか？
客観的にと前置きして、一つは値段です。
四つの短編を大きめの文字とけれんのないテキストで綴り、とても読みやすくしているがための速（即）読破感（単行本サイズで、あとがきまで入れて全二百四十三ページ）に、六百八十円（税込）がつり合うかどうか。
二つ目は、単行本八巻分と十巻に収録の番外編の設定と世界観を下地にしているため、第一期のアニメ（単行本一〜四巻分）を観た方でも作中のキャラ及び、話の内容の一部が解らないことです。
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