ドラコンさん一押し!
「高山直人らに國鉄公安隊高度研修を命じる」
はああっ!?
「それならオートマチック撃ち放題よね!」
「この特殊警捧、スタンガン付きの最新型だぜ!」
盛り上がる桜井たちにイラついた俺は、ついに本音を叫んでしまう。
「俺は―!!」
衝撃の一言に警四の心はバラバラに。状況は最悪。
なのに、なのに、どーして俺は軽井沢でWデートなんかしてるんだ?
!國鉄が分割民営化されなかったもう一つの日本を舞台に、夢の鉄道パラダイス・エンタテイメント第三弾!碓氷峠、定通。
今回は、1997年(平成9年)に長野新幹線開業に伴って廃止された、名物区間の信越本線碓氷峠(横川〜軽井沢間)が舞台です。
3巻目にして、ようやく「國鉄」らしさが出てきました。
1巻では廃止列車の寝台特急「はやぶさ」が登場したものの、東京駅停車中に限られました。2巻の舞台は、国鉄分割民営化の象徴というべき特急「北斗星」で、廃止線は名前が出てくる程度でした。
「コクテツが分割民営化させなかったもう一つの日本」が、きちんと描かれています。ネタばれにしたくはないので、詳しくは書きませんが、碓氷峠で現実に構想されていることも、下地になっています。また、峠越えというと、とかく「登り」(軽井沢行)がメインになりがちです。
が、本作は「下り」(横川行)がメインです。そこに新鮮さを感じます。
この区間は、登山と同じく、実は下り(横川行)のほうが怖いのです。
鉄道線名から取った、このシリーズの名字命名センスはあいかわずすばらしいです。
特に、研修所の食堂のおばちゃん「釜石さん」には感服しました。
通行人Aよりは多少マシなレベルの脇役にもちゃんと名前が付いています。
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
主人公たちの良き理解者「某氏」が気に入りました。
名前を出すと、ネタばれになりますので書きません。ご了承ください。
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
まず、“文書校正が甘い”ですね。
既にこちらのコーナーに書評投稿している1、2巻にも言えることです。119ページ〜120ページと287ページは、作者に対してはもちろん、編集者・校正者にも「何をやっているのか!」と叫びたくなります。
119ページ〜120ページにかけては、信越本線(在来線)の「安中駅には普通列車しか停まらない」と書いておきながら、主人公たちが乗ったのは「急行「信州一号」」です。しかもこの後に、急行「信州一号」の乗車駅が「安中駅」なのに、新幹線しか通らない「安中榛名を出発した列車は」と書かれています。どう考えても整合性のない記述をしています。それに、列車名が「信州一号」「信州1号」と、漢数字と算用数字とが混在していて、数字の表記が不統一です。
また、「あとがき」の後の「ダウンヒル碓氷【状況参考之図】」では、「横川駅」を「横本駅」と書いてあります。しかも、すぐ上に「横川機関区」の文字があるにもかかわらず、です。
このシリーズで、駅名の誤字は致命傷でしょう。
校正の甘さについては、あまりにもひどいため、2巻の発売直後に編集部にあてて意見メールを出しました。ですが、改善されていませんでした。
それから、軽いとはいえ、既刊のネタばれがあります。そのため、このシリーズは刊行順に読まれることをお勧めします。ただ本作では、ストーリーにも一応はかかわってくるので、まだ許容の範囲です。
主人公たちが安中榛名駅そばの研修所に向かうのに乗ったのが、「北陸新幹線」とあります。「長野新幹線」と「北陸新幹線線」との線名の違いについて、もう少し丁寧な説明ができなかったのでしょうか。
「長野新幹線」の正式名は、「北陸新幹線」です。長野までの開業なので、開業当初は「長野行新幹線」で、現在は「長野新幹線」と案内されています。現に、『JR時刻表』(交通新聞社)の「営業案内」「長野新幹線」の項には「(北陸新幹線)」の文字があります。そこがプロっぽいのですが、鉄道に詳しくないと、混乱するのではないかと危惧しています。
なお作中では、すべてかどうかは不明ですが、建設・計画中の新幹線が開業しているとの設定です。
ヒロインたちの私服姿をもっとじっくりと見られるカラーイラストがほしかったですね。桜井あおいはともかく、小海はるかは正面向きとはいえ、腕を交差させ、コンテナを抱いていました。札沼まりは、横向きの体育座りでした。
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