シロさん一押し!(21歳)
冷酷さから“氷雪王”とも渾名される、皇帝エドリックが皇后に選んだのは、地方伯の娘にすぎないアイリス。逆らうことなどできるはずもなく、
アイリスは幼馴染みへの淡い恋心を殺し、皇帝との華燭の典に臨んだ。しかし皇帝は渾名通り情のない男だった。互いを名前で呼ぶことすら許さず
、“皇后”として公務を果たし、世継ぎをもうけることだけを要求し…!?2010年度ロマン大賞受賞作。
非常に切ない、ジーンとくるラストに本当に涙が流れました。
コバルトらしい「政略結婚」をテーマとしたデビュー作。
落ち着いた文体、しっかりとした舞台設定、キャラクターの配置、物語の起伏。
どれをとってもレベルが高い。
この物語のヒロイン・アイリスのじゃじゃ馬的キャラクターと、〈氷雪王〉として恐れられる皇帝・エドリックのやりとりも微笑まい。
一地方伯の娘にすぎなかったアイリスにエドリックが求めることは「世継ぎ」のみ。
当然、ぶつかっていく二人。最初こそはギクシャクして、もう離婚すら目の前をチラつくような関係がしばらく続きます。
しかし、二人は徐々に、惹かれていきます。
ここまでは、テンプレな流れ。読者は「何だ、ありがちなハッピーエンド?」と推測しがち。
だが、惹かれあう二人の影で、エドリックを疎ましく思う皇太后や王弟ルイの罠が二人を追い詰めます。
同時に、〈氷雪王〉エドリックに迫る残酷な未来を、語り手が示してきます。
ぶつかり合っても、夫婦として生きると決めて、一時の平和を得た二人に待ち受けるラストは必見です。
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
なんと言っても〈氷雪王〉エドリック。
やはり、クールで冷徹な男が一人の女の子にデレていく過程は普遍の面白さがあります!
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
語り手がラストで明かされるのですが、その語り手の存在のせいか、視点がブレるところです。
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