いでおろーぐ!
ラノベの王女様さん(女性・17歳)一押し!
■ 解説
「恋愛を放棄せよ!すべての恋愛感情は幻想である!」雪の降るクリスマス・イヴ、カップルだらけの渋谷。街の様子に僻易していた非リア充の高校生・高砂は、雑踏に向かってそんなとんでもない演説をする少女に出会った。
彼女の正体は、同じクラスの目立たない少女、領家薫。演説に同調した高砂は「リア充爆発しろ!」との想いを胸に、彼女が議長を務める“反恋愛主義青年同盟部”の活動に参加する。やがて集まった仲間とともに『バレンタイン粉砕闘争』への工作を着々と進めるのだが―!?「我々は2月14日、バレンタイン・デーを、粉砕する!」
■ ラノベの王女様さんの書評2015/03/25
少子化による経済危機が叫ばれている昨今。
でも、少子化対策で救われるのは誰なのかしら。
いつだって語られるのは「日本のこと」ばかり。
市民から専門家に至るまで、誰一人として「生まれてくる子供」のことなんて気にかけやしない。
自分の子供に「奏流(ソウル)」「得美寿(エルビス)」と名付ける親。
教養不足を恥じず、階級を再生産させてしまう親。
「育ててるんだから偉い」とカルト宗教のごとく盲信し、子の自主性を破壊する親。
少子化対策の名の下に、これら「毒親」の存在に言及することはタブーとなってるわ。
「反毒親」の先駆者であるスーザン・フォワードは『毒になる親』でこの病的な状況を記述してるわ。
ところで、一般社会全体を見渡してみれば、人間のほとんどすべての文化や宗教は、太古の昔から例外なく親に全能の権限を与えてしまっている。子供が正面切って親に“刃向かう”ことは、ほとんどタブーといっていいくらい認められていないのである。「親に口答えするんじゃありません」という言葉を人類はどれほどくり返してきたことだろうか。
引用・『毒になる親』
「親だって人間だ。間違いはするさ。その時正せばいいじゃないか」と反論があるかもしれないわね。
でも、ダン・ニューハースは『不幸にする親』でこう語ってるわ。「あなたは彼らを変えることはできないし、彼らのゲームに勝つこともできません。たぶん、彼らに間違いを認識させることもできないでしょう」
こうして親の存在のデメリットを列挙してみると、はたして子供を生む必要はあるのかしら。
「恋! 結婚! SEX!」なんて下らない繁殖衝動は捨て去ってしまうべきじゃない?
そう考えてるのはあたしやレビューを読んでるあんただけじゃないわ。
第21回電撃小説大賞<銀賞>受賞作である椎田十三先生の『いでおろーぐ!』のヒロイン領家薫もまた、現代の恋愛至上主義に反旗を翻す者の一人よ。
「繁殖衝動を克服せよ!」をスローガンに掲げ、人がごったがえすクリスマスイブの駅前で演説し、翌日の学校でビラをばら撒き、部活の認知度向上のために放送室をジャック。
「リア充爆発しろ!」だけでここまでできるんだから、非モテってすごいわよねー。
ここまでのレビューを見ると本編はかなりシリアスな作風に見えるけど、実際はひたすらギャグよ。
バカテスのノリでバレンタインを妨害する作品、ってところかしらね。
学生時代にまっとうな青春を遅れなかったなら必読よ!
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
表紙の領家薫に惹かれて買ったけど、途中から出てくる神様(名前不詳)のほうがあたし好みね。
のじゃロリじゃない神様は珍しいからね。ぎゅーって抱きしめたいわ!
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
リア充は読むべきじゃないわね。血管切れちゃうから。