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少女向け文庫だけど、男性でも充分楽しめるハイパーコメディ『S黄尾』

東京S黄尾探偵団

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 ○読者投票結果
 最高です!一押し。 99
 おもしろいです! 28
 なかなか良いです。 10
 ふつうです。 23
 イマイチです。 59
 おもしろくないです。 1
 買うと損します。 3

ジャンルミステリー
著者響野 夏菜
初版発行 1999年 02月
コバルト文庫(集英社)
価格(第1巻)514円 (税込:540円)
ピカチャウさん(女性・24歳) MSTさん ゆきさん(女性)一押し!

■ 解説                               
 
 試合中のアクシデントでテニスをあきらめ、個人主義的なシステムの黄尾高校に転校した行衡。
 静かな生活を夢見る行衡だったが、
 義理の兄弟と名のる少年・五月が現れたり、母親が突然ハネムーンに出かけたりで、
 彼の望みは、あっさりと引き裂かれた。
 おまけに学校の保健室に探偵事務所があって、そこのメンバーにさせられてしまい……。
 そんな時、少女たちを狙った連続誘拐事件が起こるが…。


■ ピカチャウさんの書評                     

 この作品に出会った時期は中学生のころ。
 探偵物が大好きで、通信制高校をモデルにした探偵で、
 上は65下は16のチーム8人がはちゃめちゃに事件を解決していくというお話。
 
 身内に甘く他人に厳しくという教訓を作った所長のじいちゃん「じごろー」、
 元暴走族総長「兵吾さん」、ばついち子持ち、鍵あけ名人「義美ちゃん」。
 つめが凶器な「美紗緒ちゃん」、五感が優れて、頭がいい「花音ちゃん」、
 霊感体質な「五月」、良識人「六月」のメンバーがいます。
 
 一人一人にストーリー性が会って読みやすく感じます。
 通信制高校の仕組みでありえるなと思うことがたくさんありました。



お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 藍田花音ちゃん 美紗緒ちゃん、六月、所長のじごろー
 かのちゃんは現実にいそうな女の子でギャップのある美紗緒ちゃんと仲良しという設定がすごいすき。
 良識人の六月がいることで、弄られ役が出て楽しいです。
 また、ここに書きませんでしたが、保健医早紀ちゃんと唐沢さんのこんびもすきですお。
 また、はちゃめちゃなじごろーじいちゃんがいないと成り立ちません。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 面白くしようとしているせいか、トリック性に欠ける部分があります。

 この終わり方不完全燃焼と思うときがあります。



■ MSTさんの書評                         

 タイトルに『探偵団』なんてついているので、
 謎解きミステリーが主体の話かと思ったら、全然違いました。
 確かに事件の謎解きもあるのですが、探偵らしい推理なんて全体の5%以下しかありません。
 一応、S県立黄尾高校に通っている学生たちによって
 結成されている探偵団という設定なのですが、主体はあくまで「探偵団によるハチャメチャ」です!

 とにかくもう、キャラクターが濃い! 生きているようなキャラクターというのは、
 こういうことを言うんだと思います。よくも悪くもまともな人間は一人もいません。
 そんな彼らが、様々な事件に巻き込まれ、常識外れの手段でそれを解決していきます。


 文体は読みやすく、理解もしやすいです。ノリはいいし、笑わせてもくれます。
 しかし、それでいて登場人物の内面の深さとか、過去からの離脱、成長も書かれています。
 ドロドロではない恋愛も持ち味でしょう。

 サザエさんタイムではないので、あくまで学生(限られた期間)という状況も、
 要所要所で登場人物たちの心理に影響を与えます。


(以下ネタバレ)

 主人公(?)の行衡とヒロイン(?)の花音は、当初は完全な初対面だったのですが、
 シリーズ中のわりと早い段階で、晴れてカップルとなります。
 それからは恋人という枠で二人は生活するわけですが、
 本当に現実味ある恋人関係が展開されていきます。

(以上ネタバレ)

 ありえないような根拠で男がモテモテになる萌え満載のラブコメもいいですが、
 ちゃんと一対一で恋をして、進展していく仲というのも、かなりいいものです。

 「色恋ばっかの少女チックな話はちょっと」
 というような方(とくに男性)に是非とも拝見してもらいたいです。


 あまりラノベを読まないという人から、おもしろいのないかなーと探している人にまで、
 老若男女問わずお勧めしたい作品です!


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 主人公(?)の天野行衡と、ヒロイン(?)の藍田花音です。

 さりげなく辛い過去を持つ行衡ですが、探偵団のメンバーと関わることで、
 かなり「ヤラレ」なキャラクターへと変化していきます。
 常識外れな組織に属していながら、常識・良識を探偵団員に訴えるのですが、
 まったく相手にされず、虐げられる者の哀愁を漂わせています。
 いわゆる憎めないキャラクターです。でも、主人公らしく締めるところは締めます。
 そういう、ただの「ヤラレ」で終わらないところが、私は大好きです。

 花音はかわいらしい容姿なんですが、かなり性格に難ありで、毒舌・ツッコミは天下一品です。
 ですが、重たい過去を引きずる少女で、時々その過去に囚われて動けなくなってしまうことも。
 そんなギャップが、花音を際だたせているように感じます。
 ある意味で一番リアリティーのある、「等身大の少女」のような花音は、
 過激な部分もありながら、共感できるところも多い不思議な魅力を持っています。


この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 作品そのものの欠点ではないのですが、出版社がコバルト文庫なところです。

 もちろん、コバルト文庫様を批判しているわけではありません。
 ですが、コバルト文庫のように少女向けの小説が中心の出版社の作品は、
 男性にはものすごく買いづらいものであると予想できます。

 作品の内容が男女共に楽しめるものであり、かつ、
 もっと人気が出てもいいと思う作品だからこそ、私は残念に思っています




■ ゆきさんさんの書評                      

 とにかく、ギャグのセンスが光っています。
 コバルト文庫だからといって、手に取るのをためらうのはもったいない。


 男性でも充分楽しめるハイパーコメディ『S黄尾』。
 舞台は15歳以上なら老人まで通えてしまうS県立黄尾高校。
 そこの保健室を根城とする『紀井津慈吾郎探偵事務所』、
 人呼んで『東京S黄尾探偵団(トーキョースーパーイエローテール)』。

 「他人に厳しく身内に甘く」「使えるものはハナクソでも使え」等々、
 とんでもない家訓を持つ探偵団は、殺人事件や怪奇現象まで何でも調査いたします――
 といっても、この通りコメディなので、真剣な調査などするはずもなくどこまでもハイテンション。
 ハリウッド並みの爆発もあります。(笑)

 しかしシリアスにシメるところはきっちりシメ、時にほろりとくる心理描写は巧みです。


 何より、安易な擬音やネジのゆるんだ口調で笑いを取るのではなく、
 キャラ同士の掛け合いとシュールな地の文で引き起こされる笑いはかなり秀逸。

 ……と思いきや、ここぞという時に飛び出てくるゴシック体の擬音。
 その絶妙なバランスで、さらなる爆笑の渦に呑み込まれてゆくことは間違いないでしょう。

 基本的に一話完結型なのも嬉しい。
 ギャグのお手本にもなるので、ぜひ読んでいただきたい一冊です。


お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
 ここはひとつ、我らが探偵団所長・紀井津慈吾郎でしょう。
 68歳のハイパーじいさん。天上天下唯我独尊傍若無人。
 歩けば事件に当たるお約束体質で、
 いつもS黄尾メンバーを振り回す、金に汚い土佐訛り気味のご老人。爆笑必須。



この作品の欠点、残念なところはどこですか?
 探偵モノのわりに、トリックなどの特有の事件性が薄い。
 本格嗜好の方には敬遠されるかも。
 また、せっかくの銃器で立ち回る場面がおざなり。
 まあ女の子向けライトノベルで、しかも焦点はコメディなので許容範囲でしょう。


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

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おもしろいです!オススメします。
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