ライトノベル作法研究所
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  4. ノーゲーム ノーライフ公開日:2014/05/29

ノーゲーム・ノーライフ

ジャンル:異世界FT
著者:榎宮 祐
出版社:FM文庫J
発行年月:2012年04月30日

2015年度ライトノベルBESTランキング第3位(書籍・このライトノベルがすごい!)

T.K(男性・25歳)さん一押し!

■ 解説

 ニートでヒキコモリ、だがネット上では都市伝説とまで囁かれる天才ゲーマー兄妹・空と白。世界を「クソゲー」と呼ぶそんな二人は、ある日“神”を名乗る少年に異世界へと召喚される。そこは神により戦争が禁じられ、“全てがゲームで決まる”世界だった――そう、国境線さえも。
 他種族に追い詰められ、最後の都市を残すのみの『人類種』。空と白、二人のダメ人間兄妹は、異世界では『人類の救世主』となりえるのか?

■ T.Kさんの書評2014/05/27

 ゲーム界に、ある一つの都市伝説があった。
 ありとあらゆるネットゲームを制覇しつくし、その対戦成績には、たった一度の敗北すらない伝説の最強ゲーマーがいると…
 その名前入力欄は、常に空欄となっており、そこから、その謎の人物は、通称『  』(くうはく)と呼ばれていた。

 しかし、実はその正体は、引きこもりの2人の兄妹で、外の世界になじむことが出来ず、ゲーム廃人と化した、2人のダメ人間だった。

 その正体である、兄の空(ソラ)と、妹の白(しろ)は、徹夜でネットゲームに連日没頭し続けていたある日、差出人不明の奇妙なメールが届きます。
「君たち兄妹は生まれる世界を間違えたと感じたことがないかい?」
 なぜ、コイツは自分たちの正体が兄妹だと知っているのか?
 そして、その人物はネットチェスでの対戦を挑んできます。

 イカサマ、心理戦、騙しあいの達人であるソラと、天才的な、計算、記憶といった能力を持つシロ二人は、協力して数時間にも渡る激闘の末、何とか相手を倒します。

 すると、謎の人物は再びメッセージを送ります。
「おみごと。
 それほどまでのゲームの腕前。
 さぞ世界が生きにくくないかい?」
 そう、それは2人がいつも感じていたことでした。
 2人がゲーム廃人になったのも、他の人間にその高すぎる能力を疎まれ、外の世界になじめなかったからでした。
 その人物は、さらにメッセージを続けます。

「もし、単純なゲームですべてが決まる世界があったら、
目的も、ルールも明確な盤上の世界があったら、
どう思うかな?」

 それに対し、空ははこう返します。
「ああ、そんな世界があるなら、俺たちは生まれる世界を間違えたわけだ」
 その瞬間、
「ならば、僕が生まれなおさせてあげよう。君たちが生まれるべきだった世界に!」
 その声と共に二人は異世界、ディスボードにワープしてしまいます。

 実は、2人にゲームを挑んできた奴の正体は異世界を「十の盟約」により支配する、遊戯の神「テト」であり、テトの力により二人は、魔法とゲームの世界盤上の世界(ディスボード)に導かれます。
 そこはまさに、「すべてがゲームで決まる世界」だった。

 と、いう感じで物語がはじまります。この作品において重要な「十の盟約」とは何かについてなんですが、

【一つ】この世界におけるあらゆる殺傷、戦争、略奪を禁ずる

【二つ】争いは全てゲームにおける勝敗で解決するものとする

【三つ】ゲームには、相互が対等と判断したものを賭けて行われる

【四つ】゛三゛に反しない限り、ゲーム内容、賭けるものは一切を問わない

【五つ】ゲーム内容は、挑まれた方が決定権を有する

【六つ】゛盟約に誓って゛行われた賭けは、絶対遵守される

【七つ】集団における争いは、全件代理者をたてるものとする

【八つ】ゲーム中の不正発覚は、敗北と見なす

【九つ】以上をもって神の名のもと絶対不変のルールとする

【十】みんななかよくプレイしましょう

 といった内容になっており、ここで最も重要になるのは、8個目の「ゲーム中の不正発覚は、敗北と見なす」の部分についてです。
 問題なのは「イカサマ、不正を一切出来ない」ではなく、「ゲーム中に発覚したら、」と書かれているということ、

 つまり、相手にバレさえしなければイカサマをして勝っても、その勝ちは十の盟約に引っかからずに有効となるのです。

 そして、この世界には十六種族がおり、異世界ラノべらしく魔法などやエルフなどの異種族が存在している設定なのですが、問題は、さっきのゲーム中の盟約公認のイカサマにおいて、異種族が使う魔法が強力なイカサマ手段になりえるため、魔法力、身体能力に優れている人間以外の異種族が、ゲームの腕云々以前に断然有利、ということ。
 そして、人間(人類種)は魔法を一切使えないということです。

 それゆえに、人類種は危機的状況に陥っており…

 と言う感じで、対等な条件での正々堂々の勝負と言うよりは、
「どうやって、相手にばれずにイカサマをするか?」
「相手のイカサマをいかに見抜くか?」
「相手のイカサマをいかに利用するか?」
「こちら側が一切魔法なしというハンデをいかに乗り越えるか?」

 といった相手とのイカサマ合戦、騙しあい、駆け引き、裏技などを楽しむ要素が強い作品といえます。

お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?

 ジブリール。
 天翼種(フリューゲル)という、十の盟約が作られる以前、
「神に創られた、神を殺すための兵器」
 として生み出された種族の女の子なんですが、十の盟約により現在はその圧倒的戦闘力は形骸化しており、今は、もっぱら本の収集に執心しているという設定になってます。

この作品の欠点、残念なところはどこですか?

 ソラに関するギャクについてややきつめの下ネタ要素が強い。

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