引きこもり志望さん一押し!(女性)
細く高く咆哮が響き、それに従って白と砂色の狼が駆ける。声の主は―長剣を携えた一人の少女。輝く紅玉の瞳をもち、赤い髪をなびかせて走る彼女の名は、ルビーウルフ。赤ん坊のころ森で盗賊に拾われ、狼の兄弟に囲まれて育った盗賊娘だ。「覚悟はいいか。―国ひとつ、盗りにかかるぞ野郎ども!」殺された仲間の仇を討つため、そして民に幸せをもたらすため、ルビーウルフの旅が今、始まる!第17回ファンタジア長編小説大賞準入選作。狼たちを従えた美しくも逞しきヒロイン、颯爽と登場。
「あなたはこの国の女王です」
……なーんて展開は、少女漫画なり小説なりで使い古された手であり、女の子の憧れなのではないでしょうか。
突然迎えがやってきて、実は女王なんだと連れられて、大きなお城で豪華な暮らし、多くの人に慕われて、素敵な王子様と結ばれる……そんなシンデレラストーリー。
……かと思いきや。
主人公は盗賊に育てられた活発でボーイッシュな女の子。しかも従えているのは狼たち。小人? 妖精? そんな可愛らしいものではありません。
(でもルビーウルフも狼も違う意味でとっても可愛いのですが)
迎えに来たのはかぼちゃの馬車ではありません。ルビーウルフを強引に連れて行こうとするお城のガーディアン達。
ルビーウルフの仲間達をほぼ皆殺しに、彼女を攫ってしまうのでした。
とまぁ、よくあるシンデレラストーリーとは大きくかけ離れた始まりをしますが、明るく元気で芯の強いルビーウルフはそんな逆境でも諦めません。
そんな彼女がどうやってこの事態を乗り切るのか、わくわくが止まらないこと間違いなしでしょう。
王道ではありますが、しっかりと構成されたストーリーと、魅力的なキャラクター。そしてデビュー作とは思えない文章力は素晴らしいと思います。
もう古い作品で、私がこれを読んだのも随分前のことになります。
それでも未だに懐かしくなって、時折取り出してしまう素敵な作品です。
異世界ファンタジーの冒険、恋愛、魔法、お城……こんな用語に興味のある方はぜひお手に取っていただけたらと思います。
シリーズ化したので続刊もありますが、一巻だけでも綺麗に完結していますので安心して読むことができると思います。
作者様が女性であり主人公も女の子であるため、どちらかというと女性向けな気はしますが、男性でも抵抗なく読むことのできる作品になっております。独特の濃いネタなどはございません。
王道とはなんぞや? と詰まった時にもおすすめしたい物語です。
イラスト担当は椎名優様。美麗なイラストで作品をより魅力的にしてくださっています。そこもおすすめポイントの一つですね!
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
みんな好きです。悩みますね。
それぞれの良さがあるのです……一人に決めろと言われたら決められません。
ルビーウルフはやっぱりいいですね。かわいい。かっこいい。もうね、はきはきしてていいですよ。
ルビーウルフの大事な仲間、狼のフロストやケーナも可愛いし可愛いし可愛いしたまりません。きゅん。
でも「萌え」って意味ではないですね。「いいな~かわいい! かっこいい!」という純粋に「すき」な感じです。どのキャラも。
ラノベ特有の「萌え」がないので、どのキャラも自然と好きになれるというか……。
みんなすき! でお願いします(笑)
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
え~……ないですね。
短編集まで出てて、結構後日談もサイドストーリーも補完されてて綺麗に完結した方だと思います。
ルビーウルフ達の最終巻のさらにその後とか、まあ気にならないわけでもないんですが、あまり書きすぎても…っていうのはあるのでちょうどよかったんじゃないかなと。
「え~ここで終わっちゃうの? んー、もう少しこの子達の未来が知りたい!」
そう思うくらいが一番いいんじゃないかな、と私は思っています。綺麗に完結はしたけど、この子たちはどんな未来を歩むんだろう? そんなわくわくが残るくらいがいいのかな、と思います。
「いい加減終われよ~伸ばしすぎ」という漫画にありがちの状態になるよりずっといいですからね。