ライトノベル作法研究所
  1. トップ
  2. 一押しラノベ
  3. 学園
  4. 電波的な彼女公開日:2013/12/18

電波的な彼女

ジャンル:学園
著者:片山憲太郎
出版社:スーパーダッシュ文庫
発行年月:2004年09月
○読者投票結果
最高です!一押し。 262
おもしろいです! 62
なかなか良いです。 17
ふつうです。 8
イマイチです。 4
おもしろくないです。 0
買うと損します。 1

青大将さん(男性・17歳) 久遠崎毎度さん(男性)一押し!

■ 解説

 見知らぬ少女に忠誠を誓われたらどうする?
 突然見知らぬ少女に忠誠を誓われた自称不良のジュウ。
 加え、何かと絡んでくるクラスの人気者・美夜。
 ある事件から、巷で話題の通り魔犯を捜し始めるジュウだが、犯人は身近に……!?

■ 青大将さんの書評2013/12/16

 ある日、男子高校生柔沢ジュウは、見知らぬ女子高生堕花雨と主従の関係を結んだ……。

 「紅」で有名な片山憲太郎さんが、「紅」の前に書いていたデビュー作です。こちらも、雰囲気がかなりダークです。
 この作品に「紅」の様なアクションはあまり登場しません。その代わりに頼りになるのがヒロインの堕花雨(おちばなあめ)の情報量であったり、主人公柔沢ジュウの調査、行動力だったりします。

 さらに、第二巻の「愚か者の選択」編からは刃物を持つと性格が鋭くなる斬島雪姫や、情報などに詳しい円堂円などが加わります。
 ここまで読んで、「紅」を読んでた人は気づいたと思いますが、(主人公側の)ほとんどの人物は「紅」の登場人物に何らかの関係があります。柔沢ジュウの母親はもめ事処理屋で紅真九郎の師匠である、柔沢紅香、堕花、円堂、斬島は「紅」の世界の裏十三家の家柄です。特に、斬島雪姫と「紅」の斬島切彦は性格が変わる所まで似ています。

 「紅」がある意味架空の社会を取り扱っていたのに対し、柔沢ジュウが立ち向かうのは、あくまで小さなコミュニティの中で怒る猟奇事件です。精神的には、「紅」よりこちらの方が来ます。詳しくは言いませんが、かなり文章だけでもグロテスクです。苦手な人にはお勧め出来ません。
 しかも、小さなコミュニティ独特の閉鎖感が、作品を包み込みます。その中で、味方だと思っていた人間が実は加害者だった、と言う事が起こりますので、相当人間不信になっても良い様な状況でしょう。

 そんななか、主人公を支えるのはやはり、堕花雨との奇妙な主従関係でしょう。

 本編でちらりと明かされますが、堕花雨は柔沢ジュウに救われた経験があり、それが引き金となっていて、昨今のラノベにありがちな、全く根拠のないハーレムなどとは一線を画しています。
 皮肉な結末、不思議な美少女、猟奇的な事件のあるミステリーが好きな方におすすめです。

お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?

 女性キャラは、みんな引かれないレベルで変人です。キャラが濃いと言うのは良い事ですが、これほど色々な性格が集まると選びにくいですね。

 ここでは敢えて主人公の柔沢ジュウを挙げたいと思います。
 彼は、外見は金髪に良いガタイと言う典型的な不良ですが、彼自身の性格は至って真面目です。その外見のせいで、当たり前ですが不良に間違われます。
 彼の主人公としての異質な所は、「紅」の主人公紅真九郎と比べるとはっきりします。紅真九郎は、守るべき「九鳳院紫」と言う存在があるおかげで、彼女を守るためには自分がいくら弱く見積もられても良い、と言う所があります。つまり、「角」や「崩月流」と言った強さを隠している訳です。
 しかし、柔沢ジュウは、外見が不良である、と言う事を意識しませんし、普通に作品中でやられてしまいます。つまり、自分の弱さを認識していない訳です。彼が自分の無力さを知って行く事も、この作品の醍醐味の一つでしょう。

 ただ、出来るだけあるキャラクターに肩入れしない方が、この作品を読む上では安全です。好きなキャラクターがいとも簡単に死んでしまうと「何だこれは」となってしまうので。

この作品の欠点、残念なところはどこですか?

 メジャーになれる要素が無い所ですね。

 単純に、世間を扱った(社会ではないです)作品において、猟奇的事件と言うのはおおっぴらには話しにくい事柄です。ですから、人を選ぶ事があるでしょう。それを除けば、この作品はミステリー、バイオレンスとして、正統派ではないにしろ一級品です。

 あと、二回OVA化されましたが、話のチョイスが悪いです。作画、シナリオ、音楽、キャラクターデザインと文句のつけどころが無く、某アニメ評価サイトでも2009年アニメのカテゴリではかなりの上位でした。「愚か者の選択」編だけをアニメ化しなかったのは、社会的には正しいですが、せっかくのOVAという形式を無駄にしたかな、とは思います。

■ 久遠崎毎度さんの書評2005/12/03

 おはようございます。
 久々に先が気になる小説を拝読しました。
 学園系でこのジャンルはある難しいと私は思います。 

 それを多彩なキャラたちが読者を飽きさせず、主人公を取り巻く女子(おなご)たちの恋愛感情がQoo! っと効きます。王道では無くて新しい感じの学園モノですよね。
  事件が起こってそれの解決に努める、努めるのは不良少年ってとこも熱いです。十代の読者ならまずハマると思いますよ。

 好きな人は好きなアキバ系の話題も出てきます。知る人、知らぬ人、楽しめるかと。まぁ題名的になーんかそれっぽい感じですがね。
 文才も相当ある方なんじゃないかと思います。ノリとかで爆走しておらず、見事に解けていく伏線などがそれを立証するでしょう。私も最初は「普通」といった評価だったんですが、読んでいくとその魅力に囚われて現在では発売されている三冊目まで当然の如く買ってしまいました。

 それとこの作品の一冊目は受賞作なのですが、大抵の小説の場合は受賞作がやはり一番面白いと思います。
 受賞して連載された小説って言ふものは受賞に向けられた嘱望の念が伝わり、その思いは受賞連載で自然と冷めてしまっている気がします。しかしこの作品は、次巻、次巻で面白くなっていきます。
 それは今まで私が読んできた沢山の小説の中でも稀有ですね。未だに解らない謎もありますが、とりあえずは次巻を大いに期待中です。

お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?

―堕花光―
 主人公嫌悪タイプのツンデレキャラ……すみません、私の趣味です、ハイ。

―斬島雪姫―
 主人公に真っ直ぐな好意を抱いてて、かっこいーし、かわいー……すみません同上です、ハイ。

この作品の欠点、残念なところはどこですか?

 んーなぜか、普通の女子高生である娘たちが強すぎ(笑)。
 鍛錬とかそういう問題じゃないでしょ?! みたいな感じです。説明される機会は無いでしょうが、そこは当然気になります。
 あとは、この作品の本筋でヒロインである雨の「前世の絆」……これ未だに欠片も出てこないくらい謎です。そろそろこの秘密出してくれてもいいんじゃないでしょうか。

■ 一言感想コメント

・私はこの話の世界観が特に好きです。
 犯罪が多発する世界……微妙に現実感があり、その世界に入り込みやすかったです。
 物語の基本は『起承転結』ですが、この話は『起承転結転結』みたいになっており、一つの事件が解決してホッとしてる矢先にまたちょっとしたハプニングがあって…みたいな構成で、最後まで飽きずに読むことができます。
 出てくるキャラもみんな魅力的で、特に主人公とヒロインは個々人としてはありがちな設定(不良と電波女)かもしれませんが、それでも個性的でとても魅力があります。
 文章も上手く、スラスラと読むことができて楽しいです。
  作者様とは関係がなくなってしまいますが、イラストも世界観にマッチして、それでいて可愛いので最高です。
2012/06/27

■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)

最高です!一押し。
おもしろいです!オススメします。
なかなか良いと思います。
ふつうです。
イマイチです。
おもしろくないです。
買うと損します。


-Mini Vote-

『電波的な彼女』のご注文はコチラから >>>

一言書評コメント 作品の感想を送って下さい。

一押しのライトノベルのレビューを大募集!

あなたの知っている隠れた名作を教えてください。投稿してくださる方は、

『一押しのラノベ募集係』 よりお願いします。