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なぜ、私なの? ―賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。 瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。 高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、 その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。 それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった… 弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動。
そして、大賞の名に恥じない屈指の名作です。いえ、傑作です。 二巻の解説から抜粋しますと 『マルドゥック・スクランブル』は戦うことについての物語である。 主人公の一人である十五歳の少女バロット(ちなみに主人公は他にもいます)は、 戦うことを放棄した存在だった。 そして、彼女が、自己を取り戻すことが、戦うことを取り戻すことになる。 この戦いが凄い。随所で繰り広げられる迫力満点のアクションシーンも面白いと言えます。 ですが真骨頂は、全文量のうち三分の一を埋めているカジノシーンにあります。 著者が反吐を吐きながら書き上げたこのシーン。 もう、素晴らしいとしか言いようがない。 ちなみに、全三巻の構成ですが、 一巻ごとに独立しているのではなく、一つの物語として繋がってます。 「一巻だけ買ってみよう」てな甘い気持ちだととんでもない所で『引き逃げ』をされます。 読むのなら三冊揃えてから読んでください。
良き敵役にして、バロットの牽引役です。 彼に促されてバロットは成長していく。 この物語では唯一と言える『格好いい男』だと思います。
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無責任艦長タイラー
コツコツやる奴ァ、ゴクローさんってか!? ジャスティ・ウエキ・タイラーは軍隊一お世辞上手なお調子者。 上官のタイコ持ちしか能がないとみられているタイラーだが、 奇抜な作戦と想像を絶する(!?)幸運とでトントン拍子に出世して、 今や最新鋭宇宙戦艦の艦長なのだ。 今日も今日とて副官以下の心配と不信の眼をよそに、ハナ歌まじりで航海中。 だが、敵ラアルゴン帝国の通信衛星と遭遇して……。 新鋭吉岡平書き下ろしのユーモア・スペース・オペラの登場だ。
もともとこの作品は『日本一の無責任男』こと、 植木等扮する平均が宇宙戦争で活躍するというコンセプトのもと作られています。 だから途中途中で、 「コツコツやる奴ぁ、ゴクローさん」とか「オヨビでない…」とかのセリフがよく出てきます。 でも、植木等を知っている人でもそうでない人でも楽しめる作品です。 この物語は今から約7000年後の未来、地球をはじめとする惑星連合宇宙軍と ラアルゴン帝国の戦争が激化する中での一人の【無責任】男の物語です。 主人公のジャスティ・ウエキ・タイラー大佐はライトのベルの主人公にあるまじき人物です。 副官のマコト・ヤマモト中佐の言葉を借りるならば、 『あの男には度胸が無い。才能も、知略も、政治力も、博識も、技能も、矜持も、大局観も、倫理観も、正義も、野獣的勘も、人間としての理性さえない。言いたくはないが容姿にも恵まれているとは言い難いだろう。軍人として以前に、男として―――』 以下ネバレ含みます。 ヤマモトはその後一番のタイラーファミリーとなります。 巡洋艦一隻で敵高速戦艦十六隻を打ち破ったタイラーを見て、 この男の運では片付けられない何かに身を任せて見るのも一興と考え直すのです。 その後彼は無責任艦長から、無責任提督、無責任元帥、そして無責任大統領と出世していきます。 ※以上ネタバレ終わり 作者はSFちっくな用語などよりももしろ軍艦などを良く勉強しているようです。 例えば、戦間は旧国名、巡洋艦は山や川の名前などで、 やたらとカタカナ語が乱用されている宇宙戦艦がでてくるSFになれていないひとでも、 とっつきやすいと思います。 伏線というほどのものはありませんが、 タイラーの作戦を先に予測して見るのも面白いかと思います。
タイラーの側近として健気に頑張っています。 ただ、あまりにも役回りがかわいそうな人で…… ジェット・シン・ヤスダ――タイラーの少佐時代のもと副官で魚雷屋。 脇役として頑張っていますが、所々で見せ場があるのがイイです。 ススム・フジ――最も人間味溢れるキャラクターといっていいでしょう。 感情の計算が素人でもある程度出きる分かりやすい人です。 アンチ・タイラー派ですが、第六巻では潔く自分の過ちを認めます。
彼はキャラクターとしての存在を超越してしまっているので、 単なる一人物として見ることが難しいと思います。 戦争の悲惨さがそこまでかかれていないので、 ガンダムなど普通のSF戦争モノから入った人は楽しみにくいかもしれません。
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ライトジーンの遺産
人類そのものを支えるはずの人工臓器。 そして、それに絡む事件や奇怪な現象が絶えない未来都市。 菊月虹は、そんな大都会の底で自由に生きる。 紙の本とお気に入りのウイスキーがあればいい。 だが、彼は大手人工臓器メーカーの遺した「人造人間」。 それゆえに、臓器を巡る犯罪とは無縁ではいられない。 市警中央署第4課、通称「便利課」の新入り刑事とともに、ハードな捜査にたずさわる日が続く。
ライトノベルで中年の主人公というのも珍しいですが、 「こんな中年になりたい!」と思わず思わせるほど格好いいです。 主人公は人造人間で自由人、 フリーターと浮浪者を足してにで割らない様なそんな生活をしています。 一応住居には住んでいますが、あまりいい環境とは言えないようです。 そんな主人公が、臓器崩壊・人工臓器を巡っての謎に挑みます。 と言っても自発的にではなく、 ライトジーン中央署第4課課長 申 大為(しん たいい)に依頼されての事なのですが。 申はコウにお目付役をつけます。新人刑事の、タイス・ヴィーです。 コウとタイスが掛け合いながら、事件の真相に近づいていく様はどきどきさせられます。 短編連作という形なので、神林長平の作品としてはかなり読みやすい部類だと思います。 ここから、神林ワールドへダイブしてください!
ここでは相方(?)のタイス・ヴィーを挙げておきます。 最初の頃は本当にぺーぺーの新人だったタイスが、コウに影響されるうちに 優秀な刑事へ脱皮していく様は青春物にも似ています。 『ヤーンの声』でライブに酔うタイスもいつもの刑事のタイスと違った一面を見せてくれます。
続きが気になる、というのが残念です(笑)
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