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猫の地球儀
スカイウォーカーであると言うだけで宣教部隊に殺される時代。 三十六番目のスカイウォーカー朧が残したロボットと 彼の人生のすべてが詰まったビンを拾ったのは、 朧の予言通り、三十七番目のスカイウォーカー幽でその幽は一匹のちっぽけな黒猫だった―。 史上最強の斑は過去四年に渡りスパイラルダイバーの頂点に君臨し続け、 斑に挑戦することはすなわち、死であると言われたその斑に勝利したのは 二千五百三十三番のスパイラルダイバー焔でその焔は一匹の痩せた白猫だった―。 そんな幽と焔が出会ったとき、物語は始まる…。SFファンタジー。
そのためか、しっかりとまとまった、特に完成度の高い作品です。 登場キャラクターに人間が1人も出ない、『猫とロボットしかいない、宇宙ステーション(?)』という、 独特な舞台にもかかわらず、背景設定や、生活感が、さりげなく描写に織り込まれていて、 「本当にこんな世界があるかも」と思わせてくれるのは流石です。 キャラクターも、個性的にもかかわらず、非常に安定感があり、 それぞれがしっかりとした人生観や、視点を持っています。 総じて、独特なのに、安定感がある、非常にしっかりとした描写が魅力的です。 また、「夢を追い求める、というのはどういうことか?」 というテーマの切り口も新しく、私はこれまで出会ったことがない、 新たな視点が広がるのを感じます。 「夢」はある意味、他人からは理屈で理解できない「酔狂」でもある。 それに全てをかけることが、他人にどう影響してしまうのか。 このテーマの描き方まで安定しているのは、流石です。 終盤の展開の見せ方も、切なさの演出にまで、上手さと安定感があり、唸らせてくれます。 いやホント、上手いわ、この人は。
ふざけたノリのお坊さんですが、禅宗で語られる偉いお坊さんに似た雰囲気があるというか、 本当に徳があるのはこういう人(猫ですが)なんだろうな、と思わせてくれます。 何より、物語り全体においての、重要なテーマを提示し、示してくれる重要なキャラクターです。 終盤の説教は、やや、自分のことを棚にあげている感もありますが、 それを差し引いても、しっかりしたキャラクターだと思います。
あと、秋山氏特有の悲劇的展開がありますので、絵に騙されて、 ほのぼのしたい気分の時に読むと、えらい目にあいます。
夢と言う普遍的なテーマを扱いながら、重く、しかし爽やかな読後感を持つ物語。
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ねこのめシリーズ
ばかやろー。ウサギと間違えられるだけでも屈辱だっていうのに、 こんなへんぴな惑星に無理矢理つれてこられて、 そのうえ〈悪魔の使い〉呼ばわりされて殺されそうになるなんて、 いくらジゼルが猫だからって、あんまりだー。 ジゼルは猫型生体機械。 飼い主は、衰退をめざす銀河文明のなかで、 ただひとつ発展をつづける巨体企業E・R・Fコーポレーションの会長夫妻の娘、なつめだ。 身体の弱いなつめのために、銀河のあちこちを見てまわり、内蔵のレコード装置に記録しようと、 勇んで旅に出たとたんにこの大騒ぎだ。 わけのわからぬ宮廷内闘争にまきこまれるし、ジゼルはいったいどうなっちゃうんだろう。 ねえ、アスラ、なんとかしてよー。 『ねこたま』『まさかな』につづく小林めぐみの最新長編。煌きのコスミック・ファンタジー。
世界観はまるっきりSFですけど、ストーリーや雰囲気はファンタジー要素が強いです。 主人公は猫であるジゼル。 発達したロボットたちとの戦争を経験し、ロボットを毛嫌いしている社会。 ロボットは何をしたかったのか、どうして人に反旗を翻したのか。 その結果生まれたサイバノイド――作られた命であることに誇りを持ち役職を全うする機械、 人は彼らにどんな感情を抱くのか。 遺伝子操作で生まれた人工的な人間に人権を与えるか否か。 そんな数々の社会問題を、人に寄りすぎず、 けれど猫というには人間的過ぎるジゼルの視点で見つめる話。 個人的にはジゼルの出生とそれに纏わるエピソード(最終巻)が一番好きですv
話の流れ自体はわかるのだけれど 「この時点ではジゼルはどこまで記憶を取り戻してるんだろう?」 「あれ? この記憶って前回取り戻してなかったっけ?」 とかいう疑問が時々発生する(--; 良くも悪くも独特の雰囲気を持っている作者様なので、ダメな人はダメかもしれない。
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