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ぼくらは虚空に夜を視る
あんたは“本当の空っぽ”というものがどんなだか理解できるか? 底無しの空間が永遠に広がる絶対真空に放り出されることなんざ、想像もできねーだろう? だが只の学生のはずの俺、工藤兵吾はその虚空で戦争するハメになった。 無限に襲いくる敵を、俺が駆る超光速戦闘機(ナイトウォッチ)で倒さねば人類は終りだというのだ― 混乱する俺の前に現れたのは、悪夢のような幻影と、人間に科せられた苛烈で空虚な現実だった。 現実と超未来、果てなき宇宙と揺れ動く少年の想い。 ふたつでひとつの、近くて遠いおぼろな夜空の戦記。
以下あらすじ ******** 工藤兵吾は、所属していた野球部や幼馴染の槇村聡美の人間に悩みながら、 学校生活を送っている只の高校生。 ある日、校舎の下駄箱に入っていた一通の手紙に呼び出され、一人の女子のもとに向かう。 そこで待っていた少女との出会いから工藤兵吾の日常は少しずつ、しかし唐突に変化する事となる。 只の高校生であるはずの彼が世界の真実を知った時から、 全人類を守る戦いに巻き込まれて絶対真空へと身を投じていく。 「途中」に置いていかれながら決して諦めない彼の物語――。 ******** ―――ここから先はネタバレですが……――― 学園ものかと思われがちですが、中身はどちらかというとSFものですね。 主人公の生きる世界はじつは現実ではなく、 カプセルボートと呼ばれる宇宙船のメインコンピュータが見せている"夢"のようなものであり、 現実での主人公は"ナイトウォッチ"と呼称される超光速戦闘機のコアとして、 カプセルボートを襲う謎の生命体"虚空牙"からカプセルボートを守る戦士です。 上遠野さんの著書である「ブギーポップ」シリーズの数万年先の未来の話でもあり、 劇中にいくつかリンクする文が書かれています。 とにかく描写が上手く、読んでいて飽きが来ません。 基礎設定もしっかりしていて、そういう描写が好きな方にはたまらないと思います。 ブギーポップでも見られる著者独特の世界観も健在で、ブギーは好きだけど、 これは見たことないという方はぜひご一読していただきたいです。
キャラにしても、挿絵のビジュアルにしてもドストライクでした。
それから主人公の乗る機体の描写ですが、 想像しにくいものでもあるのでそこが少し引っかかる方も居るかもしれません。
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星を継ぐもの
【星雲賞受賞作】 月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。 綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。 果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。 やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。 ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。
勿論、SMというのは、スペースミステリーの略です。(いかがわしい方じゃない) 読めば読むほど、続きが気になって仕方が無い書き方には脱帽。 ああじゃないのか? こうじゃないのか? うわっ、やっぱり違うのか! そんな風に『早く続きが見たい!』という衝動がどうにも抑えられず、 かなり難しい内容なのに、一夜で読破してしまいました。 世界観の大きな特徴としては、戦争がなくなってます。 国の線引きとか、人種とかそういうのが“下らないもの”として認知され、 地球人の関心は宇宙にのみ向いている、ということになっています。 現代よりも科学は発達していますが、時空間を超えるだとか、亜光速で走る車があるだとか、 そんなムチャクチャな発展は無いです。 今の時代がプッシュホン式の電話が通例になった頃としたら、せいぜい、 携帯電話ができたという程度の進歩。 まぁ、いずれ有りうるだろう、という範囲の発展具合です。 そして、そんな時代。月面調査中に見つかる奇妙な死体。 科学者達によって、“彼”は『チャーリー』と命名されます。 彼は『宇宙の謎そのもの』と言っていいぐらい、謎な存在です。 科学検証により、五百万年前の死体であることは確実。 しかし、五百万年前といえば、まだ人間が類人猿だった頃です。 にも関わらず、現代人と変わらぬ体組成、体構造をし、 しかも、現代技術以上の宇宙服を纏っている。 矛盾に次ぐ矛盾。理論上、彼のような存在はありえない。 だが、彼は現として存在し、科学者たちの前で物言わぬ姿で横たわっている。 これは、謎多き死体『チャーリー』に挑み続ける、科学者たちの物語です。 まず、パッと自分が予想したのは3つ。 1・地球と全く同じ環境で育った外宇宙の異星人。 2・平行世界(パラレルワールド)からやってきた異世界人。 3・未来の技術、タイムワープでやってきたものの、事故死してしまった未来人。 おそらく、似たような発想をした人はゴマンといたと思いますが……。 さて、答えはどうなんでしょうね。当然ながら、最後まで読めば分かります。 そして、科学者たちは結論に辿り着く。 ――そこで語られる真実とは……! J・P・ホーガンは、高々300ページ前後で『宇宙の壮大さを感じさせる作家』でした。
いるとしたら、それは五百万年前に死んだ宇宙飛行士『チャーリー』を置いて他はありません。 全てのキャラは、彼が秘めた謎を解き明かすための装置のようなものです。 全く魅力がないわけじゃないんですが…… チャーリーの不気味な魅力(死体のくせに一番目立ってる)の前にくすんでしまうんですよね。 彼は死体なので、当然、何も語らない。 ただ淡々と事実のみを示す存在です。 しかし、その沈黙の姿こそ、真実のみを告げている。 お気に入りなのは、そこですね。黙して何も語らずという所。 まぁ、死体なんで当たり前なんですが、ネタばらしをしないマジシャンのような魅力があります。
1・あまり改行しない。 原作を和訳したものですから、一ページに文字がズラリとならんでます。 こういう形になれてないと辛いかもしれません。 2・専門用語多過ぎ 理科が嫌いな人は途中で投げ出すこと間違いなしです。 生物学、地学、天文学、物理、化学、etc……あまりに小難しい専門用語が多い。 キャラが「ようするに……」と言う感じに訳してくれなかったら、自分も途中で投げてましたね。 大事なのは『意味不明な単語は飛ばす』ということです。 電車移動中に読むのも勧めません。休日、時間のある時にガッツリ読むのがベストです。 3・フィートってどんくらい? 結構でてくるんですよね、フィートって単位が。まぁ、分からんでも読めるんですが。 4・萌えが無い……。 ツンデレ? 属性? そんなものは一切ありません。 あるのは、ただただチャーリーという巨大な謎を解き明かそうとする科学者たちの情熱だけです。 そういう意味では『燃え』はあるのかもしれません。 後、論争もあるので、バトル要素もあるのでしょうか?
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