墨鴉さん一押し!(男性・25歳)
「みお、『正義の味方』にならないか?」―海老原みお、中学二年の夏休みは、兄・真太郎のこの言葉から始まった。
彼が製作したロブスター型海難救助用スーツ「Rユニット」を着用し、正体不明の正義の味方「レスキュー・エンジェル」として、美杉市の海の平和を守るのだ!―お兄ちゃん。わたし、カナヅチなんですけど…。
だが、その活躍の裏には、みおの知らないある陰謀がひそんでいたりして…!?
第6回「えんため大賞」優秀賞受賞の、ひと夏の少女の成長物語。
ジャンルについて、該当するものがありませんでした。
一応、超科学なメカが出てくるのでSFにしましたが、実際は「ジュブナイル小説」とかそんなのだと思います。
この作品、及びこの作者さんがこの後に書かれた作品は、いわゆる最近の「ライトノベル」の定義とはかなりかけ離れています。
本作の主人公は女の子です。
男性キャラクターは実質一人しか登場しませんし、しかも主人公の女の子のお兄さんです。
女性キャラクターもたくさん登場しますが、ラブもコメもありません。
主人公の女の子が、お兄さんに頼まれてパイルバンカー搭載のスクール水着型パワードスーツを身にまとい海難救助に挑み「正義の味方」になる、というのが大筋のストーリーです。
ですが、ラノベ的な要素はそれだけで、作品自体は児童文学を中高生向けにアレンジしたもの、といったところです。
先述のように、「ラノベ的な」ラブもコメもありません。
あっと驚くような衝撃的な感動シーンもありません。
ですが、読んだ後不思議と暖かい気持ちにさせられるお話です。
一応、『狂乱家族日記』と同じ年にえんため対象大賞を受賞し、一部熱心なファンも多い作品です。
まさに隠れた名作だと思います。
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
主人公の海老原深青ちゃんでしょうか。
彼女の精神的な葛藤や成長が主軸のお話ですので。
ちなみに作中では「みお」とひらがなで表記されているのが特徴です。
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
この作品の特徴かつ長所でもあり、同時に欠点でもあるのが「昨今の定義で言うところのラノベ的でない」というところです。
主人公は女の子ですし、キャラクターもどこか常識人としての理性が残っており、はっちゃけたラブもコメもありません。全体的に、好意的に最後まで読まなければ良さがわからない、という点がマイナスです。。