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塩の街
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。 塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。 その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。 男の名は秋庭、少女の名は真奈。 静かに暮らす二人の前を、さまざまな人々が行き過ぎる。 あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。 それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた。 そして―「世界とか、救ってみたいと思わない?」。 そそのかすように囁く男が、二人に運命を連れてくる。 第10回電撃ゲーム小説大賞・大賞受賞作。圧倒的な筆力で贈るSFラブ・ファンタジー。
人間が塩のオブジェになってしまう恐ろしい話です。 ↓ネタバレです。 「たった一人が手にはいるなら世界が滅びてもかまわない」 初めて読んだ文庫版でこんなセリフを主人公に言わせることの出来る著者に痺れました。 恋愛ものとしても極上だと思うのですが…こんなセリフを言える恋をしたいものです。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? 小笠原 真奈ですね。 この作品の欠点、残念なところはどこですか? 挿絵が全編を通じて1枚だけ。 その演出が憎い、憎すぎる。 というわけで、買った方は、読むより先に挿絵を開いてしまうことがないよう、 くれぐれもご注意下さい。
さすが有川浩さんと言うべきか、構成力や伏線の張り方が見事ですし、世界観も斬新です。 そこへちょっとベタなラブストーリーを挟み込む手腕もまた見事。 ここから先少しネタバレ入りますが 後半、F-14トムキャットを奪取し、災厄の元凶を破壊する描写があるのですが、 文字表現では難しいとされる戦闘機の機動をも迫力ある描写で見事に描ききっており、 また有川さん本人もミリタリーファンであることからミリタリーファンにも 色々嬉しい描写などが入ってます。 と言うかミリタリーに通じた人じゃないと分からない単語もいくつかありました。 (一応知らなくても物語には支障ないですが) 今友人にも全面的に勧めてる一作です。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? 秋庭二等空尉も格好いいですがあえて入江慎吾で。(とことんタチは悪いですがw) この作品の欠点、残念なところはどこですか? 見当たらないです。
2012/03/14 ・話のテンポがよくて、伏線もすっきり改修できて後読感がよかった。 2012/03/14
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ジェスターズ・ギャラクシー
銀河帝国末期、後の世に殺戮集団として悪名を残した若者たちがいた。 歴史に描かれる彼等は、皇帝に忠誠を誓い、暗殺・拷問は朝飯前の恐ろしい奴ら。 だが、その実態は―。 銃を構えた革命家たちに囲まれていながら、 そっちのけで珍問答を始めるようなうつけ者たちなのだった。 「阿呆たれ!アルロン、何やってんだ」 「ベレズ先輩、僕は自分の故郷を悪く言われたら怒ることにしてるんです」 「全然、怒ってるように見えねーよ」 「怒ってますよ、ほらこんなに」 「見えねえよ」 自分が信じるもののために生きた男たちの不器用な生き様を、 時に可笑しく時に哀しく描き出す、ボケツッコミ青春グラフィティ、ここに登場。
この作品は地球人類が科学を発展させて銀河を支配するという一般的なSF設定と反対の、 地球が先進した科学技術を持つ銀河帝国に支配されるというスタイルを取っています。 その設定のおかげでこの作品は地球の科学にとらわれない独自の科学理論が展開されており、 SFというよりはどこかファンタジーな感じのする作品です。 時代の設定は銀河帝国という巨大な国家が 民主主義や自由主義の流れに逆らえず滅びていくという、どこか幕末を思わせる設定で、 主人公たち銀河騎兵連隊は新撰組を思い起こさせる一種の歴史小説的な要素ももっています。 だからか知りませんが、 作者曰くこれはSFでもなくスペオペではなく星間史劇なんだそうです。 壮大な世界観に思わず吹き出す個性豊かな騎兵たちのやり取り、歴史の背景をめぐる策略。 話の構成がとても上手く、特に初めて一巻を読んだとき最後は「やられた!」と思いました。 SFであり、ファンタジーであり、歴史小説でもある、そんないろんなものが組み合わさった物語で、 それらがまったく違和感がないという本当によく設定されている作品です。
地球人で日本人。 とても優しい少年で、屁理屈こねて敵さえ助けたりするような人物なのです。 でも…… ちょっとネタバレになりますが、のちの歴史では、 「<鮮血の天使>最強のパイロットにして最後の生き残り、数多の革命戦士を葬り去り、 その残虐と冷酷を持って<共和国>の誕生を三年は遅らせた男」 となっております。 作中で地球はかつて民主制が成り立っていたという点で、 舞台にはなりませんが重要なポジションを占めています。 そこの出身者である主人公が民主主義を目指す革命家たちの敵で、 そのことが作品を大きく盛り上げている点でもあります。 また、彼の地球人らしく生きようとする姿には非情に好感が持てます。
文化や言語が地球のものとは異なる部分がありますので。 それから一巻と二巻の間でイラストレーターさんがかわっているので、 その辺が気になる人は気になるかも。 あとはこのシリーズ、新刊が出ない。 でも一読する価値のある作品ですよ!
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