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人間心理

こども時代のジェンダーの発達を論じた書

ジェンダーの発達心理学

 著者:スーザン ゴロンボク、 ロビン フィバッシュ/翻訳:小林 芳郎、瀧野 揚三
 出版社:田研出版
 サイズ:単行本/291p
 発行年月:1997年11月
 本体価格 6,500円 (税込 6,825 円)

風月堂さんのオススメ!

■ 解説                            

 本書では、個人の
 「生殖的な役割と社会的な役割との間にある絆が弱まってきているにも関わらず」
 両性の差異が発生・持続し、両性の行動に作用する現実を問題とし、
 この現実へ、個人の生得的な生物的事実を考慮しつつ、
 個人が生活していく社会的な文脈を重視し、ジェンダーからのアプローチを試みている。


■ 風月堂さんからの書評(良かった点、役に立った部分など)   

 男女の差にどれだけの有無があるか、その差異はどこまでが生来か社会的後天的かの検討は、
 実は大変に難しいものです。
 男女の差異を、安易に脳に還元しないために、この本を薦めます。


【内容】
 出生前から職業選択まで一生を対象にします。
 おおまかに一部を挙げると、
・出生前や性的関係での、ホルモンの心身への影響。
 (間性や乳幼児の行動の男女差への影響、同性愛者など)
・ジェンダーを自明のものとせず、子供はジェンダーをいかに理解していき、
 それに対しどのように接するのか
・乳幼児に男女で同じ玩具を与えた時の好みの違い
・乳幼児に対する態度等の男女の違いの有無
・乳幼児の遊び方、青年期前後の友人関係の差
・職業や学業に対する考え方の差、各分野への価値観、組織内での態度

 など様々な知見が紹介され、いかに評価すべきか検討されています。
 また、(既に時代遅れとなった)精神分析の学説も珍しいです。

 脳の差を前提にしないため、(しばしば単純明快で安易な)男女脳言説では見過ごされがちな、
 男女のあり方・側面の多様さが分かります。

 また、ここで紹介される様々な知見は、男女差等がどこまでが生来(=脳?)か
 環境由来かの判断が慎重に検討されており、学術書として信頼できます。


【薦めた理由】
 創作では(必ずしもリアルが必要ではないので)生かしずらいかもしれませんが、
 むしろ「男女差についての本への態度」として、
 安易に脳のみ(あるいは社会のみ)に還元するような資料には
 慎重であるべきことがよく分かります。
 『話を聞かない男、地図が読めない女』の人気に懸念を感じたので、
 「男女差についての本への態度」という観点から、敢えてここで紹介しました。


■以下は、紹介というよりは、参考の意見です。
 必ずしも掲載を目的としていませんが、私が
 『「話を聞かない男、地図が読めない女」の人気に懸念』を示す理由を説明します。


【「男女差についての本への態度」という観点から】
 「話を聞かない男、地図が読めない女」は科学書としての問題点が少なくありません。
 男女差とその原因について、社会的な背景をほとんど検討せず、
 「男女差=生来の脳の差」とする断定が非常に目立ちます。
 
 また、このほかの、進化心理学(進化生物学を背景とする)、
 文化人類学や心理学の著作と比べると、参考にしている部分と、
 明らかに定説さえ踏まえていない部分とがあり
(空間把握能力・幾何学の男性優位は取り上げても、
 計算スキルには男女差がほとんど無いという知見には全く触れない、など)、
 公平性に少々疑問があります。

【「創作という観点」から】
 ただ「話を聞かない男、地図が読めない女」は分かりやすいエピソードが豊富であり
 (後半では、近年男女の違いが少なくなってきたことにも、きちんと触れています)、
 また、創作は学術的な信憑性が第一でないので、
 その点からは無益とは言い切れません。(女の話に結論を求めてはいけない、など)。

 また、そこで提示されるアドバイス等も、『男女の違いの原因を安易に脳に還元しないなら』、
 生かしうるのかもしれません。

*問題なのは、あくまで「理論展開の方法論」であって、「男女差の肯定」ではありません。
 良識的な心理学の著作は、「性差の有無」と「性差の原因」を区別した上で、
 証拠がある所には(それぞれに)きちんと性差を認めています。


■ この本の欠点、残念なところはどこですか?          

・内容はそれ程難しくはなく(単純でもないが)のですが、
 具体的な記述は実験や観察上のものが中心で、
 エピソード的な面白さ・分かりやすさは求められません。

 そのため、男女の考え方の傾向は分かりますが創作には少々生かしづらいと思います。

・専門書であるせいか、価格が約7000円と高価です。図書館で借りるのも一つの手です。

・書かれたのが少々古く80年代の論文の引用も多いため、本書内での"現状"は、
 最新の状況とはいえない(それでも安易な男女脳言説より信頼できます)。

 創作に生かすなら、異性が書いた小説やエッセイが一番良いのかもしれません。

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進化生物学の知識をもとに、人間の行動や心理を解明するための一つのアプローチを概説する

進化と人間行動

 著者:長谷川寿一・長谷川真理子
 出版社:東京大学出版会
 サイズ:単行本/291p
 発行年月:2000年04月
 本体価格 2,500円 (税込 2,625 円)

リンチェさんのオススメ!

■ 解説                            

 ヒトが生物界の一員であり、
 われわれもまた進化の産物であるという基本的な前提から出発すると、
 人間の行動や心理はどのように理解できるだろうか。
 人間とは何かという永遠の問いにダーウィンの「知」で挑む。


■ リンチェさんからの書評(良かった点、役に立った部分など)  

 この本は、人間の心理や文化、行動を進化という面から考察したものです。

 人間社会、人間心理、男女の葛藤などは、
 文学において重要なテーマと位置づけられてきたものです。


 たとえライトノベルを書くにしても、これらのテーマについて、
 (文学的のみならず)科学的な見方を学んでおくということは、決して無駄にはならないでしょう。

 さて、こちらの創作掲示板では、しばしば男女の心理・嗜好の違いが話題になります。
 この本では、恋愛や結婚の心理や制度、
 嫉妬心の男女差などについても科学的に考察されています。
 もちろん、実際に他人(異性を含む)と触れ合い、
 経験を積む以上に人間理解に役立つことはないでしょうが、
 そうであっても一般化された人間・男女というものを学ぶことは無駄なことではありません。

 また、社会性や男女関係と進化とのかかわりについて、
 人間に限定せず、さまざまな動物の例を挙げて説明している点もこの本の長所の1つでしょう。
 
 作品に架空の文化・種族を登場させる時、
 そのような文化・種族がどのような進化を経れば誕生するのかまで考えられれば、
 設定により説得力が出るはずです。



■ この本の欠点、残念なところはどこですか?          

 この本は、元々大学の教科書として書かれたものです。
 もちろん、教科書としてはかなり読みやすい部類に入りますが、
 そうであっても雑学本のようなキャッチーさはあまり期待できません。

 
 また、小説執筆に役立てることを意図したものでもないため、
 必ずしも読んだら即座にリアリティー溢れる作品が書けるようになるというものでもありません。

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女心のわかない男性作者、男心のわからない女性作者の手引き書!

女は男のどこを誤解するのか

 著者伊東 明
 出版社:三笠書房(王様文庫)
 サイズ:文庫/221p
 発行年月:2003年09月
 本体価格 476円 (税込 499 円)

 
GGさんのオススメ!

■ 解説                            

 なぜ男は理屈っぽくて、相手の話を聞かないのか、
 なぜ女は感情的で、まわりくどい話し方をするのか……
 男と女の“会話スタイル”の違いを知れば、もう悩まない!
 “プライドの男”と“シンパシーの女”がいい関係を築くために、
 今日から使える“会話の心理術”が満載。



■ GGさんからの書評(良かった点、役に立った部分など)    

 魔法やら武器やらの知識を得るのもいいですけど、
 やっぱり小説を書くという以上、『人物』が必須です。
 そして、男と女では頭の中身が違います。
 というわけで、この本をお勧めします。
 
 簡単に言えば、『男と女の考えの違い』というテーマの心理学の本です。
 
 男なら女の、女なら男の頭の中身を完全に理解するのは不可能ですが、
 小説を書くということに絞れば、この本に書いてあるものを理解できれば十分だと思います。
 たとえば、「おいしい店を見つけたんだけど」で始まる会話を、
 男だけで話した場合と女だけで話した場合でどう異なるのか、
 どうして違ってくるのかを簡潔に説明してくれているので、

 自分が考えた会話文をより自然に発展させるにはどうすればいいかがわかります。

 行動一つとっても、男と女とでは感じ方が違い、
 それに対するその後の発展の仕方も違ってくるので、

 男ならどうするとか女ならどうするということに悩む時間が減ってくれます。

 文庫なので、持ち運んで読めますし、実生活にも役立ってくれるので、一石二鳥です。


■ この本の欠点、残念なところはどこですか?          

 人間の行動にしか通用しません。
 モンスターや架空の生き物などの場合は、これを参考にしても意味がないかもしれません。
 そして、よほど現実的な内容のものでないかぎり、
 後から会話を修正するということが難しくなると思います。
 なので、この本を読んだ後に、別の話を考えてみるほうが楽かもしれません。
 
 そして、一部分に大人向けの内容が含まれているので、
 自分がまだお子様だと思っている方にはあまりお勧めできません。


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「男と女の謎」を解き明かし、日本で200万部、全世界で600万部、となった超ベストセラー

話を聞かない男、地図が読めない女

 著者アラン ピーズ
 出版社:主婦の友社
 サイズ:文庫/348p
 発行年月:2002年11月
 本体価格 667円 (税込 700 円)

 
みらいさんのオススメ!

■ 解説                            

 女は歯を磨きながらでも歩き回ったり、
 いろいろなことを話したりできるのに、男にはこれができない。なんでだろう?
 なぜ特許出願の99パーセントが男によるものなのか。
 なぜ女はストレスが溜まるとおしゃべりをするのか。
 なぜ買い物嫌いの夫がこんなに多いのか。

 バーバラとアラン・ピーズ夫妻によると、
「私たちがどう考えどう行動するかは、
 脳の配線と、体内を駆け巡るホルモンという2つの要因によって、
 生まれるずっと前からほとんど決まっている」という。

 社会化する過程や、政治観や、しつけが違うだけではない。
 男と女は脳が大きく違っていて、生まれつき違う行動をする傾向がある。
 
 こうした違いがもとで、満足のいく人間関係を築けないケースがあまりにも多い。
 だから、男女の基本的衝動の違いを理解すれば、自己認識を深めることができるし、
 男女間の関係も改善できる、というのが
 『話を聞かない男、地図が読めない女)』の基本的考え。

 ピーズ夫妻は本書執筆のためのリサーチに3年をかけて世界中を旅し、専門家の話を聞き、
 民族学、心理学、生物学、神経科学の最新の研究成果を調べた。
 しかし、決して「難解な科学書」ではない。
 本書の第1の目的は「男と女の平均像、つまり、ほとんどの男女が、ほとんどの場合にすること、
 あるいはしてきたこと」について語ることなのである。


■ みらいさんからの書評(良かった点、役に立った部分など)   

 良かった点は、
 この本は、男と女の心理についてさまざまな部分から光を当てています。
 読みやすくてさらっと1,2日で読めると思います。

 役立った点は、
 男なら女の人の心理が分かるし、女なら男の人の心理が少しは分かると思います。
 少し登場人物にリアルさを追求したくなったなどの時はこの本をおすすめします。


 あと、この本は私たちが生きていくなかでも役に立つところが多く、
 異性とはこんなものなんだと信頼関係を作ることのきっかけとなります。
 私もそうでしたから。

 文庫本も出ているようなのでそちらをおすすめします。


■ この本の欠点、残念なところはどこですか?          

 特にないと思います。

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