日本人のための宗教原論
■ 解説
本書は、本格的な宗教原論である。各宗教の蘊奥（奥深いところ）から説き起こし、比較歴史的に、どのようにして、これらの蘊奥に達したかについて解明し、現代にどんな影響を及ぼしているのかを論ずる。
■ スポポニウムさんの書評
近代日本社会学史にその名を残す天才、小室直樹が実にわかりやすく、痛快に世界のメジャーな宗教の思想について解説した本。
神や悪魔、をテーマに作品を書かれる方は多い。
しかし、神や宗教が持つ思想について知っている方もまた少なかろう。
この本が解説しているのは、宗教を宗教たらしめている思想がいかなるものか、ということである。
日本人は宗教の表面（宗教的行為や歴史、 神や地獄といった概念）は知っているが、それが宗教的には何を意味し、思想上どのような必要があって生まれたのかについては全く知らないのである。
例えば仏陀である。仏陀は悟りを拓き仏教を創始したと伝えられているが、では仏陀はいったい『何を悟った』のであろうか。知っている日本人はほとんどいまい。
また、よく一神教の神は残酷であると言われるが、では何故人類がその残酷な神を発明しなければならなかったのか、これに対して満足の行く回答ができる日本人もまた多くはあるまい。
宗教とはまさしく人類の思想史の結晶であり、そのすべてが何らかの必要性があって誕生してきたものであると本書は語る。
神や悪魔、宗教について何らかの資料が必要になったら、ぜひこの本をも一読されるとよい。
『木を見て森を見ず』の神様・悪魔ごっことは一味も二味も違う、宗教の奥深い思想史について知ることが出来るだろう。
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