ライトノベル作法研究所
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  4. ライトノベルの書き方の教科書〈1〉基礎編公開日:2014/03/18

西谷史先生のライトノベルの書き方の教科書〈1〉基礎編

ジャンル:ラノベハウツー
著者:西谷 史
出版社: 秀和システム
サイズ: 単行本
ページ数: 207p
発行年月:2013年02月
ラノベの王女様さんのオススメ!

■ 解説

 空想したことを文章に書いて他の人にわかってもらうのはなかなか難しい。ライトノベルの文章基礎を学べる教科書。

■ ラノベの王女様さんの書評2014/03/18

 東京病院のICUの一室。酸素吸入器を装着し、死んだようにベッドに横たわる男。
「パパ、しっかり……」
 枕元でささやき、涙を浮かべて父親を見つめる幼い娘。
 つきそう医師は、モニターの数字を凝視している。四〇から二〇に落ちる、血圧を示す数字。
 小さな嘆声を漏らす、部屋の隅に待機していた看護師たち。
 何種類もの薬のパックをぶら下げた、ベッドの側の点滴スタンド。そこから伸びたチューブが男の腕につながっている。 医師は、その一つの薬剤の量を調節した。
 すると血圧を示す数字が上昇し、だがすぐに二〇以下に落ちる。
 諦めたように首を振る医師。
「パパ、がんばって」
 ベッドの側にひざまづき、むくんだ男の手をとり、必死に呼びかける娘。
 すると男の手がピクリと震え、血圧が上がりはじめる。
「私はここにいるわ。お願い目を覚まして」
 うっすらと瞼を上げて、娘を見つめる男。その唇が彼女の名を呼んだ。

 今の文章に触れてどう感じた?
 集中治療室で死に瀕していた父親が、娘の声で意識を取り戻す場面。
 書くべきことはちゃんと書かれている(著者)にも関わらず、迫力がないのはなぜか。その理由をきちんと言葉にして説明できるかしら?

 そしてもう一つ重要なのが、「迫力あるシーンに書き直せるか?」ってこと。
 いくら改善点を把握できたところで、実際に文章を直すことができなければ、どんな素晴らしい理論を身につけても豚に真珠でしょ?

 その実践力を鍛えるのがこの本よ。
 「僕は優香が鮫島がアカデミー賞の候補になっているというのを聞いてびっくりした」なんて小学生レベルの文章から、さっき引用した「日本語はきちんとしているが描写力が足りない」文章まで、「改善点」と「改善後の例文」をきちんと紹介してるわ。
 抽象的な理論展開に終始するのではなく、とことん具体的な文章執筆に紙面が割かれてるわ。

 とにかく『基礎編』は具体例が豊富。

 『バカテス』『禁書』『ハルヒ』に代表されるベストセラーはもちろん、心情描写の優れた例として『文学少女』が何度も引用され、さらには対象を最近のラノベに限定せず、『女神転生』『東京SHADOW』のような著者の作品から『人間失格』『吾輩は猫である』といった古典、『ビブリア古書堂』『よろず占い処』みたいな一般文芸まで。

 この内容で1300円はお得すぎるんじゃないかしら?

■ この本の欠点、残念なところはどこですか?

 タイトルには『ライトノベルの書き方』ってあるけど、ラノベっぽい描写の訓練は皆無ね。
 「ツンデレキャラの書き方」「掛け合いを面白くする方法」「どうすれば読者は萌えてくれるのか?」みたいな内容を期待してると肩透かしに遭うわ。
 「この描写を改善せよ」系の例文は、全部冒頭の引用文みたいな感じ。正直、見てて面白くないのよねー。
 「日本語の書き方」「小説基礎」の方が適切かも。

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