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  4. 鉄道公安官公開日:2012/02/07

鉄道公安官と呼ばれた男たち

ジャンル:警察
著者:濱田 研吾
出版社: 交通新聞社
サイズ: 新書
ページ数: 244p
発行年月:2011年08月
ドラコンさんのオススメ!

■ 解説

 「鉄道公安官」とは、昭和22年から国鉄分割・民営化まで活躍した、「鉄道公安職員」の通称。
 現在、その役割は都道府県警による鉄道警察隊に引き継がれているが、当時はれっきとした国鉄職員であった。
 本書では、国鉄マンとしての誇りを持ちながら、駅や列車内でのスリ、窃盗、暴力事件などと戦い続けた、その全貌を、新たな資料とインタビューにより明らかにする。
 鉄道という閉じた「舞台」ならではの犯罪エピソードも興味深い。

■ ドラコンさんの書評2012/02/07

 この本は、タイトル通り「鉄道本」なので、鉄道ファン以外の方は取っ付きにくく感じるかもしれません。
 しかし、だれでも被害者や目撃者になり得る犯罪である、スリの手口、捜査手法、犯人の実態について、詳しく書かれています。

 取材に応じた元公安官の中には、1人で12人ものスリ集団を捕まえ「黄金の腕」と呼ばれた人や、和歌を詠む優雅な一面がありながら「上野の鬼平」「上野の平次」の異名をとった人が出てきます。

 刑事のキャラクター作りの参考になります。

 また、「家出人保護」は日常茶飯事の業務だったので、これについても記述があります。
 欠け落ちカップルを保護して、親を説得して結婚させてやった。
 補導した無賃乗車の芸能人追っかけ少女に食事をごちそうした上で、その芸能人に会わせてやり、帰宅させた――このようなエピソードもあります。
 これらは、異世界トリップ者の保護のヒントになり得るのではないでしょうか。

■ この本の欠点、残念なところはどこですか?

 残念な点としては、「現在(2012年2月)の鉄道警察隊の記述が少ない」ことです。

 プロローグでは2010年(平成22年)に警視庁鉄道警察隊が、スリ歴50年以上という常習犯を逮捕したことに触れています。また、現役の隊員に取材をしています。それでも、鉄道警察際の組織についてはあまり書かれていません。
 不満というより、注意点は以下の通りです。

 1、この「交通新聞社新書」は、書店の新書本コーナーではなく、「鉄道本」コーナーに置かれていることが多い。
 2、国鉄時代(1982年〈昭和62年〉以前)の話が中心。そのため、この時代を舞台にするなら大変参考になるが、現在では古くなっているものも多い。

 特に、「静岡発、偽りの乗車券」と題して、キセルの手口を詳しく書いてある。しかし、この手口は現在ではまず通用しない。

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