昔、中国に「盗賊」というものがいた。いつでもいたし、どこにでもいた。
日本のどろぼうとはちょっとちがう。中国の「盗賊」はかならず集団である。
これが力をたのんで村や町を襲い、食料や金や女を奪う。
へんぴな田舎のほうでコソコソやっているようなのは、めんどうだから当局もほうっておく。
ところがそのうちに大きくなって、都市を一つ占拠して居坐ったりすると、なかなか手がつけられなくなる。
さらに大きくなって、一地方、日本のいくつかの県をあわせたくらいの地域を支配したなんてのは史上いくらでも例がある。
しまいには国都を狙い、天下を狙う。
実際に天下を取ってしまったというのも、また例にとぼしくないのである。
幻の原稿150枚を完全復元。共産党の中国とは盗賊王朝である。
劉邦から毛沢東まで伝説の完全版がよみがえる。
中国の過去の王朝に存在した盗賊に書かれた書籍です。
まず最初に、存在した盗賊とは一体どのようなものだったのかという説明に始り、劉邦等の皇帝となった実在の盗賊たちの紹介が書かれています。
また、中国の戦争物では決して外せない軍師についても、彼らはなぜ盗賊に身を投じたのか、周囲から一目置かれれる存在なのか、その理由も書かれています。
それに加え、知恵者とそうでない者の間にある差別意識、体を動かすことを仕事にする人間がどれだけ軽蔑されているのかも、具体例が挙げられてとてもわかりやすいです。
読んでいると、中国人の価値観を垣間見ることもできると思います。
盗賊の違いについても書かれており、またその構成が一体どのようなものであったのかも把握できる上、民衆の人気取りの方法も載っています。
中華ファンタジーの、それも盗賊の国盗り物語を書こうと考えている人には是非お勧めしたい一冊です。
この本の印象は、先に紹介されたあずまさんとほぼ同じですが、補足を申し上げます。
盗賊に関連して、昔の中国の治安・地方行政、特に日本と中国の「県」の違いにつき、これほど分かりやすい解説がある本を見たことがありません。
同じ文字を書く「県」でも、日本と中国とでは全くの別物です。したがって、県の長官「知県」「県令」「県知事」も、日本と中国とでは権威・権力に相当の差があります。
この点を知っておかないと、小説を執筆する場合はもちろん、中国物の歴史書、小説、道教・妖怪関係書を読む際、とんだ誤りをする恐れがあります。
書く側・読む側を問わず、中国物好きに強くお薦めする1冊です。
本全体からすると、治安・地方行政関係はわずかです。
警察・裁判・行政と、もっと紙幅を割いて、詳しく書いてほしかったです。
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