日本と中国の武術に精通する金鷹拳の総教練が、螳螂拳、洪家拳など数百といわれる中国武術の全貌を図解で解説。
この本の良い点は以下の通りです。
1、中国武術の文化、伝統、歴史、精神性、門派、技、武器について、一通り手軽に知ることができる。
2、特に武器については、日本や西洋のものと対比しながら図解入りで分かりやすく書かれている。
3、戦争のための「格闘技」と、芸術である「中国武術」「日本武術」の違いが明確に説明されている。
4、武術界で嫌われることに言及されている。これは悪役作りの参考なる。
5、師匠と弟子、そして弟子同士の呼び方が書かれている。これは武術家に限らず、文人や仙人の師匠・弟子間の呼び方に応用できる。
注意点として、第4章の章名は「兵器」です。
兵器らしい兵器といえば連弩のみで、投石機や衝車のような攻城兵器はありませんでした。
防具も藤牌(とうはい)という盾だけで、ほかは武器しか取り上げていません。
これは本に対して言うことではありませんが、技や套路(とうろ)(形)は文章と図解の説明ではイメージがわきにくいです。やはり、映像資料にはかなわないな、と。
ただ、中国武術が出てくる映画の紹介があるので、必要ならビデオ屋でDVDを借りてくれば済みます。
また、日本武術との対比があります。その技や歴史、精神性といったものの知識があればより深く理解できたのではなないか、と感じました。
この本を読んでいますと、伝統は生まれたまま姿で伝わったのではなく、速度や程度に違いはあれども、何らかの変化は起きていると受け取れました。変化がなければ、「格闘技」は「武術」に昇華できなかったはずです。
この点に、矛盾や違和感を覚えたので、著者にその考えを聞いてみたくなりました。
武術本来の意義を、「代々の伝承者が伝えた技術を一点一画も崩さずに継承すること」
としながらも、開祖は套路を自ら発案、または複数の門派のものを再編したとしています。
そして、
拳法の套路は、格闘技法に決められた動作で、しかも見た目に美しく演じる「武芸」であり、人間形成のための「継承文化」である。両手の動きを駆使する徒手拳法は、両手に短兵器を持てば、さらに美と迫力を持ち、また高い芸術的動作を表現できる。そのため、実戦ではほとんど役に立たない動作も多々見られるのである
とも書かれています。
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