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  4. 吉原と島原公開日:2012/05/24

吉原と島原

ジャンル:歴史・文化・民族
著者:小野 武雄
出版社: 講談社
サイズ: 文庫
ページ数: 244p
発行年月:2002年08月10日
ドラコンさんのオススメ!

■ 解説

 公娼を一定区域内に集めた遊廓は、豊臣秀吉の政策下に出現し、江戸時代に発展を遂げた。やがて遊廓は、単なる性的遊興の場に止まらず、サロン的性格をもつに至る。主役たる遊女の艶姿や特異な風俗、遊女を巡る人間関係は、江戸期の文学、絵画、演劇等のモチーフとなった。
 代表的遊廓、江戸の吉原、京の島原を中心に、その歴史、構造、習俗等を探る。

■ ドラコンさんの書評2012/05/17

 悪徳商人が、悪代官を接待する場合にかかせぬ舞台「遊郭」を扱った本です。
 江戸の吉原を主に、京都の島原を従に、法的規制、妓楼の経営、色街の運営とった「制度面」を概説しています。

 この本は主として江戸時代を取り上げています。
 しかし、和風に限らず、中華風や西洋風世界でも、妓楼や遊女を出すのであれば、制度面につき、一定の参考になる1冊でしょう。現に、私も中華風ファンタジーのライトノベルで、妓楼を主な舞台にした作品を読んだため、この世
界に興味を持ちました。

 特筆すべき内容は以下の通りです。

 吉原での2時間単位の1日、月単位での年中行事。
 売られてくる遊女の年齢・出身。
 色街の警備、遊女の監視・出入りの手続き。
 太夫(最上級の遊女)と遊ぶまでの手順。
 太夫の学識教養。
 身請けの金額・手続き。
 一般に悪く見られがちな妓楼経営者の中にも、“良識派”も存在すること。
 簡単ながら、明治以降の法的規制。

■ この本の欠点、残念なところはどこですか?

『吉原と島原』というタイトルのわりには、ほとんどが吉原に関する記述で、島原に関するものは案外少なかったことを指摘しておきます。

 また、「遊女はどのように客を惹き付けるのか」や、「客はどこに惹かれて大金を使うのか」「大金持ちはどのような豪遊をするのか」という視点は、全く書かれていないとは言い切れませんが、かなり印象が薄かったです。

 そのため、「こんなことまで、しているのか!?」と、驚くことはありませんでした。豪遊では、紀伊国屋文左衛門が座敷で小判をばらまいている絵が掲載され、画家の尾形光琳の遊びぶりが簡単に記されている程度です。

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