プレッシャーの克服

プレッシャーを跳ね返すためには、不安や緊張、悩みをまず、受け入れ、その後、徐々に勝負に集中するように心を持っていくのがコツです。

その具体的な方法として、こんなエピソードがあります。
ソルトレイクシティ・オリンピックでは、日本人のメダル獲得者が少なかった中で、フリースタイルスキー・モーグルの里谷多英選手が、銅メダルを獲得しています。里谷選手は、3歳の頃から父親の手引きでスキーを始めました。
ところが、オリンピックの会場には、いつも彼女を応援してくれた父の姿はありませんでした。なぜなら、彼は、半年前に肝臓ガンで亡くなっていたからです。
当然、里谷選手の頭は、父への想いと試合の緊張で大変だったことでしょう。精神的支柱を欠いた状態の彼女に、日本チームのチーフコーチを務める、スティーブン・フェアレン氏は、次のようにアドバイスしました。
「スタートの20分前になったら、お父さんのことを考えなさい。頭の中から追い出そうとせず、とにかく、お父さんのすべてを思い出そうとしなさい」
「10分前になったら、ここ数日のトレーニングで、よかったことを考えなさい」
「5分前になったら、自分の目指す滑りを頭に描く。そして1分前になったら、すべての意識をコースに向けなさい」
このアドバイスに従った結果、彼女は見事、銅メダルを獲得しました。


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