ライトノベル作法研究所
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  4. うれま庄司公開日:2011/12/07

うれま庄司さんのインタビュー

 PHP研究所スマッシュ文庫より原稿持ち込みでデビュー

彼女を言い負かすのはたぶん無理

〈STORY〉
 打ち込めるような部活も見つからず、平凡な毎日を過ごしていた桜井祐也の高校生活は、ディベート部副部長・九重崎アイラとの出会いによって激変する!美少女としての魅力がずば抜けているだけでなく、学園中から恐れられる「ディベートの天才」。頭脳明晰かつ強引な性格のアイラを言い負かせる者など誰もいない!桜井はそんな彼女と遭遇し、思いもかけなかった自分の才能を開花させていく…。
出版社:スマッシュ文庫
発行年月: 2010年11月

スマッシュ文庫の公式ページ

■ うれま庄司さんからのコメント

 はじめまして、うれま庄司と申します。
 スマッシュ文庫より「彼女を言い負かすのはたぶん無理」という本を出していて、そろそろ3巻が出ます。
 ラノ研ではあまり活動せずにもっぱらみんなの意見を読んで参考にしているだけでしたが、ショートを2本ほど鍛錬場に出したことがあり、いずれも「これはひどい」「マイナスにはしないけどプラスにもできない」などの心温かいコメントをいただきました。
 おかげで「ここまでやったらさすがに引かれるんだな」というラインを学ぶことができたように思います。
 その節は本当にありがとうございました。

■ 作家になられたうれまさんに気になる質問をいくつかしてみました

Q1: 初めてライトノベルに出会ったのはいつですか?
 中学の頃ですね。友人にアーマードコアのノベライズを勧められたのがきっかけです。

Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
 一番最初は中学の頃です。
 たしかトレジャーハンター(笑)的なものだったと記憶しています。
 さすがにその原稿はもうありませんが。ええ、ありません。ありませんよ?
 HDD内を「.doc」で検索したってムダですからね!?

Q3: 作品はどのようなソフトを使って書かれていますか? あるいは手書きですか?
 色々試しましたが、初稿は手書きが一番はやいとの結論に達しました。
 そのあとパソコンで打ち直すので二度手間なんですけれども。
 ソフトはTeraPadです。

Q4: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方がありますか?
 プロットはなるべく詳細に組みます。まあ、プロット通りになることはないのですが。

Q5: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか? 
 うーん、大学の頃だったと思いますけど、覚えてないです。

Q6: スランプになった、もしくは作家になることを諦めようと思ったことはありますか?
 スランプはしょっちゅうですw
 一時期あきらめるか真剣に悩んだこともあるのですが、結局自分は小説を書くのが好きなので、あきらめたとしても書くのはやめないだろうな、と気づいてしまいました。なので今日まで書き続けています。

Q7: アマチュア時代に参考になった本はありますか?(ハウツー本など)
 「ハリウッド・リライティング・バイブル」 はかなり参考になりました。
 あとはいろんな小説やマンガや映画を見て、「これはなんでこんなに面白いんだろう」「あずにゃんはなんでこんなにかわいいんだろう」と考えるようにしていました。

Q8: 尊敬している作家さんはいますか?
 ラノベ作家ではないですが、横山秀夫先生のような作品をいつか書きたいですね。
 あの筆力と、人間の心情を切り取る描写はすごいです。感動して泣くことはたまにありますが、小説で男泣きしてしまったのはいまだに「クライマーズ・ハイ」のみです。

Q9: アマチュア時代にどのような方法で筆力を高めていきましたか?
 ひとりでやっていた時期もあったのですが、mixiなどで作家志望仲間といろんな議論をしたり読みあったりしていた経験が一番実力につながったと思います。自分で自分の作品を客観的に見るのには限界があるので。
 あと、みんなで仲良くやっているように見せかけて、内心では「こいつらより先にぜってーデビューしてやる」と思ってモチベーションにしていました(笑)

Q10: 執筆は、いつもどのような時間帯にされていますか?
 平日は仕事があるので、夜に時間が取れるときに、ですね。
 休日に6~10時間くらいかけて一気に進める感じです。

Q11: 一日の執筆速度はどの位でしょうか? また、ノルマを作っていますか?
 1日4ページというノルマを作っていますが、体調を崩すとさらにペースが下がるので、基本的には体調優先です。
 〆切り前はそうも言ってられませんが。

Q12: 一日にどれくらい執筆に時間をかけておられますか?
 あ、上で言っちゃった。

Q13: どのような方法でプロットを作られていますか?
 あんまり安定しないのですが、まずは「今回はこれを書きたい」「これは面白いだろう」「こういう女の子かわいいよね!」などのシーンやアイディアなど、書こうとしている作品に対するイメージを一通り出しつくします。
 エンターテイメントの基本的な構造はほぼ確立されていますので、あとはその中に書き連ねたシーンや展開を入れていき、どうやってひとつのストーリーにするか、もっと盛り上げられないか、面白くできないかを考えていきます。このあたりはパズルの感覚に近いですね。
 それなりに苦労しますが、たぶん小説を書く中で一番楽しい時間です。

Q14: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
 コンセプトを明確にする、ですかね。
 どうやって読者を楽しませるのか、なにが面白いのか。キャラの掛け合いなのか、中二バトルなのか、息もつかせない展開の連続なのか。そこをまずは自分の中で明確にして、自分が書くべきもののイメージをはっきりさせるようにしています。
 そうしないと作品の軸がぶれてしまうような気がするので。

Q15: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、
 答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?

 「売れるものを書く」というのが、「多くの読者に楽しんでもらえるものを書く」という意味なのか、「今売れているジャンルや傾向を真似して書く」という意味なのかで違ってはくるのですが、どちらにしても「書きたいものを書いた結果誰にも楽しんでもらえない作品を出版してしまった」ということだけは、作家として絶対にやってはいけないと思います。
 小説というのは、読者に読んでもらい、楽しんでもらうためのものですから。
 編集さんは「売れるものを書いてほしい」と思っていると思いますが(笑)

Q16: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
 たくさんの本を読み、分析したり、実践したりしましたが、やっぱりいろんな人に読んでもらい感想をもらったことが一番ですね。ひとりでは絶対にデビューできなかったと思います。

Q17: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
 私は根が淡白なようで、これといって無いんですよね。
 あ、でも、しらびさんに美麗な絵を描いてもらえたことは、素直にメチャクチャうれしかったです。

Q18: 最後に、これからうれまさんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?
 面白い作品には必ず理由があります。
 その「理由」を見つけて自分のものにできれば、たとえパクッたとしてもパクリだとバレません。

 過去の名作も、今一番売れている作品も、真似し放題です。
 どんなにたくさんのライバルがいようと負けるわけがありません。
 それはまあ冗談だとしても、「こうすれば面白くなるはずだ」と意識を持って書いていれば、それがうまくいけば当然自分の力になりますし、うまくいかなくても次につなげることができます。
 それを繰り返すのが上達の近道なのではないかなと思います。

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