ライトノベル作法研究所
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  4. インシテミル公開日:2012/12/12

インシテミル

ジャンル:ミステリー
著者:米澤 穂信
出版社:文春文庫
発行年月:2010年06月

木有恵尊さん一押し!(男性・17歳)

■ 解説

 「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給十一万二千円がもらえるという破格の仕事に応募した十二人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。
 それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった―。
 いま注目の俊英が放つ新感覚ミステリー登場。

■ 木有恵尊さんの書評2011/03/07

 やっぱり、題名に惹かれました。なんだ? 『インシテミル』って?
 そういえば、自分は題名に惹かれる傾向があるなぁ。『アヒルと鴨のコインロッカー』の時もそうだったなぁ。

 話が脱線しました。続けます。
 内容は、上の説明通りです。いわゆる、クローズドサークル(密室空間で起こる殺人)ものです。が、この作品は他のクローズドサークルものの作品とは少し違います。

 まずこの手の作品で多いのが、目が覚めたらいつのまにか密室にいた、です。そして、そこから始まる陳腐な殺し合い。「殺される前に、俺があいつを殺さなきゃ!」みたいな。
 しかし、インシテミルは違います! (二回目)

 主人公たちは任意で密室に入っています。修学旅行中にさらわれて、いつのまにか閉じ込められていた、ということではありません。
 まあ、主人公たちは殺し合いをやらされることは教えられていないので、わかんなかったとおもいますが、主催者側は、「この仕事はけっこうやばいよ? 本当にやるの?」みたいなことを事前に説明しています。それを聞いたうえで、任意的に密室に入っています。

 そして決定的な違いが、殺さなくてもいいということです。

 密室には七日間入っていなければいけません。ということは、時給十一万二千円の給料は最後には千八百八十一万六千円に。うわ、羨ましい。 つまり、なにもせずに寝ているだけでも、これほどの大金が手に入るわけです。
 もちろん誰かを殺したら、給料が増えます。けれどそれは報酬が二倍になるという程度のもので、わざわざリスクを冒してまでする必要はありません。

 なのに、殺人が起きてしまうという謎がすごく興味を惹かれます。

 ちなみに、多くの人が題名の『インシテミル』を、『INしてみる』からきたと思っていますが、実は違います。確かに『INしてみる』は一説ですが、もっと深い意味があります。それは小説を読んで確かめてください。

お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?

 主人公の結城理久彦。
 ではなく、脇役の釜瀬丈という男。
 弱虫で、おデブちゃんで、コバンザメで、なよなよして、自分より弱いと感じた相手には徹底的に上から目線で、結局立場が逆転しちゃって、実はつぶらな瞳をしている彼がとても好きです。男なのに母性本能をくすぐられます。

この作品の欠点、残念なところはどこですか?

 やっぱり、殺し合いなので、殺人描写が出てきます。そうゆうのが嫌いな人にはお薦めできません。
 あと、最後の意味深な手紙はいらない、かと。

■ 一言感想コメント

・最後の手紙があるからこそ物語の円環が閉じるんです。あと、映画はよくなかった。
2012/12/15

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