タイトル:投稿作品のジャンルについて(&聴覚的描写について)の返信の返信の返信の返信 投稿者: 若宮 澪
まあそもそもこの物語、ラノベっていうかラノベと文芸の中間辺りになっちゃってるのであんまりお約束に縛られなくてもって気はしてますが……ならラノベ研に相談するな、っていうツッコミは無しでお願いします。読みやすい文芸を書きたいならここに相談した方が良いやって思ってて。
さて、そもそもとしてこの物語、別にヒロインを一人に絞ってるってわけじゃないです。だって、物語序盤から主人公のもと婚約者っていう「姿の見えないヒロイン」と、銀髪の少女っていう「姿のあるヒロイン」っていう二人のヒロインがいますし。
本来なら「姿の見えないヒロイン」って「姿の見えるヒロイン」の対抗馬に置かれる傾向があります。いわゆる「亡妻」「自分を庇って死んでしまった婚約者」などの「絶対に勝てない相手」として作中のメインヒロインが対置される。死んでもなお主人公の心のなかに鮮やかに残ってるヒロインって、主人公にとっては「もう変わることのない一位」になってしまっている。それをメインヒロインがどう乗り越える、あるいは受け入れるのか。そういうテーマの純愛系のラノベ作品だと、「姿の見えないヒロイン」をヒロインとしてカウントしないなら、ヒロイン一人だけで済ませたほうが良いと思います。二人の間の葛藤に焦点を合わせたいから、残りの女性キャラクターは「ヒロイン」としては後景化し、あくまでも二人の関係を補助したり、あるいは関係が変わるきっかけを作ったりするだけになる。なんか昔、そういう作品見かけたんですけどタイトル忘れちゃいました……。
それでこの物語だと「姿の見えないヒロイン」は彼女(リア)に、「姿の見えるヒロイン」は銀髪の少女(カナデ)になります。ただ、この物語は先ほどあげた純愛系のラノベ作品よりもさらに厄介なんですよね。
先程の例だと、作品のメインテーマはあくまでも「二人の葛藤」です。ヒロインは主人公を振り向かせたい、主人公は亡き思い人に囚われていたい、そんな二人の間の関係を描きたいわけですね。だから、亡き思い人は擬似的な「対抗馬のヒロイン」である以上に関係性の深化を阻む「呪い」として機能する。ここでいう「呪い」というのは「亡き思い人」が主人公のことを「許さない」と主人公自身が「思い込んでしまう」こと、ですね。
その「呪い」をヒロインが解いていき、やがて主人公はヒロインと結ばれる。これが物語の主軸となります。
対して今回の物語って、銀髪の少女の「ヒロイン」としての機能がかなーり薄いんですよね。あくまでも旅の同居人であって、恋愛対象でも、主人公に振り向いてほしいと思っていない。わにも関わらず、主人公の「呪い」というのはとても強い。だって、ヒロインと婚約破棄しただけじゃなくて、そこから貴族社会と国をぶち壊したことへの責任感っていう、もっと「自分を許せない呪い」が掛かってますから。
だから、物語としては「二人の関係性」よりも「主人公そのもの」へと焦点が合う。こうなると、「呪い」である「姿の見えないヒロイン」がますます前景に現れてきて、本来ならばそれを抑えるはずの「姿の見えるヒロイン」は後景化する。作中でカナデとの会話が少なく、回想シーンが異様に多い原因はここにあります。
こうなっちゃうと、もう「姿の見えないヒロイン」と「姿の見えるヒロイン」はほぼ対等になってしまいます。違いがあるのは「直接話せるかどうか」と「呪いかどうか」だけで、その違いは回想と自己嫌悪で補って余りある。なので、物語的には事実上、ヒロインが二人共存してしまっている。
てなわけで長々書いてきましたけど、結局のところ「物語としてはヒロインが事実上二人存在する」のではないかなと思ってます。そして片側のヒロインが「呪い」という強い個性を持ち、もう片方は「救済」という正反対の個性を持つ。片方が会えない状況にあるから目立たないだけで、実際は二人の女性が主人公を巡って争っているという構図は変わってないのです。
あと、もしも完全にヒロインが一人のものを書こうと思うと、やっぱりたまねぎ様のおっしゃるように「どうしても惹かれざるを得ない個性」を用意するのが必要かなって思います。メインヒロインが完全に一人だと言い切れる作品として私が知っているのは「転生王女と天才令嬢の魔法革命」「86-エイティシックス-」「Re:ゼロから始める異世界生活」あたりですが(リゼロについては、ベアトリスは相棒枠としてカウントしレムは三章での退場でヒロインレースから脱落して久しい、ラムは別に主人公に対して好意を寄せていないので、エミリア単独ヒロインとカウントしてます)基本的には「足りないものを補い合う関係性」が多い印象があります。ただこれらの作品って一般的なラノベ作品からはズレているので、よくあるラノベとして書こうとすると難儀しそうですね……。
っとコメントありがとうございました!