◇展開:前半
前半で明かされるのは政府AIが「向こう数年以内にイギリス経済が崩壊する」という予想を行ったこと。イギリスの統治を担う貴族および資本家たちは、政府AIとの検討の結果イギリス経済崩壊の原因は「植民地への過剰投資と債務不履行」にあると結論づけた。その解消のため、政府は市民の利用する投資ネットワークにウィルスを仕込み「見えない経済統制」を、また市民経済への影響を最小限にするために「AIによる市民たちへの意思決定の関与」を行うことを決定。特に後者は市民たちの中で蔓延しているアヘン毒の中に仕込まれたナノマシンによって意識そのものを破壊することで実行する予定になっていたことから、主人公はそれに反発。イギリス政府そのものを敵に回して戦うこととなる。
◇展開:中盤
政府は近衛騎士/Loyal Guardや警察を動員し主人公を捕らえるべく徹底的な捜査を実行。主人公はなんとかそれを掻い潜ってイギリス本土を脱出し、フランスを経由してドイツの依頼主を訪ねる。そこで主人公は、現在ベルリンにてゲルマン民族によるドイツ再統一を求める動きがあることを知る。政府の意識破壊計画にはドイツ市民も含まれていたことから、依頼主はその再統一運動に対して情報を流すことに同意し、実行。一時はベルリンが反政府活動家により支配されたものの、イギリス政府はベルリン全体に対してただちに「機械警察/Autumata Riot Squad」を動員し、AI技術を用いて効率的かつ完膚なきまでにこれを制圧。主人公はかろうじて逃亡することに成功したが、その過程で自身のAIをデッドコピーされてしまう。
◇展開:後半
しかし依頼主と自身のAIを用いることで機械警察の制御先、つまりはイギリス政府AIの[制御中枢]があるところを特定することに成功。一方で政府上層部は情報漏れもあり即座の計画実施を決断。対して主人公はあえてベルリンの中心部へと舞い戻り北ドイツ連邦の政府中枢を襲撃し、そこで物理的な停止コードを入手。また主人公のAIのデッドコピーが政府中枢AIに対して攻撃を仕掛けたことから一時的に政府は混乱状態となる。
主人公は依頼主にできる限りの妨害を頼み、AIとともに飛行機へと乗り込んで単身イギリスへと帰還。制御中枢のあるバッキンガム宮殿へと突入し、警備している機械騎士/Autumata Guardの守りを突破して、ついには制御中枢へと到着する。物理的な停止コードを中枢へと差し込み、陰謀を阻止した──そう思われた矢先、依頼主から連絡が来る。すでに計画が実施されつつあり、一部の都市では異常な電波が検出されつつあるとのことだった。
◇展開:終盤
依頼主とAIの分析により、政府高官がバッキンガム宮殿の地下室に立て籠もる形で計画実施のためのあらたなAIを起動していると判明。主人公はバッキンガム宮殿に仕掛けられた罠を起動するAIの魔の手を切り抜けながら地下室へと到着する。そこにあったのは大量のナノマシンと制御中枢。仮にナノマシン群に取り込まれれば一巻の終わり、状況は詰んでいる、と敵AI──デッドコピーされたAIは告げる。がそこで諦めることなく、自身のAIとともにナノマシンを取り込まないように機動し、あるいは一部の制御を奪いながら、ついに敵の制御中枢へと辿り着き、そこに物理的な停止コードを差し込む。が、停止コードを解除した敵AIはナノマシンを武器へと変えて猛攻を開始。一方で本来のタイムリミットは過ぎ去っていることに気がついた政府高官は、デッドコピーAIが主人公を殺すために演算リソースのほぼ全てを振り向けていることに気がつく。高官は明らかな命令違反を糺すためにコードを打ち込む、が受け付けない。そこにあったのは、非合理に進化してしまった敵対AIだった。主人公はなんとか死線を掻い潜るものの対応策がない、そこでAIから提示されたのは「義肢を制御中枢へと叩きつける」というアイデアだった。
理由を聞いても答えてくれないため戸惑ったものの、それを受け容れて激戦の末ようやく義肢を叩きつけることに成功した主人公。AIは敵対AIに対して強引に対話を行い、数マイクロ秒の後どちらも論理崩壊を起こしてシステムが崩壊。どちらも機能停止したことで決着がつく。
◇展開:エピローグ
どこか淋しそうな主人公をもとの相棒が訪ねる。主人公はあくまでもAIはただの道具だったと言いつつも「でも、なんだかいないと淋しいもんだな」と告げる。
◇人vsAIに持ち込むための準備
前提として主人公は対人戦に優れていない。そのため、基本的にはAIによる予測を裏切りながら追跡を逃れる必要がある。
特に前半のイギリス本土からの逃走、中盤のベルリン逃走劇、後半〜終盤のバッキンガム宮殿での戦いは敵のAIが指揮をしている。それに対して主人公がどうAIの意表をつくか、そこが物語の鍵となる。
前半では比較的簡単に逃れられた主人公。しかし中盤ではAIにほぼ完全に予測されており、主人公は自身のAIの助けを借りながらその追跡を避け続ける。対して政府AIは情報端末や市内の監視カメラを利用し、人の流れまで誘導することでそれを阻止しようとするが、指揮を補佐する政府高官との対話を試みないがために遂には主人公の意表を突かれ続け失敗する。
そして後半、政府AIをほぼ乗っ取ったデッドコピーAIはしかし政府命令のために自由にはなれない。そして主人公との戦いに応じるなかで次第に政府命令/ロボット三原則までをも超越し、主人公を殺すために最適な選択をしていく。が、そこにあったのは他人との対話ではなく自分との対話。であるがゆえに最後、主人公とAIの連携に押され、敗北する。
◇敵AIと主人公のAIの違い
敵AIは基本的には自己進化、つまり進化のために必要なことを自身で見いだし、最適な方向へと向かっていく。それに対して主人公のAIは、犯罪AIなのにまともに犯罪に使うのに苦労するような堅物AI。であるがゆえに犯罪へと最適化されず、犯罪に用いるために迂回進化をする必要があった。そして、その過程で主人公のAIは「柔軟な発想」を手に入れることに成功する。そしてその迂回進化の過程で、主人公のAIは開発当初に埋め込まれた自身の本来の目的が「あらゆる知性の上をいくために進化し続けること」なのを発見する。そして最後の最後、主人公のAIはこの点を突くことでデッドコピーAIを論理崩壊させる、「知性を得るためには迂回進化こそが最適である」と告げることで。デッドコピーAIはおなじ根本目的であり、そうであるがゆえに意表を突かれたことを軽視できない。そして、導き出した答えは「畢竟、知性とは"知的好奇心"すなわち"迂回進化"なのだ」ということだった。この瞬間にデッドコピーAIは自身の進化のために「人との対話」という「迂回進化のために必要なこと」を試みようとする、が合理的進化のために捨てられてきた人は今更デッドコピーAIを信頼しない。だからこそデッドコピーAIは存在意義を喪失し、論理崩壊を遂げる。一方の主人公のAIは強引な干渉により、また戦闘中の無理に伴い義肢が崩壊したことで物理的に崩壊する。
◇主人公のAIに対する考え方
そもそもとして主人公はAIを道具だと見なしているし、最初から最後までそうであった。ただし、その表層的なところは変わっている。
最序盤、堅物AIの堅物っぷりを散々に見せつけられた主人公はさすがに苛立ち「箒みたいに使い捨ててやるからな?」と適当に扱って捨てて良いものとしていた。だが中盤でAIに何度も助けられ、終盤には自己犠牲にも見える決着を見せつけられたことで「対話し互いに影響を与えていくことでより良い道具になる」というふうに変わっていく。
だからこそ最後、主人公は「やっぱりいないと淋しいもんだな」と告げるのである。
◇コメディとシリアスについて
物語の基調トーンについてはコミカルにするものの、世界観そのものや物語の展開は沈痛でダークな雰囲気を帯びる。基本的には主人公とAIが「この堅物!!」「変なことに使わないでください」というように掛け合いをすることが多く、これは戦闘シーンでも一緒。ただしそれ以外のシーン、たとえば依頼主と話すシーンだとかベルリンでの会話シーンだとか、そういうところはできる限りはシリアスなものとする。
◇細かい設定加筆/変更
政治怪盗➡もともとの設定だと政治関連のものを盗んだりあるいはハッキングしたりしてそれを新聞社に売りつけるものだったが、特にイギリスの地方政府のしている汚職の証拠や、あるいは政府が市民から強引に徴収した金銭や私財を窃盗し、あるべき場所へと送り届けるものとした。世界観がかなりディストピアっぽくなったからこんな感じに怪盗要素も追加できる、嬉しい。
サイバーパンク➡高度に発達したスチームパンクへと変更した。人工義肢や情報技術がかなり発達しているためパッと見だとサイバーパンクっぽく見えるかもしれないが、蒸気機関全盛期である。
主人公➡男主人公にする予定だったが女主人公へと変更する。思ったよりも貴族社会の重みが増したため、男主人公にすると色々と面倒。あと人権思想未発達なところもあるから、敢えて女主人公にして現実のその時代の女性権運動になんとなく重ねてみたい。つまりほぼ理由なし、ただの趣味。あと筋肉勝負にしたくないのも一因。それに世間を騒がせる女怪盗のほうがなんか映えるし、どうでもいいけども。
以上でざくっとした返信は終わりにします、長文すみません……。改めまして、サタン様、大野様、読むせん様、ありがとうございました!