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タイトル:作品のラストの終わらせ方の返信 投稿者: 【本人から削除依頼】

 物語を締めくくる最後の一文の形式だけで判断すると、見誤ると思います。形式ではなく内容です。

 特に作品テーマの消化、解決ですね。ラストで作品のテーマをちょうど描き切ってあれば納得できる終わり方ですし、ラストでもなおテーマが未消化なら尻切れトンボ(制限字数超過でよくやらかす>自分orz)、テーマに解決を与えたのにまだ続ければ蛇足です(同じく字数不足でよくやらかす>自分orz)。

> この戦いはまだまだ続く。/これからが本当の戦いだ。/そういう続くみたいな終わらせ方はダメですよね?

 学園魔法モノで「戦い」ということは、魔法や武器を含めた「戦士」が主要キャラでしょうか。そうだとしてまして、学園ということは、成長過程を描くはずですね。つまり、「半人前の成長物語」という、非常に魅力あるジャンル(それだけに、古今東西、膨大な作品数がある)。

 仮に舞台設定として、学園外~世界に魔王がいて、学園の生徒は魔王に立ち向かうべく、日々修練に励み、ときには魔王の手先との戦いとなる、としてみます(一方通行さんの作品と全く違うでしょうけど、分かりやすい例とお考えください)。

 作品のテーマとしては「主人公の成長」だとしても、もう少し具体化しようとすると、いろいろ考えられます。

1.主人公が曲がりなりにも魔王との戦いに参加できるまで成長する
 文庫本1冊(長編の公募)程度だと、ここまでに留めるのが無難かもしれません。学園という舞台と、それに応じたキャラ年齢(思春期、特に後期)にも適します。
 狙いは主人公がどう頑張って強くなるか、正義に目覚めるか、自分の存在意義(レーゾンデートル)を自覚するか、といった点になりますので、魔王は成長を促す要因、環境でしかありません。
 当然ながら、主人公が一人前になっても戦い自体は続きます。魔王を倒したりすると台無しです。魔王ってどんだけ弱いんだ、みたいな失望が生じかねません。(商業高校をなんとか卒業したら、世界経済を動かせるようなっていた、みたいなあり得なさ。)

2.主人公が魔王の魔の手から逃れる
 際立たせるのは「何がなんでも生き延びる」というサバイバルものですね。知恵と力を振り絞ったり、仲間同士のいさかいなどを描く過程で自然とキャラの成長も見えてきます。
 逃げられるか否かが見せ所である以上、魔王に勝てるわけがありません。戦いは当然続きます。主要キャラが学生であれば、大人の保護を受けられる地点までたどり着く、で充分に成立します(古典では「十五少年漂流記」があり、ガンダム初作を含む現代の翻案作も多い)。

3.主人公が復讐する
 仇討ちですね。ラスボスの魔王が仇だと、後述の5ですが、普通、魔王はいちいち前線まで出て来ません。魔軍の現地司令官辺りが仇討対象になるのが自然でしょう。
 魔王(軍)との戦いという大河状況の中の小さな奔流にスポットを当てるもので、戦い全体なんか知ったこっちゃない、となります。これも、仇討は果たしてみたが、戦い(仇討なんぞする破目になった原因)は終わらない、が自然です。それでよいのです。

4.主人公が魔王に捕らわれたヒロインを救出する
 3と違い大事な人が殺されず、攫われたというものですね。攫った悪役は割とどうでもいい。魔王のもとにヒロインを連れて行ったら、主な役割は果たしてますから。
 これも、魔王が主人公では倒せないくらい強くないと、緊張感が出せません。必然的に、魔王の目をいかにかいくぐって、魔王城からヒロインを奪還して逃げるか、になります。その意味で、2の類例といえるかもしれません。これも、戦いは続かないとおかしい。

5.主人公が正義の味方となって魔王を倒し、世界を救う
 RPGなどでは、ほぼこれですね。戦いを終わらせて勇者の称号を得る、みたいな完全解決のエンディングになりますが、1~4を全て盛り込むことになるでしょうから、非常に長丁場の話にせざるを得ません。
 文庫本1冊(ないしは長編公募の長さ)では無理でしょう。無理に尺に収めると、ダイジェストになってしまうか、魔王がショボく見えてつまらなくなってしまうか、ではないかと思います。

 もう少し抽象的に申し上げてみます。読者として作品を読んで、ラストがラストらしく感じるとしたら、「納得感」だと思います。主人公に感情移入して読み進めて、主人公と一緒に納得して終わる。やりたいことがやれた、という感じですね。

 逆に言えば、冒頭から中盤までで「やりたいこと」が感じられなければなりません。「やれること」ではない点、要注意かもしれません。魔王との戦いで言えば、上で例を出してみましたが、他にも無数にあるでしょう。

 その中から、主人公が何を選んだか、になります。それが「やりたいこと」です。主人公が選ぶといっても、実は作者が選んだことです。だって、それが作品テーマですから。

 主人公≒作者が「こういうことをしたい!」と序盤で読者に示したことの決着がラストになるわけですから、「それがやれて満足です/しくじったけど満足です」で締めくくればいいわけです。しくじったけど満足、というのは変に聞こえるかもしれませんが、現実でもよくあることです。試合に負けたけど全力を尽くした自分を褒めたい、と掛け値なしで言ったりします。そういうことを上記で「納得」と表現しました。

 そう考えると、簡単ですね。作者が納得できないと思ったことが(冒頭)、納得できればいい(ラスト)、ということですから。形式ではなく、意味内容なんです。形式を整えても、意味内容が曖昧ではラストらしいラストになりません。

 別の観点でも少し。公募だと、作者が知識、思考、根気、集中力等の全力を出し切った限界点で終わればOKです。逆に、怠惰、出し惜しみがあると、見抜かれて嫌われます。ラストの続きを書きたくても書けない、くらいに力を出し切る必要があります。
(作者が力を出し切って終わらせても、読者はラストの続きが見えたりする。そこが、公募受賞作の続編が書けたりする理由でもある。)

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