主人公が精神的に未熟で新年のないキャラでも、それを逆手に取って放っておけないとか母性愛とか憐れみとかそういう方向性でヒロインを主人公に関わらせることはできると思います。そこから何となく情が移って主人公のことを好きになっていく的な。
で、友人の死は主人公に与えるショックとしては奥の手で、あまり濫用はできないものなので、なるべくなら他の方法を模索したほうがいいと思います。実際に死ななくても"一歩間違ったら死んでた"っていう想像力だけで人間はずいぶんシャキッとしますから。逆に死を乱用するとそれこそ命の価値が軽くなってしまって、死がありふれたもの、ドラマチックでないものになってしまい演出上の効果が薄れてしまいます。命の価値が低い世界でも、主人公および読者が物語における命の価値の低さを受け入れてしまうと、ストーリー的にわざわざ殺す意味がわからなくなってしまう。
ダメ主人公がヒロインに優しくしてもらって彼女を好きになり、でも同時にそのヒロインの命はとても軽くてちょっとした間違いで殺されてしまうかもしれないことを知ってなんとかしなければと思う。主人公はヒロインを守るためにのたうち回りながらも奔走して経験を積み、そのなかで次第に人間としても成長していく、みたいな穏当な構成でもいいんじゃないですかね。それで作者が表現したいことは一通り表現できるのではないかと思う。
殺して面白くなるなら殺してもいいけど、そんな積極的なメリットはないと思うし、上手くやらないとただ単に人の命が軽いだけの小説になっちゃうような気がします。