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タイトル:四年前の概要と今の概要を書いてみた。添削望むの返信 投稿者: にわとり

 上半分はなんかうっすら記憶にある。
 四年も前じゃなかったと思うけど、二年くらい前だったかな、旧添削掲示板に投稿したやつですよね。
 あのときも人称の不統一を含め、文章がおかしいとかあらすじから何が起こっているのか読み取れないとか散々言われてたし自分も当時そんな感じのコメントをした気がするのだけれど、電子恋愛もあんまり指摘された点が直ってなくて印象変わってない件……。
 あなたの場合はまず、文章以前に、一文一文を書くとき、主語、述語、目的語がちゃんと揃っているか、そして意味的に対応しているかどうか意識してください。
 例えば、「おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。」という一文の主語は「おじいさん」と「おばあさん」で、述語は「行きました」、目的語は「山へ柴刈りに」「川へ洗濯に」です。このどれかが欠けたり崩れたりすると、文は意味をなさなくなります。

 例1:主語がない。
→山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

 例2:述語がない。
→おじいさんは山へ、おばあさんは川で洗濯しました。

 例3:目的語がない。
→おじいさんは山へ柴刈りに、そしておばあさんは行きました。

 どれも、まともな文として意味が取れないことが分かるかと思います。例1だと「山へ柴刈りに」が文全体から浮いてしまって、他とどうつながるのかが分かりません。例2では、「おじいさんは」に対応する述語の候補が「洗濯しました」しか存在していない一方、それだと目的語の「山へ」と整合が取れないので結局意味不明になっています。例3はおばあさんがどこに行ったのかが分からないですね。
 このように、主語、述語、目的語が正しく対応してはじめて文は"読めるようになる"のです。まあ、文章を書きなれた人はこれらの要素を意図的に省略したりするのだけれど、それでも"何が省略されているのか"が自然に読み取れることが大前提です。
(※補足として、述語によっては目的語を必要としないものもあります。たとえば「私は死にました」という文には目的語がありませんが、意味は通じます。なぜかと言うと、"死ぬ"という動詞は、「~を」「~に」といった目的語を必要としないからです。この場合、"誰が"死んだのかさえ分かればそれだけで文として最低限必要の要素が揃います。)

 で、あなたの文章の場合はどうか? 電子恋愛の冒頭二文目を例に構文を検討しましょう。

>機械が日本のありとあらゆる単純作業を任せ、人間は0から作る仕事や、機械のメンテナンスそんな仕事がありふれた時代になった大学四年生の就活生の荒川 晃(あらかわ こう)は、自身の記憶力を面接で長所と書くが届いた紙には不合格通知ばかり……。

 初っ端に『機械が』とあるので、機械が主語のひとつであることが分かります。この主語に対応する目的語と述語を探すと、少し先に『単純作業を』『任せ、』とある。つまり「機械が単純作業を(何かに)任せている」という文意になります。はい、この時点でもうおかしいですね。機械は誰かに仕事を"任せている"立場なんですか? "任されている"んじゃなくて? つまり述語が主語と正しく対応してない。もし仮に『任せ、』で合っているのだとしても、"じゃあ何に任せているのか"という疑問が出てきます。つまりこの場合でも、「~に」という目的語部分が書けていない(不足している)ということになります。
 気を取り直して続きを見ていくと、今度は『人間は』という主語が出てきます。ではこの主語に対応する述語、目的語は……と見ていくと、これ、ないっぽいですよね。「人間は、〇〇を、**した」という形で切り取ってまともに意味がつながる語句が文中に存在していません。無理やり探すなら、次に出てくる目的語と述語っぽい箇所は『時代に』と『なった』ですが、「人間が時代になった」というのはどう考えても意味的におかしい。人間が時代とかいう形のない抽象的な存在に変身したりするとは考えにくい。却下。
 しかしそうすると今度は『時代になった』の主語って何? という話になる。少し手前を見ると『仕事が』という主語候補があるけれど、これとも上手くつながらない。『仕事が』に対応する述語は『ありふれた』だろう。仕事がありふれている、というのはちゃんと意味が繋がる。一方で仕事が時代になってしまっては意味が通らない。
 じゃあ続く文章が『時代になった大学四年生』であることから、『時代になった』のは『大学四年生』だろうか、と考えてみる。文法的に「星になった夜鷹」と言ったとき、それは「夜鷹が星になった」ことと同じ意味になるので、同様に考えて大学四年生が時代になっても文章構造的には良さそうな気がする。でもそれだと意味が通らない。大学四年生は時代にはならないから。
 さらに先まで読むと、『時代になった大学四年生の就活生』とある。どうやら『大学四年生の』は『就活生』を修飾する語句のようだ。ということは、『時代になった』が『大学四年生』を修飾していなくても、『時代になった』と『大学四年生の』が並列して『就活生』を修飾しているのかもしれない。つまり時代になったのは就活生だったのか! ……ってそんなわけはない。これも意味的におかしい。
 もっと先まで読むと、『時代になった大学四年生の就活生の荒川 晃』とある。ってことは前段と同様の文法的考察から、今度は『時代になった』と『大学四年生の』と『就活生の』が並列して『荒川 晃』を修飾していると読むことが可能であり、すなわち荒川晃こそが時代になった男……! ってそんなわけ(以下略
 まあ、『時代になった』の主語は意味を考えるならこの一文のなかには出てこない、前文の『少し未来の、日本』でしょうね。想像力を働かせれば分からなくはないのだけれど、文法的に破綻している。
 構文だけじゃなくて内容的にもおかしいですよね。面接なのになぜか書いていたり、「紙には~通知」という馬から落馬的な重複とか。この一文だけでこれだけ問題点があります。
 そして、ここまで指摘してきたことはどれも小説技法ではありません。それ以前の"日本語の書き方"に属する話です。「どうやったら魅力的な文章になるか」ではなく、すべて「そもそもどうやったら文章として成立するか」という次元の話。まず日本語として読める文章がかけないことには小説だけでなく小論文や作文を書くことも難しいと思います。
 あなたの文章は万事がこの調子なので、内容を正確に把握することが非常に困難です。いやまあ、なんとなく描きたいことを想像できないわけではないのだけれど、「読んで分かる」わけじゃなくて「予想して解読する」みたいな感じ。文字を目で追うだけで自分はすごく負担を感じました。
 とにかくまずは、日本語として読める文章を書くこと。そのためには「誰が、何を、どうした」というひとまとまりの構文を意識してください。例えば、"荒川晃は"で文章をはじめたら、彼が「何を」「どうした」のかが分かるように文末を着地させてください。これが崩れると文章は日本語として読めなくなります。小説的な表現とか考えるのはその先でいいです。というか、だいたい概要に小説的な技法は不要です。概要っていうのはそもそも物語の起承転結、因果関係を順を追って分かりやすく書いていくだけのものなので。
 電子恋愛、起承転結としてはこうですかね。

起:荒川はある日、子供時代にタイムスリップしてしまう。
承:しかし、1.体が機械になっていること、2.ある知人の女に冷たい態度を取られること、の2点が記憶と一致しない。
転:荒川が体験している記憶は、偽の記憶を植え付ける医療措置に伴うバグのようなもので、施術が完了するとこの記憶は消えてしまうらしいことを女に知らされる。のちに荒川は女と交際するが、その記憶もいつか消えてしまうと思われた。
結:しかし荒川は決められた記憶のシナリオに逆らって記憶を保持し、最終的に女と結ばれる。

 予定調和の運命を越えて女と結ばれるところがこの話の軸でしょう。
 ちなみに四年前との比較ですが、新たに加わった設定はべつにタイムスリップの理由を説明しうるものではないので、本質的にそこまで旧概要の設定の穴を塞ぐような感じにはなってないように思います。『人間の脳みそに移しているいる途中なのか、システムのエラーなのか。』と一番肝心なところをぼかしている時点で結局説明放棄してるわけだし。理由ははっきりわからないけれどとにかくそういう現象が起きているんだ、っていう方向でまとめちゃうのであればそういうSF的な背景はあまり重要じゃないでしょう。
 また、仮に主人公の体験が記憶を移し替える最中に発生する夢のようなものであったとしても、彼の主観的な夢でしかないものがなぜ彼女のそれとシンクロするのかを説明できないですよね。まあ、エンタメ的には"そういう奇跡が起こったんだ"ってことにしても問題ない部分だとは思いますが。
 それより今回、電子恋愛で新たに追加された要素って「現実に一度も会ったことのない男女が、植え付けられた架空の記憶の中でお互いに出会い、恋をする」という四年前にはなかった新しいテーマを作品に付加してますよね。四年前の矛盾の解消とかよりこっちのほうが重要な改変なんじゃないだろうか。このテーマ自体は、まあ、悪くはないんじゃないかなと思います。前半のタイムスリップ要素ともそこまで違和感ないし。
 あとは実際に描いてみて上手くいくか、というところでしょう。執筆の際にはくれぐれも構文が乱れないように気をつけてください。どんな素晴らしい構想も読めなければ伝わりません。

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