創作論としてのSMの本質は支配・被支配の人間関係です。鞭や女王様はリアルではさておき、創作の世界ではほとんどネタになってしまっています。
そしてSよりもMの方がドラマチックなんです。一見弱者にみえるキャラクターが、「支配されることによって実は強者を支配する」という微妙な人間関係を描くことができるからです。
くわえて。
主人公を含む二人のキャラクターを男女に設定すると、エンタメ物語の読者は恋愛を期待することが多いはずです。そして恋愛を期待するということは、潜在的な願望として性を期待するということなんですね。
そのような願望が無意識にとどまるか意識化されるかの違いは読者によるでしょうが、もちろん年齢によっても左右されます。まず性徴期に係わり、次に体験によって分岐するわけです。教育などの抑圧にも影響されるでしょう。
このような事情を踏まえれば、本質は背徳的なのにそれを殆ど感じさせず文学的に昇華させる表現と、実は大して性的な意図はないのに必要以上に卑猥と感じさせてしまう表現。この二つの現象が発生し得るようです。
このへん、うまく使えば作品の武器になると思いますよ。