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タイトル:現在「看護師」 昔「看護婦」 使うときの返信 投稿者: 手塚満

厳密に言えば、「看護『師』」の呼称は2002年3月からです(法改正に伴うもの)。それ以前は、女性のナースが「看護『婦』」、男性のナースが「看護『士』」でした。看護婦のチーフが以前は「婦長」で、今は「師長」だったりもしますね。
(同様に、保健婦・保健士→保健師、助産婦→助産師(日本では女性のみの資格のため「助産士」はなかった)の変更があります。これも上記と同じく、2002年3月からです。)

大正、昭和初期どころか、21世紀初めまでは「看護婦/看護士」でないと、時代考証的にはおかしいわけです。だけど、もはや「看護師」という呼び方に慣れている人のほうが多いですよね。「看護婦」なんて忘れてるか、知らない人も少なくないかもしれない。お考えのように、「看護婦」に「それは差別用語だ」と反応する人もいるはず。

時代考証、分かりやすさ、NGワードのいずれもを満たす方法はないと考えるべきです。例えば、時代的には「看護師」ではなく「看護婦」だけど、差別用語と思われることを恐れ「ナース」としたら、一読して楽に分かるようにはならないかもしれません。それに、ナースコールとかは普通に言ってても、看護師をナースと呼ぶことは少ないでしょう。

ですので、作者の方針(何に重きを置く作品か)次第で腹をくくるしかないように思います。

1.時代考証を優先する

以前に、昔が舞台の小説で「女給」という言葉を使って、読者などから苦情を受けたという話を聞いたことがあります(作者、作品名は忘れましたorz)。作者はきっぱり「作中の時代では女給なんだ」「女給と言わないと時代の雰囲気を壊す」と言い、苦情をはねつけたそうです。

時代背景に忠実であることが大事なら、「看護婦」でしょう。苦情の予防をするとしたら、例えば前書きなどで「本作は昭和初期が舞台ですので、一部、現代にそぐわない用語、言い回しがあります」と断っておくくらいでしょうか。

2.分かりやすさ優先

昔が舞台でも、読むのは今の読者ですから、昔の用語などは今の言い方に変える、一種の翻訳をすることがよくあります。「看護婦」では分かりにくいかもしれないと思ったら、現代用語の「看護師」に翻訳するのは一理あります。

あるいは、当時なかった言葉を使うこともあります。例えば、鉄道ができる以前に、あるいは鉄道がない異世界で「話が脱線した」と言ったら、考証的には変です。だけど、気にせず小説で使ってますよね。今の読者になじみがある表現なら使ってもいいはずです。

今の読者に楽に読んでもらうことを考えるなら、今の言葉で統一するのも悪くありません。

3.NGワードだけ回避

「看護婦」ですと、対応する「看護士」があるわけですから、必ずしも差別的ニュアンスがあるとは言えません。しかし、昔は普通に使っていたけれど、差別的ニュアンスがあるなどで忌避されるようになった言葉はあります。上記1でいえば、女給は言わなくなった。

言わなくなると分かる人も減るわけで、2と重なる部分がありますが、現代の言い方に翻訳してしまうことはよくあります。一方、特に忌避されていない言葉は、できるだけ当時のものを使って雰囲気だけは確保するというのも考えられる手段と思います。

この3も2も、時代考証的に文句を言われる可能性はあります。「そんなこと、当時に言っているはずがない」とかですね。気になるなら、1と同じく、断り書きを入れておけばいいと思います。

この他にも、いろいろ考え方があると思います。ですが、どういう方針で書こうが、全方位的に文句が出ず、納得してくれる方法はないんじゃないかと思います。大事なのは、執筆方針がブレないことで、ブレていなければ表現について文句を言われても、説明は可能です。合理的な説明さえできるなら、読者を1人残らず納得させる必要もありません。

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