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タイトル:三人称一視点の心理描写についてご教授くださいの返信 投稿者: 手塚満

目に見えているものの描写ではなく、心理描写、つまりキャラの内面をどう表現するかでしょうか。漫画ではやっていらっしゃるとのことですから、絵のない文章作品での難しさ、相違ということですね。

特に、三人称で試みると心理描写が入れられないわけですか。ご質問からすると、一人称なら問題なさそうですね。確かに地の文は主人公が語ってますから、少なくとも主人公がどう思ったかはダイレクトに書けばいい。

しかし、三人称ですと(たとえ一視点でも)、地の文の語り手は別キャラになりますよね。名前もなければドラマに介入もしない、説明するだけの傍観者ですけど、読者への語り掛けは一番多い。

まず、この地の文の語り手というキャラにどういう性格付けをするかが問題となります。性格というより機能というべきかもしれません。

各キャラの内面を含む作中の出来事について、作者レベルで全知という地の文の語り手とする場合があります。全キャラの気持ちを知ってますので、ダイレクトに心情等を説明できるタイプです。例えばこんな感じで書ける。

1.全知の地の文の語り手
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 太郎は顔が真っ赤になるほど激怒して花子に怒鳴った。
「このバカ野郎、余計なことすんじゃねえ!」
 花子は一瞬怯えて後ずさりしたが、すぐに怒りがこみ上げ、青筋立てて怒鳴り返す。
「うるさい! あたしの勝手でしょ!」」
―――――

逆にカメラ視点こそ主人公と独立だけど(ただし一視点なら主人公のそばを離れない)、主人公含めキャラの内面を知らない地の文の語り手もあります。キャラの心情は、台詞、表情などの明示的なもので表さなければなりません。

2.内面を知らない地の文の語り手
―――――
 太郎は顔を真っ赤にした。
「このバカ野郎、余計なことすんじゃねえ!」
 大声に花子は後ずさりしたが、すぐに青筋を立てて怒鳴り返す。
「うるさい! あたしの勝手でしょ!」」
―――――

三人称一視点(カメラ視点が常に主人公のそば)ですと、主人公の心情はダイレクトに書き、他のキャラは外面や台詞から察するやり方がよく行われます。仰るように、一人称の「私/僕/etc」をキャラ名に置き換えれば三人称一視点と言われるのも、そのせいでしょうか。

3.一視点の地の文の語り手
―――――
 太郎は激怒で顔が真っ赤になった。
「このバカ野郎、余計なことすんじゃねえ!」
 大声に花子は後ずさりしたが、すぐに青筋を立てて怒鳴り返してきた。
「うるさい! あたしの勝手でしょ!」」
―――――

一人称になると、また違ってきます。仮に上記で「太郎」を「俺」に変えるとして、「顔が真っ赤」は描写できません。鏡でもない限り、自分の顔をリアルタイムに見ながら描写することはあり得ないからです。

4.一人称:地の文の語り手が主人公
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 俺は激怒で顔が火照るのを感じた。
「このバカ野郎、余計なことすんじゃねえ!」
 俺の大声に花子は後ずさりしたが、すぐに青筋を立てて怒鳴り返してきた。
「うるさいよ、太郎! あたしの勝手でしょ!」」
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以上のような感じですので、まず「地の文の語り手は誰か、何をどこまで知っているか」を決めておかないといけません。でないと、地の文の語り手が何をどこまで説明していいか分からなくなり、描写が混乱しがちです。
(一人称で書いていても、うっかりすると作者視点の描写を入れてしまったりする。)

その上で「小説が心理描写のないシナリオ状態」なのであれば、例えば、語り手がキャラ内面に触れるのを避け(上記2)、かつ、キャラの思考や気持ちから生じる外面の変化、行動、しぐさ等が不充分といったことが考えられます。

他人の思考が混乱したかどうかはエスパーでもない限り分かりませんが、「首を傾げた」「目が泳いだ」「ぽかんと口を開けたまま」「額に手を当てた」等々、目に見えるものはあるはずです。おそらく、コミックを描かれるときは自然とそういうしぐさを入れてお出でではないでしょうか。文章でも同じようにやれるはずです。

一人称ならどうか、三人称一視点でどうかということは、その後で考えるべき問題だと思われます。

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