第4研究室 創作に関するQ&A 115P | トップへ戻る |
ユウさんからの質問
 記号のようなキャラになってしまいます。
 
 どうも、ユウと申します。
 今回の相談は全くタイトルどおりなんですが、どうもキャラが記号的になってしまうようなんです。
 ですが、僕自身イマイチ記号的の意味を捉えきることが出来ず……
 何かいい克服方法は無いでしょうか?
 わかりにくい質問ではあると思いますが、よろしくお願いします。


● 答え ●

DoZunさんの意見
 記号的、というのはキャラにオリジナリティがない、ということでしょうか。
 最近の萌え狙いの作品なんかでは、似たようなキャラが沢山登場しますね。
 もう金髪ツリ目のツインテールはお腹一杯ですよ。んでもってツンデレですか。
 そんなキャラ多すぎです。
 とまあ、くだらない愚痴は置いておいて。

 要するに記号的なキャラというのは、既存の要素、
 即ち記号を組み合わせただけのキャラだと僕は考えています。


 典型的、と言ってもいいでしょうか。
 とはいえ、現実的な話をすれば、
 既にキャラクターの外見などは全て記号の組み合わせでしかなくなっているのは事実です。
 今更全く新しい外見のキャラを生み出そうとしても、それは文章では不可能でしょう。
 外見描写には限界があり、キャラの姿についてはイラスト以上に描写することは出来ません。

 その上で記号的、というのは、性格的な部分もあると思います。
 たとえば、一番最初に挙げた金髪ツリ目のツインテールでツンデレキャラ、
 というのは、その典型でしょう。
 既存のキャラクターと区別する要素が性格や何らかの特徴になければ、
 そのキャラは記号的になってしまうでしょう。
 先述のように、小説では外見的な要素は直接的な情報(要するにビジュアルイメージです)
 として読者には与えられないので、余計に性格その他の特徴が必要になるわけです。
 主人公や萌え狙いのキャラは、既存の作品に似てしまうということが多く、
 記号的、と言われてしまうことも多いでしょう。

 対策としては、とにかくキャラを練り込むしかないと思います。

 自分の小説のキャラクターの性格や特徴、生い立ちなどを書き出していって、
 ほんの数行で終わってしまうようでしたら、
 そのキャラは記号的だと考えてほぼ間違いありません。
 簡単にキャラを定義できるということは、記号の組み合わせでしかないということですから。
 記号の組み合わせでしかないキャラを既存のキャラと区別するためには、
 キャラの設定に深みを持たせることです。
 “一人の人間”としてのキャラクターを生み出すわけですから、
 性格にしろ生い立ちにしろ、どんなに深く細かく練り込んでも、
 練り込みすぎる、ということはありません。
 いかに既存のキャラクターと区別を図るか、が大事ですので。


 長文・乱文で失礼しました。
 では、これにて。


脂さんの意見
 えっと、投稿室のユウさんですか?
 こんにちは。

 記号的……うーん。どこかでみたことあるようなキャラ、ということなんでしょうか?
 けっこう人間って他人を分類分けして処理するものなので、
 ある程度どっかでみたことあるような人間になるのは仕方ないことだと思いますよ。
 特殊な世界にいくとそういうのを飛び越えた人たちもいますが。
 私は演劇の世界や新宿二丁目で「うそーん」って人生生きている人をたくさん見てきましたね……
 まあそれはおいといて。

 多分小説やマンガのキャラをモデルにしている場合が多いのではないでしょうか?
 現実の人間の方が多種多様で、フィクションより飛びぬけている個性を持っている人もいますので、
 人間観察とかしてみると良いと思います。


 昔子供向けのマンガ入門書にそんなこと書いてありましたが、これがなかなか馬鹿にできません。
 変な人に会いたいと思って人付き合いしていると変な人が寄ってくるものです。
 けっこうそういう人をモデルにしたりしますね、私。
 個性的すぎてわざとマンガキャラ風味にしたりとかしますが。
 目線を変えて。

 キャラ付けというのは、先天的要素(説明的な外見描写、過去、能力など)と、
 小説の中でセリフを言ったり行動したりすることで付く後天的要素があると思います。


 つまり設定として初めから決まっていたパーソナリティと、
 ストーリーを通して徐々に形成されていくキャラの人となりという2つの要素です。
 立体的とかキャラが立つという言葉は主に後者を指しているのだと思います。
 

 追記。
 記号的なキャラというのも使いようかもしれません。
 DOZUNがおっしゃってるような金髪吊眼ツインテールが、
 そういう記号として多くの読者が認識してくれるならただそれを出すだけで
 「あ、この子はツンデレなんだな」とわかるわけです。
 そのまま使うもよし、それをひっくり返してギャグにしたりするもよし、ですね。
 ってこれはほとんどギャグものにしか使えない手法ですね……・

 まあツンデレっ言っても全員が全員おなじ行動とるというわけでもないでしょうし、
 リアリティというか深みがあれば私は問題ないと思いますよ。

 
 えっちなツンデレとか、ってそれただの女王様っすね(汗)


蒼い人さんの意見
 DoZunさんが良いこと言っているので、その補足という形で。

 設定を練り込んでも、それを生かせなければ意味がありません。

 また、設定そのものにも注意を配る必要があります。
 特に「性格」を規定している場合はそうです。

 私は漠然とした方向性を決めるのに三つほど性向を決めています。
 しかし、それだけでキャラクターは書けません。

 その性格を意識して台詞を作ると、正にパターン化します。
 「こんな性格だから、こういう受け答えをするだろう」という意識が働くのです。


 これは作り手による一元化された印象です。
 そこにはかつて見たもの、経験してきたキャラクターが大きく作用しているでしょう。
 それを参考にしてしまうと、まず劣化コピーが生まれるのは間違いない。
 それ故に、性格に固執すると、そのキャラクターの深みは描けません。
 モデルからコピーするにしても、大胆なアレンジが求められます。

 人間の深みは、その人の生い立ちが規定します。
 DoZunさんが仰るように、そこまで設定を練り込み、性格とリンクさせなければ駄目なのです。

 性格を活かすには、その経緯を把握しなければならんのです。

 補助的な要素としては、星座とユングによる性格付けも参考にしていますが。
 別な言い方をすれば、舞台を広げるべし、とでもなるでしょうか。
 例えば学園物であれば、その校舎だけでなく、主人公の家や、
 それ以前に通っていた学校(での出来事)にまで範囲を広げるのです。

 状況によっては、人間の反応は異なりを見せます。
 多元的に人物を(食い違わないよう)描写する装置として、「場所」も考えられるのです。
 その他に「過去の出来事」があり「現在進行中の出来事」もあるでしょう。
 それらを組み合わせて描ければ、その人は個性的になります。

 追記として。
 既存のキャラを参考するにしても、詳細な分析をした方が宜しいかと。
 ビジュアルや性向、過去、家族構成、学歴や趣味といった遍歴をできるかぎり。
 実際やってみて、拾えるものが少なかったら、
 そのキャラはモデルコピーの劣化版なのかもしれません……。

 また、ちなみに。
 DoZUnさんや脂さんがツンデレに触れていましたが、
 私でも個人的に「ツンデレ」という性向を解析してみました。
 いや、ツンデレも奥深いですよ。決して一元化できるものではありません。
 それでも、基本的構造みたいなものはあったりしますが。
 

ピトフィーさんの意見
 どうも、ピトフィーです。

 DoZunさんの補足に具体的なキャラクターの練りこみ方について、
 いくつか指摘できることを述べていこうかと思います。
 ちょいとばかし硬い文章になりましたが、我慢して読んでやってください。

> 自分の小説のキャラクターの性格や特徴、生い立ちなどを書き出す(DoZunさん)

 第一研究室「登場人物たちのプロフィールを作り設定に厚みを加える」に書かれている
 13個のチェックリストをすべて埋める。
 埋められない場所はひとまず放置して、埋められるところをすべて書き込む。
 無論、他のキャラクターについても同様である。
 ただし、次のことを忘れてはいけない。

 リストが完成する≠キャラクターの完成

 リストはキャラクターの関係、生い立ちを浮かび上がらせるための「手がかり」と考えること。
 しかし、経歴を因果的に矛盾なく書き出していくのは、かなり根気が要る作業である。
 そこで、「手がかり」となるのがリストである。
 リストには、その人物が物語の最初の瞬間にいたるまでの経験のヒントが、たくさん詰まっている。
 一例として

住所 ここに最初からすんでいたのかどうか
容貌 変わった特徴はないかどうか
性格 どのような価値観を持っているのか。またそれはどのような経験によって獲得されたものか。

 ひとつの経験によって得たプラス、マイナスを記せればさらに良い。
 美点 弱点 全く同じ根拠から出発しているかどうか 性格のところに強く関わってくる。

 などが挙げられるが、特に重要なのは12、13である。
 人物は決して一人では生きられない。関係の中で生きている。
 ちょうど質問を掲示板に書き込んだユウさんに、
 砂糖飴さん、DoZunさん、脂さん、蒼い人さん、そして私が異なった意見を述べているように。
 私たちは誰かの助けを借りることで、初めて生きることが可能である。
 そして、人と人が出会えば多かれ少なかれ衝突が生じ、何かを残して成長している。
 そのヒントとして、12と13は大きな可能性を秘めている。そもそも小説は人間を描くものである。
 なのに、人間をないがしろにしていたら、それこそ記号的になってしまうではないか。
 例えば、十年以上も続いたあるドラマの脚本家は、
 登場人物の履歴書をそれこそ、一年もかけて書き上げたという。

> 設定を練り込み、性格とリンクさせなければ駄目なのです。
> 性格を活かすには、その経緯を把握しなければならんのです(蒼い人さん)。

 そこまでしなくとも、特別重要な出来事を記しておくことは必要である。
 それがキャラクターの骨格となる部分だからだ。
 具体的なエピソードには、

両親 どのように育てられたか → 性格形成の原型
友人 誰と、どのようにして友達になったか → 気があったところ、あわないところ
恋人 人物は異性のどこに惹かれたか 異性は人物のどこに惹かれたのか
過去のトラウマ どのような出来事があって、誰からトラウマを負ったのか。
 また、それはどのようなトラウマで、現在の性格にどのような影響を及ぼしているか

 などあるが、大事なのはすべてを過不足なく埋めることではなく、
 最も重要な一つをしっかりと書き込み、他の出来事はそれの派生的なものと位置づけることである。

 ここまで長々と述べてきたが、言いたい事をまとめると

1 キャラクターのリストは、根幹への「手がかり」
2 キャラクターの根幹を成す出来事をきっちりと記す


 以上の二つを常に意識していれば、キャラクターが記号的ということは、まずなくなると私は考える。
 最後に、空白のまま残った箇所は、他のキャラクターのリストを埋めながら、
 別の視点からの「手がかり」を探すように心がけてみましょう。
 Aという人物の本人は意識していない美点を、Bは羨ましがっているかもしれないからです。

 こんなところが私から与えられる「手がかり」でしょうか。
 では、気合を入れて気を抜いて、自然な気持ちでやってみてください。
 では、長々と失礼しました。

追記

> 現実の人間の方が多種多様で、フィクションより飛びぬけている個性を持っている人もいますので、
 人間観察としてみると良いと思います(脂さん)


 具体的なキャラクターが全く浮かばない、という場合はまず、
 あなた自身をリストの項目に書き込んでみましょう。

 他にも、気に入ったキャラクターをリストに書き込んでみる。
 あなたの作品の登場人物に良く似た人物を書き込んで、違いを明確にする。
 などがありますよ。


サクラさんの意見
 初めまして。サクラと申します。

 ユウさんの小説を拝読させていただいて、私なりの回答をさせていただくのなら、
 語尾に問題があると思います。
 キャラの語尾にほとんど『!』や『?』がついていて、
 ユウさん自身の書き込み方がそのままでてしまっているのではないでしょうか。
 あと、セリフにキャラの個性が見えてこないことが、
 『記号のようなキャラ』と言われる理由なのではないかと思います。

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