第4研究室 創作に関するQ&A 43P | トップへ戻る |
闇殯さんからの質問  
 地の文の視点について

 こんにちわ、闇殯といいます。小説暦三年のペーペーです。
 今までは一人称、つまり主人公視点で書いていたのですが、
 最近三人称に挑戦しようと思っています。
 意気込んでパソコンにむかったのはいいものの、
 「あれ、三人称ってどういうふうに書けばいいんだ……?」と。
 神様視点的な感じにすればいいのか、誰かがストーリーを話しているふうにかけばいいのか……
 他の三人称視点の小説なんかを読んでもイマイチ掴めなくて……
 まあ、その小説の内容にもよると思いますし、初歩的な質問なので答え辛いと思いますが、
 よろしくおねがいします。


●答え●

 映画に例えると、一人称は主人公自身がカメラマン、
 三人称は、別のスタッフがカメラマンという感じですね。
 ちょっと両者を比較してみましょう。
 
一人称
 やっとの思いでたどり着いた神殿は、予想していたよりよっぽど小さくてボロっちくて、
 拍子抜けしちゃったわ。
 こんなところに、ホントに大賢者とかいるのかしら? まったく不安になるわね。
「しょうがない行ってみますか……」
 あたしは、取りあえず中に入ってみることにした。

三人称
 エセルがやっとの思いでたどり着いた神殿は、
 予想していたよりずっと規模が小さく老朽化も進んでおり、彼女は拍子抜けしてしまった。
 こんなところに本当に大賢者がいるのか、不安になる。
「しょうがない行ってみますか……」
 エセルは、取りあえず中に入ってみることにした。

 一人称は、主人公の目から見た世界が描かれます。
 彼(彼女)のモノローグよって物語が進行しますので、
 読者は主人公というフィルターを通して小説世界を見ることになります。

 三人称は主人公とは別の語り部が、
 主人公の行動をカメラで追って、語っていくという感じになります。

 そのため客観的な文体になります。
 
 三人称はとても自由度が高いので、プロアマ問わず三人称を選ぶ人が多いです。
 なにか説明しなければならない際にも、主人公の知らない知識を語ることができるので便利です。
 例えば、一人称の主人公が魔法使いでない場合、魔法について説明したくても、
 専門職ではないので、あまり突っ込んだ説明はできませんよね。
 でも、三人称なら、そういった制約を受けずに説明することができます。
 
 逆に気を付けなくてはならないのが、視点の混乱です。
 三人称では、カメラを主人公以外の登場人物に向けることもできます。
 主人公の恋人や友人、悪役にカメラを向けて、その行動を追うこともできるわけです。

 映画ではカメラワークが重要になってきますが、小説でもこれは同じです。 


 同一シーン内でのカメラの向きは、一人の人物に固定するように気を付けてください。
 視点がぶれると、誰を中心に語っているのかわからなくなり、読みづらくなります。
 特に注意が必要なのが心情描写です。
 基本的に、今、カメラを向けて行動を追っている人物以外の心情は書かないようにしてください。
 同一シーン内での視点がぶれてしまいます。

 また、Aの場面では主人公、Bの場面では恋人、Cの場面では友人、Dの場面では悪役と、
 シーンごとにカメラを向ける人物を頻繁に切り替えていると、
 現在は一体、誰について語っているのか、理解するのが大変になります。
 下手をすると、その物語の主人公が誰だかわからなくなる危険もあります。
 画面にあまり映らないような主人公では、主人公として認識されませんのでご注意ください。


蒼い人さんからの意見
 まともな小説歴が一年未満の蒼い人がお答えします。

 三人称は客観的な視点であるのが基本です。
 神様視点とは違うのは、視点が定まっているという事。


 客観視を前提に、主人公は誰であって、彼が写している映像とは何ぞや?
 とするのが三人称としてもらっても構わないと思っています。

 三人称でも主人公の心理状態を独白で述べる事ができます。
 しかし、彼以外の登場人物の心理までは表現できません。
 そこは、動作や仕草で表現するしかないのです。


よしろ〜さんからの意見
 おっしゃるような、地の文の神様視点とか、誰かっぽい視点とか、
 3人称って呼ばれるものは、なかなか幅広いですね。

 3人称の地の文というのは、
 登場人物とは人間的な関わりを持たない語り部としての作者がしゃべる文なので、
 登場人物に、〜〜さんとかの敬称などは基本的につけてはいけません。


 例外として、貴族の「〜〜公」とか「〜〜伯」という爵位とか
 本名不詳の「〜(例えばおやじ)さん」という愛称でしか呼ばれない人物とか。
 後者の場合、区別のために『おやじさん』みたいに『』をつけたりします。
 それと、1人称とは心理描写も違ってきますね。

 1人称は地の文が、主人公の独白なので、そのまま主人公の心理描写になっています。
 3人称では心の中の独白には()を使ってもいいですし、――でも構いません。
 それどころか、地の文そのままでもよいのです。
 これは個人の好みで決めてよいものかと思われますが、
 心情描写が多ければ地の文そのまま、少なければ()や――を使う場合が若干多いようです。
 独白を使えるのは、1場面にせいぜい1人なので、残りの人物は動作やセリフで表現します。

 ルールと言われるものはこのくらいだと思います。
 視点は書く人によってさまざまですね。
 作者視点(神様視点)なんてのもありますが、
 これは小説を書き始めていきなり3人称にチャレンジした人や、
 よっぽど練達した人くらいにしか見れない手法です。
 後者でも、使っているのは小説の1部分のみがほとんどです。


みつきさんからの意見
 闇殯さま、はじめまして。

 三人称小説の地の文についてですが、
 「映画の画面をそのまま小説に起こしたように書く」


 というイメージでやると分かりやすいのではないかな、と思うのですが……。
 (すみません、余計分かりづらいかもしれません・汗)
 映画といっても、主人公の独白がずっと入っている一人称的なもの
 (「猟奇的な彼女」とか)ではなく、普通のハリウッド映画などの、
 カメラがちょっと離れた場所から客観的に登場人物たちを見つめている感じのものですね。

 一人称は、言ってみれば主人公の目そのものがカメラ、
 主人公自身がカメラマンになっているようなものです。
 つまりルポルタージュ風といった感じになるので、
 主人公が見たもの聞いたもの以外は書いてはダメ、
 人称も「私」、「俺」である、というお約束が出来てきます。
 ですが、三人称では主人公から離れたところに第三者(作者)が操るカメラがあって、
 他者的視線で人や場を見ている感じなんですね。
 もちろん、そのカメラは基本的には「主人公」を一番細かく追うのですが、
 カメラもカメラマンも主人公からは分離されている存在ですから、
 時に場面を俯瞰したり、時には別の場所を映し出したり、
 時には別の登場人物を追ったり、ということが出来、
 結果、主人公の見聞きしていないようなことも書ける、というわけです。

 ……たとえ話は上手くはまらないと全然伝わらないので不安です(^^;。
 とにかく、一人称とは違って、作者が登場人物から離れ、
 客観的に人や場を見る感じで文章を書くようにするといいと思います。

 それでは、なんだか上手く書けた気が全然しないのですが(ごめんなさい)、
 このあたりで失礼させていただきます。

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