第4研究室 創作に関するQ&A 67P | トップへ戻る |
うるるさんの質問  
 物語を複数のキャラの一人称で語るのはあり? 
 
 はじめまして、うるると申します。
 私は一人称で物語を展開していく話を作ろうと思っています。
 その時、複数のキャラの一人称で語るのはありなんでしょうか?
 例えば、第一章はAという人物、第二章はBという人物……
 のように変えても構わないのかどうか、ちょっと悩んでます。
 やはり、一人称で語る場合、一人のキャラだけで展開していく方が良いのでしょうか?
 解りにくい文章ですいません。良かったら、助言などを下さい。


●答え●

 うるるさんは、一人称小説をどれくらい書いてきましたか?
 もうすでに一人称を使いこなすことはできますか?

 もし、すでにたくさんの一人称小説を作ってきて、自信を持って、
 一人称を使いこなすことができるとおっしゃるのであれば、
 ぜひ次なるステップとして挑戦してください。


 でも、珍しいから、注目されるからやってみようという理由で、実力も備わっていないうちに、
 こういったトリッキーな構成の小説を作ろうとするとまず失敗しますので、やらない方が無難です。
 
 一人称は、とても難しいです。

 制約が多いだけでなく、登場人物になりきって、
 そのキャラクターの目で世界を見て物語を作るのは、よほどの経験をこなさないとできません。
 非常に高度な想像力、文章力を要求されるだけでなく、
 視点のとなる人物を完璧に理解する必要があります。
 だから、私はより楽な三人称を使っています(汗)。

 世に出ている一人称小説のほとんどが、終始、主人公視点で描かれていますよね。
 これにはそれなりの理由があるのです。
 いろんな人物の視点で作品を描くと、一見、物語の深みが増すような気がしますが、
 読者にとっては誰が物語を語っているのか、誰が物語の中心であるのかわかりにくくなります。
 三人称でさえ、コロコロ視点となる人物が変わると、内容を理解しにくくなります。
 これを防ぐためには、そうとうな執筆力が必要です。
 
 基本ができてないうちは、基本に忠実であることをオススメします。
 
 野球で、ヒットも満足に打てない打者が、いきなりホームランを狙ったり、
 バスケットで、ふつうのシュートも満足に決まらない選手が、
 スリーポイントシュートを狙っても、ほぼ確実に失敗します。
 もし、できたとしても、それは単なるまぐれで次回からは成功しないでしょう。
 

アトベさんの意見
 どうもです。アトベです。
 うるる様のお悩みについてですが、とくに悩む必要はないと思います。
 理由は『小説には規制なし』だからです。
 この言葉は掲示板でいろんな人が使っています。自分もそう感じます。
 逆にこうは考えられませんか。
 
 うるる様の考えてらっしゃる構想はあまり使われていない構想である
  ↓
 上手く書ければ読者にウケル。
 
 どんな物語でもマイナスを考えたらキリがありません。
 プラスとなる点を上手く捉え、生かすことを考えましょう。

 参考程度ですが、僕が知っているラノベでは
 高瀬彼方先生の『ディバイデッド・フロント』(角川スニーカー文庫)という作品です。
 うるる様の書きたい話の条件にあったものだと感じます。
 一度読んでみてはいかがでしょうか?


矢治さんの意見
 矢治です。うるるさん、初めまして。

 基本的に、私もアトベさんと同じく『小説に制約はない』と思っていますが、
 一作品で複数の一人称を使うというのはお勧めしません。
 
 それだったら、単に三人称でやればいいのでは?
 一度そう考えてから、構想を見直してみることをお勧めします。

 
 うるるさんも、複数の視点で書くことに不安があるからこのような質問をされているのでしょう。
 
 自分のこだわりが、往々にして話をわかりにくくしてしまう、
 読者が混乱してしまう、なんてことはままありす。 


 小説では、自分の書きたいものを書くのも大切ですが、読者のことを考えるのも大切です。
 まずそこを考え、さらに、普通に三人称でやれるかどうか考えてみてください。
 それで、『いや、その書き方では作品が色あせる』『複数の一人称を使うことによって、
 この作品は初めて輝くんだ』と思ったときは、堂々と複数の一人称で突き進んでください。
 そこに生きる登場人物たちを輝かせることも、小説では大切なことですので。
 
 基本と違う試みをする時は、
 そうして普段の一歩も二歩も深いところから考えて、やる必要があります。

 
 でなければ、自分のやりたいようにやってるだけに終わってしまって、
 作者も読者も作品も不幸になってしまいますから。
 他ならぬ自分の手でそれをやってしまうのは、うるるさんにとってもとても悲しいことだと思いますし。
 それに、仮に新人賞に応募するのなら、
 複数の一人称なんてトリッキーなことをやっておきながら、
 肝心の一人称の基本ができていなかったりすると、確実に大減点になります。

 私も勉強中ですが、一人称というのは難しいですよ。
 物語の構成から、語彙から、描写まで、三人称よりはるかに制約が強い。
 
 一人視点の語り口調だから書くのが楽だ、読者だってきっと感情移入しやすいはずだ、
 なんて思っているうちは下下の下です。

 
 それをさらに複数視点でやるのだから、
 かなり難度の高いことをやろうとしているというのを認識しておいてください。
 でも、それでもやりたい。挑戦してみたい。そう思うのなら、私は応援しますよ^^
 基本的に、私は小説に制約はないと思っていますので。
 なんだか、1から10に行って、10から1に戻るような話ですけど、これで終わります。
 頑張って下さい!

追伸
 ちなみに、二人称小説とは、主役に対して「あなた」視点で語る小説です。
 メール配信の小説で二人称小説が話題になったこともありますね。
 でも、これはかなり特殊な小説形式で、もともとが実験手法でもあり、
 参考になる本もかなり少ないので、書くのは難しいと思います。


みつきさんの意見
 うるるさん、はじめまして

>第一章はAという人物、第二章はBという人物……のように変えても構わないのかどうか

 全然かまわない手法ですよ。巷の小説にも、よくある書き方です。
 それどころか、第三章は三人称、第四章は書簡形式、第五章はまた一人称、
 なんて作品もあります。
 新潮社から刊行されている、竹内真さんの『自転車少年記』は、
 章ごとの視点切り替えの勉強材料として結構お勧めですので、
 よろしかったら読んでみてくださいね。
 それではこれにて。


峰しずく さんの意見
 こんにちは。
 むつかしいけど、ありだと思います。
 実際、そういう作品も読んだことがあります。

 それは非常にあざといというか、うるるさんが目的とするものとは違うと思うのですが、
 作中の登場人物が、作品を書く、という設定の上で、○○が書いた、△△が書いた、
 などという章タイトルをつけていました。

 しかし、それでも僕は戸惑いを覚えました。
 語り手が変化したところで、すぐには作品世界に入ってイケなかったんです。


 また、まさか「○○が書いた」なんていう章タイトルをつけるわけではないでしょうから、
 その章が始まってはやいうちに、
 読者に「語り手がかわった」と認識させるなにかを示さないといけないでしょう。
 

Neutronさんの意見
 こんばんは、Neutronです。
 可能か不可能か、という意味では、他の方が仰られているように可能です。

 しかし私個人としては、少なくとも"アマチュアの間は破ってはならない原則"としています。
 原則不可なのは、視点の混乱や読者との乖離などの理由があるからです。


 公募に応募するとしても、それを破るだけの理由があって、
 代替不可能であると判断しない限りは用いません。
 使う場合は、"どうしても必要である"という理由がなければならないと思います。

 確かに、表現の上では何をしても自由です。
 しかし、自由の上に胡座をかいていては、成長は望めません。


 制約の中で創意工夫することで、新たに沢山のものが生まれてきます。
 そして最終的に、制約を解除します。その時には、きっと新しい世界が広がっていることでしょう。
 最後に。二人称視点とは、主役に対する「あなた」の視点だったと記憶していますが……


みけさんの意見
 私は、やったことあります。
 ですので、ありかなしかと言えば、ありです。

 ただ、キーポイントとして、なぜ一人称の切り替えが必要だったのか、読者にも明らかにわかる構成でないと、全体がつまらない印象になります。

 たとえば、Aという人物が知らない事実aがあり、Bという人物が知らない事実bがあり、二人がそれを知らないから話がどんどん悪い方向へ向かっている。唯一、両方を知っているのは読者だけ…といったサスペンス的展開には使えますね。
 そこまで行かなくとも、ほぼAの一人称で進行するけれど、どんでん返しでスパイスのように、Bの一人称の短い章を入れるという手もあります。

 とにかく、作者の手抜きで一人称の語り手の切り替えをしたんだなと思われたら、アウトです。
 そこは特に気を付けてください。

 また、一人称の語り手を切り替える場合は、それによって雰囲気がガラリと変わるくらい、キャラクターの違いがないと、稚拙な印象になります。

 キャラ設定時に、本人についての詳細以外に、二人の対比、特に考え方や価値観の違いも細かく決めておかないといけません。
 初心者は、語尾や使う単語だけを変えるだけでいいと思いがちですが、二人の思考パターンや観察眼がまったく同じ(作者の地がそのまま出ていることが多い)だと、すべてぶち壊しになります。

 最初は、メインの語り手を決めておいて、他の語り手を使うのはせいぜい一割以下ぐらいにしておく方が無難です。

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