第1研究室 ライトノベルの書き方  トップへ戻る

投稿、ユーモアのネタ・コツ

さんからの投稿極度の不遜さがギャグになる

 初めまして。ライトノベル作法研究所、とても参考にさせて頂いています。
 私が読んだ本の中で面白いと感じたユーモアがいくつかあるので紹介しようと思います。

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 高畑京一郎著 /タイム・リープ より

 この若松和彦という男は、一度した約束は決して破らない。そういう男である。
 守れそうもない約束、守れないかもしれない約束は、最初からしない。
 そういう和彦だから、『永遠に変わらぬ愛を誓いますか』と訊かれた時、一瞬詰まったのだった。
 そして、考えた末に出た言葉が、
「『前向きに善処します』には参りましたよ。いやあ、あの時は会場中大爆笑でした」
「お陰で、喧嘩すると、未だにそいつを持ち出される」


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 爆笑というよりは苦笑といった所でしょうか。なかなか笑えると思います。
 本人が真面目に言ったであろうだけに奥さん可哀想かも。

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 小野不由美著 /悪夢の棲む家  より

「そういう態度ばっかとってると、いつか後悔する羽目になるんだからね」
「望むところだな。一度後悔してみたいと思っていたんだ」
「てめーがこの世で一番偉いのかぁ!」
「そうなんじゃないのか?」

                  
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 ストレートで捻りは無いんですが、思わず笑った一品でした(笑)
 極度の不遜さもギャグになると思います。
 ちなみに、この傍若無人の彼は眉目秀麗、頭脳明晰で本人もそれを自覚していることもあり、
 ナルシストを略してナルと呼ばれているわけですが、
 そんなあだ名にぴったりのユーモアがこちらです。

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 広田が台所で緑茶を淹れている間、ナルはしげしげとダイニングの鏡−−窓に見入ってた。
 <省略>
「水仙になっても知らんぞ」

       

 あだ名がナルなだけに。

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香月さんからの投稿さりげないギャグ

 初めまして、香月と申します。いつも勉強させて頂いてますv

 大して内容の無い事を、難しく回りくどく表現して、
 最後にストレートにその事柄を表す表現、というのは確かに使えますよね。


 これは私がしょっちゅう使います。

 それから、これは私が勝手に『ギャグになるかな』と思って使っている方法なんですが・・・。

 日本に昔からある慣用句やことわざがありますよね? 
 それをさらに大げさに言ったり、意味を重ね合わせたりして
 (ただ、文章にリズムが無いと長ったらしくなります)
 何か含み笑いしてしまう様な表現にするんです。


 例えば、これは実際に私が使った表現です。

 アズサというキャラが、自分の兄(←弟の事を大切にしているキャラです)が、
 危険な目に遭った事を知らされず、全く違う所でそれを知り、
 『何でいつも大事な事は教えてくれないんだ』と、他のキャラにこぼしまず。
 しかし、相手が口を滑らせて、弟の知らなかった事実を更に教えてしまい、
 アズサがキレる、という場面です(ある程度省略します。)

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「それは・・・○○の事件の事か?」
 ナオがそう言った瞬間、憮然としていたアズサの表情が一変した。
「○○・・・? そんな事、一言も聞いて無い・・・」 
 それを見たナオは、火に油を注ぐどころか、
 燃えているガソリンスタンドにタンクローリーを突っ込ませる様な発言だった事に気付いて
「あ、いや待て!わざわざ言うほどの事でも無かったんだよ、だから・・・」
「・・・あの野郎・・・っ!!くっそーー!!! もう兄弟の縁なんか切ってやる〜っ!!!」


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 という場面ですが。いかがでしょう?^^;
 元々日本語は、一つの言語が多様な意味を持っている物が多いので、
 国語が得意で、慣用句やことわざの問題では常に100点を取れるくらいになると、
 多分使いこなせますよね。

 それから、これはギャグ・・・と言うか、切り替えし(ツッコミ?)の部類に入りますが
(トモ、というキャラが、ツカサ、というキャラを怒らせてしまったシーンです。)

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「おい、ツカサ。無視か?」
「・・・・。」
「そう怒るなって。俺はお前と言葉のキャッチボールがしたいんだよ。」
「壁とやってろ!!」


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 トモ、というのは、常に人を馬鹿にした様な・・・いつも持って回った言い方をするキャラです。
 口が立つ、というのかな? これは友達の実際の会話がモデルです。
 
 それと、私が大好きな、赤川次郎 という作家さんは、
 さりげないギャグを文章に仕込んでくれる方です。

 私としては、爆笑するギャグもいいけど、
 小説の中ではある程度知的なギャグを目指したいと思っています。
 爆笑する様なギャグが書けない、というのもありますが・・・^^;

 長くなりました。この辺りで失礼致します。 

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桜飴 初音さんからの投稿日頃から気の利いたセリフを言う

 はじめましてこんにちは。桜飴 初音というものです。
 水無月さんの投稿ネタを見て、手元に『銀河英雄伝説』 というバイブルがあったことに、
 いまさらながら気付き……。
 そこで私も、良いと思った場面を3つほど紹介させて頂こうと思います。
 少し長くなってしまいますが、よければ御一読ください。

 以下は、ヤンとその養子ユリアンの、自宅での一場面です。

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「顔が映りましたけど、すごい美男子ですね。ご存じでしたか?」
 ローエングラム公ラインハルトの顔なら、
 直接ではないがレーザーホログラムなどでヤンは幾度か見たことがある。
 後方勤務本部の女性兵たちのあいだでは、
 同盟軍のどの士官よりも人気が高い、との噂も聞いた。
 さもあろう。あれほど美貌の若者を、ヤンも他に見たことがない。
「だけど私だってそう悪くはないはずだ。そうだろう、ユリアン?」
「紅茶にはミルクをいれますか、ブランデーになさいますか?」
「……ブランデー」
 そのとき神経質な音とともに防犯システムの赤いランプが点滅した。
 ユリアンがモニターTVのスイッチをいれると、赤外線利用の画面に多くの人影が映った。
 その全員が白い頭巾を頭からかぶり、両眼だけをだしている。
「ユリアン」
「はい?」
「最近はああいう道化師どもが集団で家庭訪問するのが流行っているのか」
「あれは憂国騎士団ですよ」
「そんなサーカス団は知らないな」
「過激な国家主義者の集団なんです。
 反国家的、反戦的な言動をする人にいろんないやがらせをするんで、
 最近有名なんです……(後略)」


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 まず、自身の容姿について、ヤンが自身ありげにユリアンに問いますが、さらりと流されてしまいます。
 ある人が得意になって言ったセリフに対し、周囲のとる態度によっては、小さなおかしさが生まれます。
 会話に紛れた「そんなサーカス団は……」は、 ユーモアの類には当てはまらないかもしれませんが、
 日本人には言い難い(または、日本文化にない)、気の利いた応答です。

 以下は、外伝の1巻からの抜粋です。

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 統合作戦本部ビルの一室で、リン・パオ(総司令)とユースフ・トパロウル(参謀長)は
 デスクワークに専念していたが、総司令官が口のなかでなにやらころがしているようすに、
 気にした参謀長が声をかけた。
「なにをしゃぶっているんだ、さっきから」
「性病治療用の舌下錠さ」
 リン・パオを見やったユースフ・トパロウルの目つきは、殺人未遂現行犯のそれに近いものだった。
「このさい言っておくが、おれはあんたのそういうところが気にいらないんだ! 
 不謹慎だとは思わないのか!」
「冗談だよ、トパロウル中将。ちょっとしたユーモアのつもりだったんだ。
 ただのビタミン剤さ。つまり……」
「あんたにユーモアのなんたるかを説教してもらおうとは思わん。
 冗談を言っているということは、百も承知している。
 おれが腹だたしいのは、あんたの冗談に品がなさすぎるってことなんだ!」
「…………」
「なんとか言ったらどうだ」
「一言もないんで黙ってたんだが、気にさわったかな」


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 当然といえば当然の言い分ですが、怒られている立場であるにも関わらず
 臆面なく言ってのけたこと、また、「気にさわったかな」と一言多いところがユーモアを感じさせます。
 このように、キャラクターの図々しさが笑いを誘うということもあるかも知れません。

 以下は、フォーク参謀がヒステリーによる病気で倒れた時の、ビュコック老提督と軍医の会話です。

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「……本気で言っているのかね、軍医?」
「これはわがままいっぱいに育って自我が異常拡大した幼児にときとしてみられる症状です。
 善悪が問題ではありません。自我と欲望が充足されることだけが重要なのです。
 したがって、提督方が非礼を謝罪なさり、粉骨砕身して彼(フォーク)の作戦を実行し、
 勝利をえて彼が賞賛の的となる……そうなってはじめて、病気の原因がとりさられることになります」
「ありがたい話だな」
 ビュコックは怒る気にもなれなかった。
「彼のヒステリーを治めるために、3000万もの兵士が死地にたたねばならんというのか? 
 上等な話じゃないかね。感涙の海で溺死してしまいそうだな」


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 最後のセリフは、私のなかでは五指に数える名台詞です。
 事の馬鹿々々しさを「感涙」と皮肉り、その海で溺死するという巧みな言い回しが含まれています。
 私はこの台詞をなんとか日常会話の中で使ってやろうと必死です(笑)。
 
 最後に。
 第一研究室内、『面白いギャグの作り方』の『ユーモアの磨き方』の項に、
 「おもしろい話や笑えるギャグを、とにかくたくさん聞いたり読んだり見たりして、吸収すること」
 とあります。

 ここへ更に、日頃から気の利いた台詞を『言う』ようにしてみれば、
 なお効果的であるように思います。


 ウケを狙ってギャグを言うには、勇者にならないといけませんが……。
 米国では、ユーモアセンスの有無が、人間判断の基準の1つにもなっているんだそうです。
 みなさんも、ジョークを言ってみたり、洋画を見たりして、アメリカナイズされてみてください。
 私は毒舌を練習して、嫌われてしまいましたけど(笑)。
 それでは。

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