第4研究室 創作に関するQ&A 311P | トップへ戻る |
Gravityさんからの質問 2007/11/28
 閉じ括弧の前に句点を入れる?
 
 こんにちは。Gravityです。
 テストが終わってやっと執筆作業ができる! と思ったら冬期講習と来たもんだ! あぁorz

 さておき。

 今回の質問は執筆についてではなくて、国語の教科書に載ってる物語(文学作品)の事で少し疑問が。
 この間、国語の教科書を読んでいてふと思ったのですが、
 全ての物語(文章)の中で、セリフの閉じカッコの前には句点があるんですよね。

 僕はこのサイトで文章作法を学んだので、他はあまり知りません。
 この疑問、解消していただければありがたいです。


●答え●

 かつては、閉じ括弧の前に句点を置くのが正しいとされていました。
 国が定めた基準では、いくつかの例外を除いて句点を打つことになっています。
 そのため、公用文や教科書では基本的に「〜。」と打つことになっています。
 
 しかし、現在(2012年)では、カッコのウケ(」)が文末を示すことは明白なので、
 句点を省略するのが書籍や雑誌等での表記ルールです。


 実際に出版されているライトノベルを調べてみても、
 「〜。」が使われている本を見つけることは、まず出来ません。
 1983年に出版された黎明期のライトノベルである『吸血鬼ハンターD』でも、
 閉じ括弧の前の句点が省略されているので、
 この時期から既にこの新ルールが出版界で敷かれていたことがわかります。
(夏目漱石や芥川龍之介などの古い文学作品では、新ルールではなく、
 古くからの基準で書かれているため閉じ括弧の前に句点があります)

 このため小中学生の国語の勉強期間中は「〜でした。」と使い、
 社会人になると「〜でした」が常識になるという、ややこしい事態になっています。
 
 現在の出版界では、閉じ括弧の前の句点を省略するのが当たり前になっているので、
 当サイトでは、作家を目指す人向けに、こちらを正しい文章作法として紹介しています。



篠原くれんさんからの意見
 こんにちは。
 国語の教科書はわりと文法に忠実に書かれています。
 だから、一文の終わりには必ず「。」をつけるということ。
 そして、会話分の終わりにはとじかっこをつけること。
 両方を真面目にすると「……です。」となります。

 ただ、商業出版に関しては写植(Wikipediaか何かで調べてね)の数を減らす為、
 簡単には手間を減らす為に会話文最後の「。」は省いています。
 何故、省いてもいいことになっているかと言うと、
 とじかっこの前では一文が終わる。という暗黙の了解があるからです。
 つまり、とじかっこがあるんだから、一部は終わる。
 だから、句点の「。」はあってもなくても同じでしょ。と言うところです。

 なので、文法的には「……です。」が正解。
 ただ、「……です」でも間違いではないと言うことです。


 以上ですが、違いそうな気もするので、誰か、フォローよろしくね(汗

 ちなみに、現在は、写植は使われていないようなので、そこはよろしく。
 つまり、出版関係の慣習のようですよ。


ジンベェさんからの意見
 国語の教科書ですか。懐かしい。
 それは割と古典のものではないですか? たしか、夏目漱石とか森鴎外とか。
 私も一時期疑問に思っていたのですが、結局それも好きにやればいいのだと思います。
 個人サイトなどだと、そういう風にやっている方は案外いますよ。
 それも、大学で文学を専攻をされている方などで、あえてそういう文にしているのだそうです。


リンチェさんからの意見
 別に教科書や公文書だけでなく、
 商業出版物でも括弧の前に句点を打っているものはいくらでもありますよ。


 例えば、講談社青い鳥文庫のような児童書には、
 閉じ括弧の前にも句点を打つことを基本原則としているものが少なからずあります。
 また、新潮文庫などでは、作品によって句点を打つか打たないかに違いがあります。

 以上、蛇足かもしれませんが、他の皆様の意見を読むと、「……。」という表記は現在の商業出版物では全く用いられないと言っているように思えてしまったので。


加藤 汐朗さんからの意見
 括弧内の文末に句点を入れるのは、
 昭和21年に文部省が作成した文書表記法に関する統一冊子が標準になっているからです。
 このため、現在でも公文書や教育機関の文書表記はこれに倣って作成されています。

 では何故、一般に普及している新聞や書籍に句点が無いのかと言いますと、
 閉じ括弧そのものが文末を表すという理由から、
 60年ほど前から新聞や出版業界で句点を省略する動きが出始め、
 著作者に対し句点の省略を打診するようになりました。
 これが現代に至り、省略するものとして定着したようです。

結論。
 「小説として出版社に投稿するなら、句点は省略して付けない」
 「でも頭の片隅には、正しい日本語表記は句点を付けるものと覚えておくといいです。」


●補足
 主題の件に関しましては、実は私自身<国立国語研究所>に問い合わせをした事があります。
 不適切な場所への引用を避けるため、メールや文書ではなく電話で応対するスタイルでしたが、
 充分納得できるお返事を頂きました。

 対応して下さった職員の方曰く。
 最近の小説は会話文が多くなり、規定の表記法で句点を用いた文章を書いてしまうと、
 テンポが悪くなる上、ダイナミックに表現する事が困難になる。
 親しい友人や恋人に手紙を書く際にも、堅苦しい表記法を用いれば思いを伝えにくくなるし、
 表記法の押し付けになりかねず失礼に当たる。
 句点に囚われず、表現しやすい文章を心掛けて欲しい。

 つまり、文学という観点から『表記法のルールとしてこう在るべき』という考え方を持つべきではない。
 との見解を示して頂きました。


 反面、ビジネス文書や論文、レポート等、特に表記法に関する指導要綱が提示されていない場合には、
 規定の作法で文章を書かなければならない場面が実生活には存在している事、
 それは忘れないで欲しいと付け加えておられました。

 私の投稿は、このやり取りが根拠になっております。

萌え・美少女・美形について
その他・創作上の悩み
世界観・リアリティ・設定についての悩み
タイトル・ネーミングについての悩み
やる気・動機・スランプについての悩み
作家デビュー・作家生活・新人賞・出版業界
上達のためのトレーニング・練習法について
読者の心理・傾向について
使うと危険なネタ?
恋愛・ラブコメについての悩み
ライトノベルについて
文章・描写についての悩み
人称・視点についての悩み
推敲・見直しについての悩み
コラム(創作に役立つ資料)
批評・感想についての悩み
ネットでの作品発表の悩み
ストーリーについての悩み
冒頭・書き出しの悩み
プロットについての悩み
キャラクターについての悩み
主人公についての悩み
セリフについての悩み
オリジナリティ・著作権・感性
テーマについての悩み
二次創作についての悩み

 携帯版サイト・QRコード
  
第4研究室は小説を書く上での質問・悩みをみんなで考え、研究する場です。
質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。
質問に対する意見も募集します!
投稿されたい方はこちらの意見投稿用メールフォームよりどうぞ。
HOME|  第1| 第2| 第3| 第5| 鍛錬室| 高得点| CG| 一押| 資料| 掲示板|  管理人| 免責| リンク| メール|