第4研究室 創作に関するQ&A 330P | トップへ戻る |
鬼の舌震いさんからの質問
 特異な人格のキャラクターは共感を得られる?
 
 自分の特異な価値観(思想)をキャラクターに押し付けた作品は、独りよがりの作品でしょうか?

 人から共感を得られない、感情移入しにくいキャラクターは嫌われますよね。
 しかし、入間人間さん著『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』
 登場するキャラクターは感情移入しにく いです。
 愛する人を救いたい、というところが共感できる唯一の点だと思います。
 また、成田良悟さんの作り出すキャラクターも吹っ飛んだキャラクターばかりです。
 ですがとても面白いですし、人気も高いです。

 キャラクターが吹っ飛んでいても、信念があって吹っ飛んでいるのなら認めれるのでしょうか。

 いま短編の作品に取り掛かっているのですが、
 特異な価値観を持つ主人公が出てきます。大丈夫なのでしょうか?


●答え●

さいたまさんからの意見
 嫌いな友達に嫌な思いをさせたいと思う人がいたとします。
 普通、そういう場合は本人に対して陰湿ないじめを行ったりするものでしょう。

 でもッ! ディオは違ったッ!
 ずきゅううううううううん。
 嫌いな友達の片思いしてる子にキスをしました。
 さすが、私たちでは考えてもできないし、やらないことをやってのけてしまいました。
 そこに痺れる、憧れる。

 転じて、「あり得ない事」がとてもクールに映ることだってままあるはずです。

 私は以上で挙げられた作品については存じませんが、
 度々そういった爽やかキチガイキャラが人々の俎上に載ることを知っています。
 まあ主に悪役がそうである場合が殆どなのですが、
 主人公にだってそういった斜め上の憧れられられはあってもいいじゃないですか。
 ロケットで突き抜けましょうよ、いっそのこと。

 結論を申しますと、そういう主人公は面白いと思うので可だと思います。
 特徴的であることは何かしらメリットがあるのかもしれませんよ。記憶に残りやすいわけですし。



アリオンさんからの意見
 先に一つだけ確認を。

 『感情移入』は必ずしも『共感』『同調』のみのポジティブな心の働きを示す言葉ではありません。
 極端なことを言えば、そのキャラクターを読者が『憎悪』することだって『感情移入』の一種です。


 そこに共通なのは、そのキャラクターを『理解する』ということです。
 理解した上でそのキャラクターに共感するか共感できないかはまた別の問題です。
 その共感の可/不可は、絶対的ないい/悪いではありません。

 その行動があまりに非道で、多くの読者から憎まれ否定され、
 それでも何故そのキャラクターがそんな道筋を歩んだのか苦々しくも『理解』できるがために、
 燦然とした存在感を放つキャラクター。
 そんなキャラクターも世の中にはあります。

 『感情移入』できないキャラクターとは、その理念を読者が『理解』できないということです。

 例え社会の敵である快楽殺人者だろうと、
 その理念が『理解』できる(肯定できるという意味ではない)ものであれば、
 人間は『感情移入』できるものです。『憎む』という手段もその一つ。
 
 理解できなければ(あるいは理解したと思い込むことができなければ)、
 そもそもそのキャラクターを憎むことはできません。
(ちなみに、キャラクターの役割として『理解不能』というキャラクター性を持つものも存在します。
 『理解不能』は絶対的に否定される要素ではありません。
 そんなキャラクターばっかりでは困りますが、役割分担として、
 存在してはいけないと否定されるものではありません)

 『共感が得られない』ということは、
 そのキャラクターが『魅力的である』ということと必ずしも矛盾しません。


 主人公、という役割を考えると非常に扱いづらいキャラクター性ではありますが、両立できる要素です。

 大事なのは、『特異な価値観の有無』ではなく、それを読者にどう『理解』してもらうか
 (肯定してもらうという意味ではない)、その伝え方。作者の技量。


 ぶっちゃけ作品次第でどうとでもなるものであって、
 書く前に頭から否定するようなことだとは思いません。
 難しい要素ではありますが、挑戦することは私はいいことだと私は思いますよ。


峰しずくさんからの意見
 こんにちは。
 感情移入しやすい、しにくいなどはあるかと思いますが、基本的に自由です。

 注意すべきは、「特異な価値観」に矛盾がないようにすることです。

 例えば、「死刑以外の刑の廃止論者」が、
 「スピード違反は懲役10年に値するよなあ」と言えば、矛盾しています。

 そのためには、キャラの作りこみをしっかりとやりましょう。
 その価値観を持つに至ったのは、こういう過去があり、こういう思考過程があり、
 こんな教育を受け、こんな環境で育ち……と設定するわけですね。



みつきさんからの意見
 鬼の舌震い様、はじめまして。

 独りよがりの作品というのは、客観性のまったくない作品のことを言います。
 
 どんなキャラクターを書くにしても、特異な価値観を書くにしても、
 世間の普通一般人の大勢が持つものの見方や感じ方、常識、論理的思考といった、
 つまるところの『客観性』というものを作者も当然きちんと持ち、
 常にそこに片足を掛けながら創作をする、という姿勢がなければ、
 どんな作品も独りよがり、他者に見せ得る作品にはなりません。 
 
 というわけで。
 吹っ飛んだキャラクターをいくら出したって、
 特異な価値観を持つ主人公であったって、全然構わないんですよ。
 
 大事なのは、それを一個の人間として、自分とは違うまったくの赤の他人として、
 作者がどれだけ突き放して見られるか、というところにあるのだと思いますよ。

 

飛車丸さんからの意見
 特異な価値観を持ったキャラを作るのは問題ないですが、
 キャラに価値観を押し付けるのはひとりよがり。
 この違いが、作品やキャラを活かすか殺すかの違いになります。


グレー・デ・ルイスさんからの意見
 私自身特異な価値観の持ち主ですので、
 特異な価値観を持っていない登場人物には逆に同調できません。
 
 全く特異な価値観を持っていない人間なんて、創作の世界ではモブキャラにしかなれませんが。


景乃さんからの意見
 特異な価値観にも読者に認可されるものとされないものがあるかと。
 
 恐らく感情移入しにくい小説なのに読者が嫌がらないのは、
 認可される程度の特異質を持った小説であって、許容範囲内での物です。

 
 ……思うにその許容範囲をオーバーしてしまったものが、
 貴方の言う[独りよがりの小説]に成り下がってしまうのではないのでしょか?

 あまり解決に向かない意見ですが、
 ある程度の許容範囲内にある特異質なら気にしなくて大丈夫でしょう。


南月さんからの意見
 いいんじゃないですか?
 自分で決めたなら前進あるのみですよっ!
 たしかに感情移入しやすいほうが理解しやすい作品になると思いますけど、
 特異な価値観が共感しずらくても軽蔑の対象にはならないと思います。
 むしろ興味を抱かせられるかも?
 だから気にすることなくやってみましょ!


一茶さんからの意見
 まず、「特異」という時点で共感を得られる可能性は少ないです。
 ズレタキャラクターは、共感よりも印象や面白味を重視したほうがいいと思います。


 映画「ジョーブラックによろしく」の主人公はジョーブラックという偽名を使っている死神です。
 この死神は、自分が目当ての人間と接触するために、
 ターゲットの娘といい感じになっていた男を事故にあわせて死なせ、
 その体に乗り移り「人間観察」という目的を遂げようとします。
 目的のために人を事故に遭わせる主人公に共感なんてできません。
 このほかにも、いろいろと問題を起こしターゲットに怒られ、周りからは不思議がられと、
 その特異な人格によってうまくいきません。ターゲットの娘とは恋愛関係になりましたが。
 死神は人間の命のことは熟知していますが、人間の常識のことはさっぱりで、
 こちらからみて常識的なことを満足そうに真似する死神は、共感できなくともユーモアです。

 でも、特異な人格だからといって全く共感を得られないというわけではありません。
 死神は娘に恋しますが、その様子は人間と同じです。
 
 一から十まで言動も行動も特異な人格のキャラクターというのもなかなかいませんし、
 ある一面だけでも共感できればいいのではないでしょうか。


 それでは、ここら辺で。

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