第4研究室 創作に関するQ&A 332P | トップへ戻る |
クラムチャウダーさんからの質問 2008年
 食べ物や食事風景の表現方法
 
 はじめて質問させていただきます。クラムチャウダーです。

 ライトノベルに限らずかなりの確率で小説には食事風景というものが出てくると思います。
 しかし私が書くと、何だかしつこくなりすぎてしまいます。ちっとも美味しそうに感じません。
 単純に「おいしい!」と登場人物に言わせれば簡単ですが、それも味気なさ過ぎて。

 そこで皆さんにお聞きします。
 美味しいものを食べた時、もしくはマズいものを食べた時、

 いかにして「おいしい」「まずい」という言葉を使わず、簡単にそれらを表現するか。

 シチュエーションは問いません。
 家族の団欒、一人で食べる冷めきった料理、ヒロインが作った弁当、
 街角のたこ焼き屋さん、高級料亭やレストラン、給食のデザート等など。
 ついでと言っては何ですが、「これは上手い!」と思った食べ物や食事の表現をしている小説
 (もしくは雑誌等の文章)を教えて頂ければ更に嬉しいです。

 よろしくお願いします。


●答え●

梅妻さんからの意見
  まずい料理を目にした時。
 
 ・「食卓というより、食材の墓場だな……」
 ・「この新しい創作料理の名前を教えてくれないか」


  いまいちですねぇ。


峰しずくさんからの意見
 こんにちは。
 
 回答になってないのは承知していますが、
 「美味しいと書かずに、美味しさを書け」と習ったことがあります。


 つまり、「美味しい」と言ったところで読者にはその美味しさが伝わらないから、
 読者に美味しさの疑似体験を文章だけでさせよ、ということなのです。

 しかし、僕が習ってたのは、レポートの表現方法であって、小説ではありません。
 小説はグルメ記事ではないのですから。

 従って、目的に寄って使い分ける必要があります。
 
 おいしい食事を摂ったことが伝わりさえすればいいのであれば、「美味しい」だけでいいわけです。
 そうではなくて、その食事の詳細を美味しさや美しさ、場合に寄っては、
 素材の出所まで追及しないといけないのであれば、
 必要な情報は必要なだけ書き込まないといけません。

 マンガの例で恐縮ですが、
 前者は「ザ・シェフ」や「包丁無宿」で、
 後者は「美味しんぼ」や「クッキングパパ」かな、と。
 「包丁人味平」は、どっちかというと後者かなと思いますが、前者のときもありますし、
 どちらでもないとき(リングにかけろの、よくわからないけれど、ものすごい技みたいなとき)もありますね。

 高級料理の美味しさを表現するのは、比較的楽だと思います。
 料理名を言えば、高級そうで、美味しそうに聞こえるでしょ?

「キジ肉の地中海風黒胡椒ソテー マスカットソース。
 季節の温野菜と深山きのこ煮のゼリー寄せ添え」とか。
 いや、デタラメなんですけどね。


カクタさんからの意見
 “美味しい”や“不味い”って表現、味気ないでしょうか。
 私が本当に美味しいものや不味いものを食べた時は、直後には言葉が出ないものの、
 その後に、心底の嘆息と共に、意識せずそれ等の単語が出てきます。
 重要なのは、“何を云うか”ではなく、“何を考えて”“どう云うか”です。
 特に、“何を考えて”が、小説と云うメディアに於いて、
 非常に重要な要素である事は、自明の理ですよね。

 周囲に人間がいて、その方方に、簡単かつ的確に自分の印象を伝える時には、
 やはり、“美味しい”と“不味い”が真っ先に出てくると思います。
 詳しい印象は、その次になる事が多いですし、云わないで食べる事に専念する事も多いです。
 “不味い”に関しては、オブラートで包まれる事も屡屡ですがね。

 何にせよ、クラムチャウダーさんが、本当に美味しいものや不味いものを食べた時に、
 どんなリアクションをとるか、そこが“クラムチャウダーさんならでは”の出発点になると思います。
 経験がないのであれば、その場に陥った時にどうするであろうか、シミュレイトしておくのも良いでしょう。


 梅妻さんの“食材の墓場”、2ちゃんねるの“嫁のメシがまずい”スレを思い出しました。
 あのスレは、不味いものを表現する上で、かなり参考になるでしょう。
 まあ、当然ながらmそのまま使うのはNGですが。


三月 椋さんからの意見
 参考になりそうなラノベを挙げてみましょうか。

 食べ物や食事の描写に定評があるラノベ作家といえば、何と言っても鷹見一幸氏ですね。
 初期作などは、『時空のクロス・ロード』1巻がお好み焼き、2巻がカレーライス、
 3巻がお菓子と、それぞれ違う食べ物が主軸になっているほどのこだわりぶり。
 
 続いて、同じく鷹見さんの『ガンズ・ハート』など。
 1巻にて、生ゴミ寸前のような食材を駆使して、美味しい料理を作り上げるシーンがあります。
 大人数でそれを食すシーンもまた、ホントに美味しそうですよ。
 明らかに描写がこだわっていることが分かります。


幻想魔術師さんからの意見
 こんにちは。幻想魔術師です。

 落語で、酒のうまさを表現したものがいくつかありますが、
 上手い人がそれをやると、それを見た後、酒を飲みたくなるそうです。
 匂いを感じる細胞は口の中に多いそうです。
 風味とか広がる様子を中心に書くとそれらしくなるかなと。
 あとは、幸せそうな様子とか。
 って、あまり大したこと書けなくてすいません。

 短いですが、それでは。


南志紀さんからの意見
 初めまして、南です。

 ありきたりな言葉かもしれませんが、「悲しいときは悲しいと書かずに、雨を降らせろ」
 というか、小説の一般的な表現論です。


 おいしいものをおいしいと言うのではなく、
 もっと比喩的に、あるいは視点を変更した方がいいかもしれません。

 例えば、
「牛もこんなにも美しい料理に調理されて本望だろう」
 とか、
「口の中で溢れ出す肉汁の泉」
 とか。

 あ、後者は彦麻呂さんでしたね。
 拙い文章で申し訳ありません。


Sohmaさんからの意見
 ちょっと外れてるかもしれませんが、
 「JoJo」の第4部ですごくおいしそうな台詞があったので貼ってみますね。

「お前も飲んでみろ!なんつーか気品に満ちた水っつーか、
 例えるとアルプスのハープを弾くお姫様が飲むような味っつーか、スゲーさわやかなんだよ……
 3日間砂漠をうろついて初めて飲む水っつーかよぉーっ」
(億泰)第33巻
 ↑
 飲んだのはただの水です(スタンドによって美味になってますが)。

「ウンまああ〜いっ!こっこれは〜っ!この味わあぁ〜っ!
 サッパリとしたチーズにトマトのジューシー部分がからみつくうまさだ!!
 チーズがトマトを! トマトがチーズを引き立てるッ!
 “ハーモニー”っつーんですかあ〜、“味の調和”っつーんですか〜っ!
 例えるならサイモンとガーファンクルのデュエット! ウッチャンに対するナンチャン!
 高森朝雄の原作に対するちばてつやの“あしたのジョー”!」
(億泰)第33巻
 ↑
 インサラータ・カプレーゼという生のモッツァレッラのスライスとトマトのスライスを合わせて、
 バジリコを添えただけのサラダ。スタンド(ry

 味を表現する、例を出すが中心ですね。
 味覚ではなく、聴覚や視覚すら超越した表現ですが、不思議と「感動」が伝わってきます。
 
 「味」を伝えるんじゃなく「感動」を伝えるようにすれば味の表現が簡素でも、
 例えがいまいち訳わからなくても、十二分に美味さが伝わってきますよ。



魏延さんからの意見
 寒い中で暖かいものを飲んでたり、その逆だったりさせるとほんわかしたシーンが生まれますよ。

 雪が猛威をふるい、地面も建物も凍りついて、手も足もかじかんでるところにて、
 ほのかに湯気をたてるカップを両手で包み、ココアをすする。

 ……う〜ん、なんとも羨ましい場面じゃありませんか(僕だけ?
 この上ココア自体のおいしさを書かなくても、「うわぁ、おいしそう」と思えないでしょうか。

 “こたつとみかん”はその王道ですし、
 夏の流しそうめんなんかも季節感とのマッチが風流ですね。
 ほかにも、山荘の囲炉裏で鍋、とか、とろとろのシチューとか、
 余りもので作ったブリ大根とか、チーズフォンデュをみんなで食べるとか……

 複数人で(しかも冬に)食べさせるなら断然オナベ系です。
 分けあって食べられるものだと会話も生まれますし。


 えっと、つまり、どういう具合においしいか、とか書かなくても、
 キャラが 「うまい!」 と言ったらおいしさが伝わるような、
 身近なシチュエーションを想定してみてはどうでしょうか。
 
 味を文章で表すにはどうしても限界があるので、
 読者さんの想像をかきたてる状況設定でおいしさを伝える、というやり方です。

 少なくとも、食べる食品は整ってて、レトルト品以外である必要があります。
 ひとりは刺身定食、ひとりはカレーうどん、ひとりはハンバーグセット……
 ……という個食/孤食をやってしまうと、もうおいしそうな雰囲気なんか出せません。

 逆手にとると、むなしい雰囲気を出すために、たくさんで食べる料理をひとりで食べるとか、
 晩御飯が菓子パンや冷凍食品とか、そういう書き方もできます。


jogtyさんからの意見
 五感を刺激する、というのはすでに出ている、かな。まあこれは定番の手法です。
 料理から立ち上がる湯気、表面の照り、くつくつという煮える音、
 ひんやりと舌の上で溶ける感触などなど。

 あと料理って食べる環境にもよるんですわ。
 ひとり用の小さなミニテーブルにクッションすらないフローリング、
 頭の悪いタレントが馬鹿みたいに口をあけて笑っているだけのテレビを見ながら、
 ひとりぬるくなった味噌汁を啜るわけです。
 おいしそうに思えますか?

 時代小説家の池波正太郎とかって食事シーンに定番ありませんでしたっけ?
 あと北方謙三とかも男っぽいきらいはありますが、美味そうな食事を書きますよ。


西 亥子さんからの意見
 ゲームの例で恐縮ですが、食事風景と言えば「Fate/stay night」をあげなければと思ってしまいますね。
 まああれはゲームなので、箸と食器の些細な音とか、
 調理中の包丁の音とかがおいしさを引き立てると思うのですが。

 音の例でいうと、朝は毎日母のつくる味噌汁の匂いと、
 野菜を切る包丁の音で目が覚める、とかそんな感じのものもありましたね。

 Fateの例に返りますが、これは主人公が調理の段階から書き込んでいるので、
 より美味しそうに見えるのだと思います。

 食材の名前を書かれただけでも、読者はその食材の名前しか知らないわけで、
 例え調理された料理の名前を出そうとも、その味やおいしさなどは読者の脳に由来するので、
 それをどこまで引き出せるかという勝負なのかもしれません。

 調理過程を淡々と記しているだけでも、そこかしこに調理をしている人の工夫や思考が挟まれると、
 単なる調理でも、「○○の料理」という印象が生まれます。

「ここで隠し味に日本酒を適量――と」
「えぇ!?お酒をいれちゃうんですか」
「酒を入れると肉の身が締まって、臭みがとれるんだよ――あとは中火にしてしばらく待つ、と」

 とわけの思いつきの台詞を入れてみましたが、レシピ通りの調理しかできないキャラと、
 既に自己流の料理を生み出しているキャラを対比させたりすると違いが際だつかもしれませんね。
 後で、レシピ通りのキャラが料理を食べたとき、

「あ……おいしい」

 とか言えばオッケーだと思います。読者側に伝える「おいしい」という情報は最小限に、
 「美味しいそう」という情報を最大限に書けばいいと思うのです。

 素材を書くだけにしても、それが旬の果物や海産物だから、
 うんちくかんちく〜って書き込むだけでもいいかも。
 でもそれ相応の知識が必要ですし、それを無理にひけらかさず、
 最小限で最大の効果をうめる部分だけを抜き取って掲載しないと冗長ですよね。
 まあ、でも――

 料理の美味しさよりも、料理を食べる人たちの方を書き込むという手段もありえますね。

 料理が美味しければ自然と会話も弾む。
 とりわけそこにいるキャラ達がみんな料理ができるならば、そっち方面の話でも盛り上がるでしょうし。

「すいません、ご飯をおかわりお願いできますか?」
「はい」
「それ三杯目じゃない、よく食べるわねぇ」
「そ……それは、このはんばぁぐがいけないのです。
 ひとたびその身を割ればしたたる肉汁が食欲をそそり、
 噛めば噛むほどにまるでスポンジのように溢れ出る」
「そういってくれると作ったかいがあるってもんだよ、はいおかわり」

 …………?
 うん。蛇足で駄文でした。


TOCさんからの意見
 はじめまして、TOCと申します。美味しい食事の表現があると、小説にグッと引き込まれますよね。
 ですが、「旨味」には表現を出し難いものです。

 私が味の表現で大切にしている事は、『空腹度』『匂い』『食感』です。
 空腹度は、例えば満腹の人が肉まんを食べたとして、美味しく表現することは難しいです。
 ですが、山で遭難して三日ぶりに口にした物が肉まんだった。
 とあると、それだけで美味そうだなと思います。もちろん、これが雪山だと威力倍増ですね。
 空腹は現実でも小説でも最高の調味料じゃないかと思っています。
 匂いや食感も食べ物の特徴として書きやすいです。

――
 まだ湯気立ち昇るサバの味噌煮を、身をほぐして食べる。
 柔らかい白身が舌先でとろけ、醤油の焦げた甘い匂いが鼻腔にふわりと広がった。
――
 蓋を開けるとゴマ油のはぜる匂いが部屋を満たし、汁気をたっぷりと含んだギョウザが現れた。
 空腹に我慢できず1つを摘んで食べると、バリッとした皮から火傷しそうな肉汁があふれ出た。
――

 これに料理している工程が加われば、そこそこ美味しそうに書けるかもしれません。
 あと登場人物が料理をガッツクと大味になるので、
 味を表現するときはちょぴっと食べるようにしています。
 味は読者の脳内で再現するわけですから、
 空腹感や匂いの情報、食感などでしっかりと補完してもらいましょう。


おとたんさんからの意見 2012/10/02
 はじめまして、おとたんと申します。
 ノベルではないのですが、私がハマっているコミック「神の雫」が参考になるかもしれません。
 複雑な味の表現を要求されるワインについて、上手に描かれていると思います。
「深いルビー色・・・カシスのアロマ。西洋杉のニュアンスとわずかなスモーク。
 そして、ビロードのような舌触りとハービィなスパイスのフィニッシュ・・・」
〜神の雫 第1巻より〜
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