第4研究室 創作に関するQ&A 482P | トップへ戻る |
海山京二さんからの質問
 騎馬での戦闘描写について
 
 こんばんは。
 馬上での戦闘描写なんですが……
 普通の戦記物のノリで行くなら参考に出来そうなものは多いのですが、
 一応ラノベのつもりなので、集団戦闘の戦術もちゃんと書いた上で一騎打ちを派手に演出したいのです。
 それこそ、異能バトル物並に。

 というわけで、アドバイスとか、参考に出来そうな作品の紹介とか、お願いできればと考えます。
 よろしくお願いしますm(_ _)m


●答え●

逢雄さんからの意見

 こんばんわ。逢雄です。

 騎馬での戦闘、戦術や一騎撃ちを描くなら、『北方謙三の三国志』 は読んでみて下さい。
 
 自衛隊の戦史研究室に入り浸ってまで調べたらしく、
 非常にリアルな上に独特の文体と展開で盛り上げてくれます。


 人によって好き嫌いの別れる作品ですが、技を盗むだけでもいいと思いますよ。
 他の三国志とは違って戦略や戦術をまるっきり無視したようなところがないですし。

 それと、近接での戦闘描写を書くなら格闘技やそれに近いスポーツを見てみるのも一つですよ。
 結局どつきあいだと言ってしまえばそれまでですから。僕もアメフトの経験から書いてる事が多いです。

 それでは、参考になりましたら。


紫陽さんからの意見

 こんにちは。誤って弓道部に入れられそうになった紫陽です。

 馬上での戦闘ということですが、実際戦国時代には、
 馬上で戦うことなどはせずに、武将でも戦場では降りてた戦っていたとか。

 有名な武田騎馬隊でも、殆どが徒歩で馬は後ろにひかせ、戦いに行ったとか。
 つまりは、馬に乗る=ステータスだったということなんですよね。
 
 それでは、拙いアドバイスになると思いますが、

 馬上では、通常手綱を持っていなければ馬を操れません。
 槍は両手を使わなければいけなく、馬首が邪魔になるので、馬上では良い得物とは言えません。
 太刀は利き手側でしか使えず反対側が無防備になります。
 それに振り下ろすと自分の足や馬を切る恐れがあるので、結果薙ぐしか選択がありません。

 それに、一騎打ちなら山岳地や勾配のあるところでは、下をとった方が有利になったりする様です。
 馬は登りに強く、降りに弱いそうなので。現在の外来種のことですが。


 次に馬を使うのなら、日本やモンゴル、中国、朝鮮半島の日本在来種系の小・中型の馬より、
 外来種の方が大きく、得物を扱うには其方の方がまだ良いかと。
 ですが、日本在来種は比較的温厚でハミが必要なく、
 「側対歩」(前後の肢を片側ずつ左右交互に動かす変則速歩)なので山道も強いです。
 ラノベのようなので、良い所取りの馬でも勝手に作ってみては如何でしょうか。

 こんなものでしょうか、それが参考の程になればいいのですが、


海山京二さんからの返信

 こんにちは。

>逢雄さん
 北方三国志は、読もう読もうと思いつつ手を出してなかったので、この機会に読んでみます。
 結局はどつきあい、確かにw
 どうもありがとうございました。

>紫陽さん
 なるほど、日本の戦国時代はそうだったんですね。
 アドバイスも参考になりました。
 得物については深く考えてなかったな……;
 馬の種類についても調べてみることにします。
 ありがとうございました。

補足:
 えーと、想定しているのは大陸の遊牧・狩猟騎馬民族でして、
 匈奴とかテュルクとかキタイとかモンゴルとか……彼らも降りて戦ったんでしょうか?
 少なくとも、騎射は漢民族の驚異になったらしいので、
 実在の戦法だと思われますけども……白兵戦は……?


ヘイグストロームさんからの意見

 こんにちは。まず、白兵戦なんてものはありませんでした。
 騎兵には二つの特長――機動性と打撃力――がありますが、
 遊牧民族は軽装騎兵なので機動力一辺倒です。


 そもそも遊牧民族というのは旗色が悪くなるとすぐに崩れるタイプが多いので、
 基本的にはどちらが先に相手の陣形を崩すか、ということになります。
 つまり、お互い小集団に分かれて散開し、矢か投槍の投擲によって攻撃しあったのです。
(例外としてパルティアの重騎兵がありますが、これは遊牧民族による征服国家で、
 かなり遊牧色が薄いですから、除外してもいいでしょう)。
 
 参考資料としては、『元朝秘史』 をお勧めします。
 チンギス・ハンの一代記なんですが、当時の戦法を知るうえでかなり役に立つと思います。
 ただし、チンギスハンが美化されすぎているきらいはありますが……
 あ、それと「匈奴列伝」もいいですよ。
 「趙世家」の武霊王編、あるいは「李将軍列伝」なんかも。


クロウドさんからの意見

 横やりで失礼します。古流使いのクロウドです。

> 馬上では、通常手綱を持っていなければ馬を操れないので、槍は両手を使わなければいけなく、
 馬首が邪魔になるので、良い得物とは言えません。


 よく調教された馬や本当にウマが合った人馬であれば、手綱はほとんどお飾りです。
 現在の馬術でも足による指示が最も重要とされており、
 私は先生に『止まる時と難しい軌道以外で手綱を裁くな』と教えられましたものです。

 
 実際、一番ウマが合った馬なら、普通に散歩する分には手綱を放しても大丈夫でしたし、
 よく調教された馬で馬上体操(手綱を握らずバランスと馬との信頼関係を養う体操)しても
 危険な事はありませんでした。
 馬上の槍は基本片脇に抱きしめた状態で、突撃からの刺突を繰りだして離脱です。
 洋の東西を問わず、弓以外の馬上の武器としてはかなり有用とされていました。

> 太刀は利き手側でしか、使えず反対側が無防備になります。
 それに振り下ろすと自分の足や馬を切る恐れがあるので、結果薙ぐしか選択がありません。

 元々馬上の太刀は叩き斬るよりも、刃をあてがった後に馬の機動力で勢い撫で斬る物です。

 自身や馬を斬るような武術下手な人間は騎馬兵の資格はなかったですよ。
 それと、地上戦であっても攻撃する側の反対が無防備になるのも、その隙を奪い合うのも同じですよ。

> それに、一騎打ちなら山岳地や勾配のあるところでは、下をとった方が有利になったりする様です。
 馬は登りに強く、降りに弱いそうなので。現在の外来種のことですが。


 外来種でありサラブレッドの原種であるアラブ種での下り坂は、
 非常に安定して問題となるものではありませんでしたよ。

> 次に馬を使うのなら、日本やモンゴル、中国、朝鮮半島の日本在来種系の小・中型の馬より、
 外来種の方が大きく得物を扱うには其方の方がまだ良いかと。


 アラブ種もペルシュロンも日本在来種より一回り程度大きいくらいです。
 現在の背が高い馬は競馬や荷馬(馬車馬)として改良されたもので、
 前者は足のもろさと体力、後者はパワーの反面足が遅く騎乗して足の指示が効きにくい弱点があります。
 また高さ故に獲物が長く重くなります。
 騎乗する人間の体格次第によっては騎馬兵の優位点がなくなります。

> ですが、日本在来種は比較的温厚でハミが必要なく、
 「側対歩」(前後の肢を片側ずつ左右交互に動かす変則速歩)なので山道も強いです。


 在来種でもハミが不要というわけではありませんよ。
 側対歩は体力の消費が少ないだけで、山道に強いわけではありません。
 これはアイスバーンでは四駆が安全という間違った神話に似ております。

 ここからはスレ主への返信です。

 騎馬は突撃や機動戦で用いられた模様。
 馬を動かせない乱戦となった場合に限っては、やはり降りたそうです。
 当時の東洋人の身長で東洋の馬に乗ると、頭一つ二つ分高くなる程度です。
 とはいえ、高さ(地の利)と移動力(人の利)となり、斬撃戦は十分に行えましたので、ご安心を。

 ちなみに。古流武術の中には徒歩兵対騎馬兵の技術が残っているところもあるそうです。
 馬を殺さずに人を殺すとはどんなものか気になるところではありますが。

 参考になりそうなのは……ヨーロッパが舞台の映画ですが「ROCK YOU!」しか思い出せませんでした。
 ググってみてください。

 それでは、失礼致しました。


海山京二さんからの返信
>ヘイグストロームさん
>まず、白兵戦なんてものはありませんでした。

 そおぉだったのかーッ!(落ち着け
 あれ、でも女真の八旗兵が槍を構えている絵が資料集に載ってましたが……
 彼らは遊牧民族というよりは狩猟民族としての性格のが強いですけども。

 匈奴列伝は読みましたー。
 特に中華思想に染まりすぎることもなく客観性が高く、司馬遷さんは偉大だなと思いました、はい。
 元朝秘史は……直で読むのはちょっとなあ、と。
 杉山先生あたりが解説書を出してないものか……。とりあえず探してみます。
 返信ありがとうございました。

>クロウドさん
>突撃

 いわゆるランスチャージというやつですかね?
 ポーランド騎兵がドイツ戦車をフルボッコにしたという伝説が出来てしまった、あの……。

 映画も気になるので近所のツタヤにあれば見てみます。
 返信ありがとうございました。


越後屋さんからの意見

 異能バトル並・・・なのかどうかはわかりませんが、
 田中芳樹氏の「アルスラーン戦記」や
 他の方が言っている「三国志」を参考にしてみてはどうでしょう?
 アルスラーンは、ながーーーーーーーーーい(苦笑)時間をかけて
 刊行してる戦記ものですし、参考になる・・・ハズです。


ヘイグストロームさんからの意見

 説明不足でしたね。
 ええ、女真や後のオスマン騎兵、あるいはパルティアの騎兵は重装備です。
 しかし、あれらは騎士のように一騎打ちを行うのではなくて、集団で突撃するための武器でした。
 いわば「馬に乗った重装歩兵」なんですよ。マケドニアのヘロイタイなんかがいい例ですね。
 
 あと、参考資料としてヘロドトスの「歴史」あるいはタキトゥスの「ゲルマーニア」なんかありますが……
 ちょっと違いますかね。


冬雪さんからの意見

 どうも、ヨーロッパ中世時代の騎士同士の戦いは結構好きです。

 なので、お勧めは富士見ファンタジア文庫で出されている『火の国、風の国物語』 がいいですよ。
 何巻か忘れましたが、主人公と仲間が馬に乗って戦うシーンがいくつもあります。

 他には騎馬という意味では、「ゆらゆらと揺れる海の彼方」電撃文庫もお勧めです。
 馬ではないのですが、基本、敵味方の両方がラグナという生き物に乗って戦います。

 以上、参考になる作品の紹介でした。


サイ・アキラさんからの意見
 どうも、友人に自称戦史研究家がいるサイ・アキラです。
 ここからは西洋の騎兵戦術に限定して説明します。
 あくまで人づてなのでネット、映画や書籍を併用してください。

 ヘレニズム時代から騎兵は機動戦力として運用されました。
 主な騎兵戦術は突撃と追撃です。


 前者の騎馬突撃の要点は、騎乗戦闘能力を有する統率された集団が、
 騎馬の高速移動能力を利用して敵陣を突き抜けるということです。
 これを行うことによって敵陣を混乱させ、敵の戦力を減衰することができます。
 最も重要なことは統率と高速移動能力で、これが失われたら騎馬突撃の意味はほとんどなくなります。
 後者は言うまでもなく騎馬の高速移動能力を利用したものです。
 
 一般的な戦術は、歩兵隊が敵の動きを拘束し、陣形の乱れにつけこむ形で騎馬突撃は行われます。
 しかしプライドの高い中世騎士などは歩兵隊の働きを嘲り、
 しばしば騎兵単体で突撃を行い手痛い敗北を喫しています。

 また我々のイメージする騎士の姿ですが、
 十字軍の頃は鎖帷子とノルマンヘルムで10kgと軽いものでした。
 しかし、武器の強化に伴い外付けのプレートが付けられて次第に重量が増していきます。
 百年戦争期には鎖帷子の上にほぼ全身を覆う総重量 40kgあまりの代物になります。
 しかし後期になるにつれて体に完全にフィットし、
 重量も20kgあまりのものになり非常に戦いやすいものになります。


 で、小説としてはやはり集団戦でしょう。
 しかしその前に映画を見て、戦闘の雰囲気や時代の空気を感じておく必要があります。
 三人称で突撃する騎兵を描くなら、騎馬隊に雨のように降り注ぐ矢を描いたり、
 一人称ならアドレナリンで興奮状態の中、皆に必死についていきながら槍で殺す様を描いたり。

 騎兵の武器は古代ならばスパタや槍(投槍としても使えるやつ)。
 中世以降は騎士槍(ニームネザやランス)やロングソードといった所でしす。

 しかし小説を書く以上モチーフとする時代の歴史や文化に精通しておく必要があります。
 それがなければ現代的な冷笑物の作品になり下がることは確実です。


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