第4研究室 創作に関するQ&A 556P | トップへ戻る |
リンチェさんからの質問
 大学生が主人公のライトノベルはなぜ少ないのか?

 先日、別の掲示板で、「大学生が主人公のライトノベルはなぜ少ないのか」という話題を目にしました。
 主人公が大学生なら、一人暮らしであっても不自然ではないし、
 車や酒といったアイテムだって普通に登場させられる。
 話を作る上でのメリットがたくさんあるのに、
 大学生が主人公という作品はさほど多くないのはおかしいというのがそこでの話題の主旨でした。

 考えてみれば、ライトノベルの主人公は高校生であることが多く、
 大学生が主人公という作品は、ない訳ではありませんが、さほど多いとは思いません。
 そして、少ないのなら、自分で書いてしまおうという考えに至りました。

 さて、書く前に皆様の意見をお伺いしたく、このスレッドを立てさせていただきました。

 質問は以下の2つです。
1、なぜ大学生が主人公の話は少ないのか。大学生を主人公にするデメリットは何か。
2、大学生が主人公の小説で、皆様が面白いと思ったものは何か。

 皆様、ご意見よろしくお願いします。


●答え●

 古来より人々に支持されてきた王道的な物語とは、
 未熟な少年が、試練を乗り越えて、強い大人へと生まれ変わる成長過程を描いたものです。


 例えば、ケルト神話の英雄ク・フーリンは、フォーガル領主の娘エマーに恋をしました。
 ク・フーリンはアルスターの王子であり、「クラウンの猛犬」と呼ばれるほどの猛者でしたが、
 エマーは、もっと強い男になって欲しいと言って、彼の愛に応えてくれませんでした。
 エマーの父は、ク・フーリンに「影の国にいる魔女スカサハの元で、修行してきてはどうだろうか?
 そうすれば、娘も君を認めるに違いない」と、勧めました。
 影の国は、危険な魔物や自然の脅威に溢れた秘境です。
 エマーの父は、ク・フーリンを嫌っており、影の国に彼を向かわせて死なせてしまおうと考えたのです。
 
 しかし、ク・フーリンは見事、数々の試練を突破して、スカサハの城にまでたどり着き、
 彼女に大いに気に入られて、魔術や武術を教えてもらいます。
 修行の途中、スカサハと対立する最強の戦士アイフェとの戦争に巻き込まれるも、
 アイフェを一騎打ちで打ち倒し、勝利します。
 そして、スカサハが作り上げた魔槍ゲイ・ボルグを餞別にもらって、帰国します。
 この槍は、投擲武器でありながら、非常に大きくて重く、
 魔女に鍛え上げられたク・フーリン以外には扱えぬものでした。
 こうして一流の戦士となったク・フーリンは、エマーと結婚したのでした。

 強い男に成長して、愛する女性と結ばれる。

 という物語のパターンは、古今東西のあらゆる神話、英雄物語に共通しています。
 ギリシャ神話のペルセウス、日本神話のスサノウなども、まったく同じパターンです。
 民族の壁を越えて、人々に普遍的に支持される物語の構造なのですね。

 大人へと変化するために通過する試練、恋愛の過程こそ、
 人生の中で、もっともドラマチックな激動の時期なのです。
 はっきり言って、その後の人生はあんまりおもしろくありません。


 シンデレラも、不幸な少女が王子と結婚するまでの過程がおもしろいのであって、
 結婚後の生活など描いたら……夢が壊れてしまうでしょう。

 絶頂を極めたかに見える神話の英雄も、やがて、女性絡みのトラブルなどが原因で死んでいくのですが、
 この過程にスポットを当てるのは、鬱になります。
 爽快感を重視するライトノベルなどでは、衰退し、滅び行く過程などは、あまり歓迎されないでしょう。
 
 このため、物語の主人公とは、まだ未熟な少年であることが望ましいのです。
 試練を突破し、愛する者と結ばれて大団円となります。


 大学生は18歳以上であり、社会的に大人として扱われる時期です。
 結婚も可能になり、車の免許も取れるし、二十歳を過ぎれば、お酒や煙草も解禁になります。
 この時期にスポットを当てるより、それより一歩手前、子供と大人の境界線上にある
 高校生くらいの段階が、成長過程を描くのに、もっとも適していると言えます。


聖さんからの意見
 どうも。
 ライトノベルの主人公に大学生が少ない理由ですか……。
 簡単ですね。今年、大学生になったばかりの私は即答できますよ。

 そもそも、ライトノベルって中高生を対象として書かれた作品のことじゃないですか。
 何故、そこに大学生が入らないかと言うと、
 大学生と中高生というのは住んでる世界がまるで違うんです。

 一人暮らしも違和感なくて酒も煙草も当たり前で車も運転できる。
 作家が書く上で自由度はかなり上がりますが、

 そんな生活に現役の中高生が共感できますか?


 私ならできません。
 一昔前の私は大学生が主人公の作品を読んでも、ゼミとか飲み会とか……さっぱりでした。
 何となく大まかな理解できても、共感はできないんですよね。
 車乗り回して、酒飲んでるなんて、ほとんど大人と大差ない生活ですよ。
 小学生から中学生、中学生から高校生への変化と比べたら革命ですね。
 
 だから、ライトノベルは大学生の手前でラインを引いている。
 
 そういう事情です。
 きっと、大学生でもライトノベルを読んでいる方は、沢山いらっしゃると思いますが、
 メインのターゲットがついて来れなくなるのは本末転倒ですから。

 ……大学生が主人公の面白い作品は、ちょっと浮かばないですね。
 ごめんなさい。
 (-_-;)


遊美心さんからの意見
 こんばんは、遊美心です。私もしばしば、大学生を使うのはどうかなと考えることがあります。

> 1、なぜ大学生が主人公の話は少ないのか。大学生を主人公にするデメリットは何か。

 何となく考えれば、やはり共感できないという当たりじゃないですかね。

 あと、説明したつもりでも、実は説明が伝わらない、という可能性もあります。
 それは、単語に付随するイメージが湧いてこないのが理由です。
 

 例えば、
 学食のイメージ=大きい、ひしめき合っている、複数ある、メニューが多い、まずい、
 ヘルシーなもの、がっつり系なもの。
 講義のイメージ=必ず五分遅れで始まる、出席が不要、レポートが多い、後ろの席に人が多い。
 飲み会=一気が普通、暴れる人がいる、顔の青くなる人がいる。

 とこのような印象や風景を連想されないので、状況の説明に行数を使う必要が出てくるかと思います。
 
> 2、大学生が主人公の小説で、皆様が面白いと思ったものは何か。
 「月と貴女に花束を」
 電撃から出ている少し古い小説です。
 主人公は獣医学部の大学生。人狼と変化できない主人公の心温まる話です。
 一巻では大学内での描写はほとんどないです。主人公が大学生である必要は大して無いと思います。

 私の考えとしては、大学内の出来事を少なくすれば、さほどデメリットは無いと思います。
 
 サークルや大規模の文化祭や、人の多さ、大学特有の施設、金使い、酒たばこ、車、バイトなど、
 大学生だからこその部分(大学と言うより、年齢的に)は効果があるかと思います。
 


ニクニックさんからの意見
 入賞作では、主人公が大人でも、編集部の都合で高校生に変えられることがあるみたいですよ。

 どの作家さんが言っていたか忘れましたが、
 どっかの受賞者インタビューでそう答えていたのを見たことがあります。


二階堂さんからの意見
 他の方もおっしゃっているように、共感できるか否かが当然一番大きな壁ですね。
 ライトノベルも最近は大学生〜社会人でも読む人は大勢いるわけですが、
 
 実際そういう人もどちらかというと中学生活高校生活に憧れていたりする場合が多いので、
 中学生高校生を主人公にしておけば、まぁ間違いなかろうということなのでしょう。


 他にも作品によっては、主人公の心の葛藤というものが非常に大事になってきます。
 メインテーマになるような成長だったり苦悩というものは、
 大学生よりも中高生のほうが描きやすいですね。子供が大人に変わる時って感じですから。

 大学生を題材に扱うのであれば、
 何故大学生でなければならないのか相当考えなければなりません。


 一人暮らししてても自然だから、程度であれば、そのくらいなら高校生でもよくね?
 と編集に思われてオシマイですからね。大学生独自のモノが必要になってきます。
 それを描けるのであれば私はアリだと思います。
 そもそも軍人や武士に共感できて大学生には共感できないなんてないでしょうから。


>2、大学生が主人公の小説で、皆様が面白いと思ったものは何か。
 面白いと思ったモノは「ノルウェイの森」でしょうか。40近い主人公の昔話とも言えますが。
 学生運動とか熱いですよね、今じゃもう流行らないでしょうけど。


迢空さんからの意見
 大学生は高校生に比べて生活上の制約が少ないので、
 ラノベのターゲット層から見ればリア充と一緒、共感からはほど遠い人たちでしょう。
 また現実で制限・抑圧されているからこそ、虚構で弾けられることに喜びを感じるので、
 主人公が大学生だとその落差も楽しみにくい。


 そもそも中高生の社会性は「繊細な自分」と「感性の鈍化した連中」の区別程度なので、
 他ポジションに向けられるのは無関心か敵意だけでは。

 大学生が主人公の小説でおもしろいと思った物は、幾つかあるけど、
 中高生が読んでおもしろいのは思い当たらず、あったとしても設定上だけの大学生ですね。
 大学生自身のテーマは「期限付きの果てしない自由の中で何をするか」「己の力量次第」
 という側面が濃くなるので、現実世界と自身の模索とか探求、てな感じになっていくと思います。

 それが作品になるとすれば「その時、何を見て、何を得たか、そして失ったか」
 という振り返り系なものになりがちだと思います。つまりだいたい大人向けってことに。

 もし大学生を書きたいなら、海外やファンタジー世界を舞台にする等の
 「日本における自由気ままな大学生のイメージ」から離れるのがいいかもしれませんね。


 書いてて思い出したんですが、私は高校のとき『猿丸幻視行』という本を読んで、面白と思いましたっけ。
 古い一般小説なんですけど、内容はラノベっぽいなと思いました。
 主人公は文学部の院生という設定で、専門分野の知識欲と多額なバイト代に釣られて、
 製薬会社の新薬の実験台やるんです。
 脳内で時間旅行して、明治時代の人物(←専攻分野の人)に意識憑依して、
 歴史資料の謎解きにかかる、という内容でした。
 
 キャラがどうのという話でもないし、後半グダグダでしたが、
 謎パートが良好だったので、大学生の面白さを感じました。
 この作品の成功ポイントは、冒頭のラノベ的アプローチ、
 謎解き資料が「高校の教科書にも出てくるじゃん」と
 「難しいけど、専門家でない自分でもわかりそうな気がしてしまう」ことだったと思います。

 以上でございます。


毛玉さんからの意見
 初めまして、毛玉と申します。
 回答を

>1
 ライトノベルの読者層に中学生、高校生が多いから

>2
 NHKにようこそ!

 です。是非。
 頑張って下さい!
 では。


FNさんからの意見
> 1、なぜ大学生が主人公の話は少ないのか。大学生を主人公にするデメリットは何か。

 ラノベでしてるような日常を素でやってるからです。

 お話の中ならハチャメチャで楽しい日常ですけど、
 実際にやるとカオスとしか言いようがありません。
 
 あと、お酒と言うアイテムには漏れなくゲロが付いてくるのも重要。


V'Xさんからの意見
 出現率極少のV’Xです。

1:確かに中高生向けではありますが、大学生もかなり読む人は読んでますよ。
 だから、対象年齢の問題だけじゃないと思いますよ。
 大学が出てくる話でも、そんなに抵抗は感じませんでした。
 それに中高生(特に高校生)って大学生活に憧れてる人もいますしね。

2:有名所だと『戯言シリーズ』は主人公は大学生ですし、大学の話も少ないながら出てはきますよ。
 『すべてがFになる』なんかも主人公大学生ですね。
(ラノベではない可能性と犀川教授が主人公の可能性あり)


沙羅 芥さんからの意見
 やっぱり、ライトノベルの読者は中学生〜高校生が多いからですかね。
 現役高校生として言わせて貰うと、仮に大学生活を題材にされると想像しにくいです。


2:『心霊探偵八雲』です。
 名前の通り幽霊を視ることができる大学生が主人公のミステリーです。
 大学生活は一切登場しないので、普通のミステリーとして読めます。


ニクニックさんからの意見
 一度レスしているのですが、今度はちょっと本格的に。

1、なぜ大学生が主人公の話は少ないのか。

 売り上げを取ることだけを考えれば、なに一つメリットが見えてこないからだと思います。

 作者の自己満足で見ればメリットは大きいと思いますので、
 書いている人は結構いるのではないかとも思っています。


 大学生を主人公にするデメリットは何か。

 中途半端に大人と見られるから共感できないのだと思います。

 例を挙げると、恋で悩む場合、
 高校生なら初々しさを感じられても、大学生ならただのへタレに見えてしまう。
 将来で悩む場合、大学はもうスタートラインに立っている状態に見えるので、
 悩んでもなにを今更と思えてしまう。

 ヒロインについて(個人的見解ですが)、
 女子高生と女子大生では響きからして違うものに感じてしまう。
(どうしても女子大生となるとお姉さんキャラしか連想できない)

 総括して言えることは、大学生は中高生からみて理想の一つであることから、
 未熟さを演出しても共感は得られず、自然と情けなく見えてしまうものだと思います。


 年齢でいえば若者でも、未成年と成人の差は大きいですしね。
 よって下手な葛藤シーンは入れられませんし、自ずと制限が大きくなってしまうのではないでしょうか?


>2、大学生が主人公の小説で、皆様が面白いと思ったものは何か。
 ラノベではお目にかかったことがありませんね。
 でも、漫画のげんしけんみたいなのがあれば面白いと思います。

 最後に私は以前、編集の都合で大人なのに高校生と変えさせられたという話をしました。
 そのときの編集の言葉が、

 筆者からは28は未熟な若者に見えるだろうが、
 高校生から見たらそうではないという観点から18歳に変えられたというものです。
 その筆者も読者視点に立てていなかったことを反省していました。

(GA文庫のHPで『無限のリンゲージ』という作者のインタビュー欄です)

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