ライトノベル作法研究所
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萌えを省いたラノベは売れるか?

 manybooksさんからの質問 2011年12月20日

 約2年ぶりの投稿になります。以前は「まさやん」と名乗っていましたが現在はmanybooksと改名しております。
 以後お見知りおきを。

 さて、質問なのですが、萌え要素をあまり取り入れず少年マンガのようなバトルを中心としたライトノベルは一般的に好まれるのでしょうか?
 昨今のラノベのほとんどは美少女キャラが表紙を飾っており、それがラノベの魅力の一つだと言ってもいいと思います。
 そういった萌え要素よりも「燃え」のほうを重視したラノベに需要はあるのか? それが気になります。

 小説の内容はひとまず置いておいて、そういうラノベがあったとしたら皆さんはどう思われますか?

●答え●

 マーケティング的な観点から言うと、萌えを省いたラノベは売れません。
 現在(2012年1月)、書店に並べられているライトノベル(男性向け)の表紙は、アニメ的な美少女が大きく描かれているものばかりです。

 ラノベの表紙がこのような形態になったのは、その方が売れると、出版社が判断したからです。
 人間の行動を支配している最も大きな衝動の一つが「性欲」であり、魅力的な異性を前面に出して、消費者の注意を惹き付けるというのは、ラノベに限らず、どのような業界においても行なわれています。

 特にラノベにおいてこれが顕著なのは、ラノベがオタク文化の小説部門であるためです。

 もし、ラノベの表紙のキャラクターが司馬遼太郎の小説「燃えよ剣」のような水墨画的なものであったら、これがオタク文化に属する物だとは一目見て思えず、時代小説ファンが間違って買ってしまい、クレームになるでしょう。

 上は、幕末に活躍した新撰組副局長、土方歳三を主人公にした時代小説「燃えよ剣」の表紙です。
 この表紙を見ただけで、内容が硬派な剣客物だと簡単にわかると思います。
 下は、MF文庫Jの『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』の表紙です。

 軟派なタイトルと萌え萌えの表紙で、「これはオタク文化小説部門のライトベルです!」と主張してくれています。これによってオタク文化を好む顧客層に、強く購読を訴求しているのです。

 そして、表紙がこのようなアニメ的なタッチで描かれた美少女キャラを全面に押し出した物であれば、当然、内容もそれに沿った物にせざるを得ません。もし萌え萌えな表紙で釣っておいて、内容が熱い男たちが拳で語り合う、女の子が話にまったく絡んでこないような物だったら、詐欺になってしまいます。

 ライトノベルはマーケティングの手法として、美少女キャラを全面に押し出した結果、内容もそれに見合うだけの萌えが求めらているのだと言えます。

Mr. エイプリルさんの意見

 まずは質問の回答から。

 「萌え」を前面に打ち出していなくても成功している作品はありますから、大丈夫でしょう。

 さて、ここで質問者さんの質問に対してひとつ疑問なんですが、「萌え」と「燃え」というのは両立しないものでしょうか?
 私は、作品における「萌え」というのは、魅力ある女性キャラがいるかどうかを表しているのだと考えます。
 つまり、どんなに数が少なくても、登場頻度が低くても、女性キャラが魅力的に描かれていれば、その作品には「萌え」があるということです。

 逆に、これでもかというほど可愛い女の子を出しても、彼女ら一人一人を魅力的に描けていなければ、その作品には「萌え」がないということになります。

 「萌え」というのは作品のスパイスです。それだけでは作品は成り立ちませんが、あれば作品はより魅力的になります。
 質問者さんがどんな作品をお描きになりたいのか分かりませんが、おそらく一人二人は女性キャラも出てくると思います。

 どんなに「燃え」が好きな読者でも、さすがに終始熱いばかりでは飽きてしまいます。
 そこに魅力的な女性キャラを一人入れて作品に「萌え」要素を加えることで、作品にメリハリが生まれより面白くなります。

 長々と失礼しました。

トータスさんの意見

 売れるかどうかは、判断し難いが、ラノベに限らなければ、それなりに、需要は有ると考える。
 純粋に、時代小説《幕末などを扱うモノ》が該当するかと思う。

 ラノベだと、如何しても年代が限られてきてしまう。
 段々と、上がりはするだろうが、まだまだという気も。

 有れば読む、気に入れば買う、そうとしか、今は答えられない。

シュプールさんの意見

 「萌え」の概念には二種類あり、一つはかわいい女の子などが出てくる作風、そしてもう一つは魅力的なキャラクターやシチュエーションなどに対する感情だと思います。

 つまり、女の子なんてあんまり出さないハードミリタリーの作品だったとしても、「上官と部下」の関係や、ムードメーカーのキャラクターに萌えるという事態もあり得ます。
 そもそも今では萌えキャラというのは、広義の魅力的なキャラクターを示す言葉にもなっています。

 つまり、萌え要素を積極的に取り入れなくてもいいかもしれませんが、広義の萌え、すなわち魅力的なキャラがいなければ当然厳しいと思います。

二階堂さんの意見

 2年ほど前までは私も「萌えのないラノベでも売れる」という意見を支持していました。
 しかし近年(2011/12/21)になってやはり状況が変わったように感じます。

 MF文庫の台頭もそうですが、売り上げでトップクラスの作品はどれも萌えがあります。
 萌え無しをやるなら敢えてラノベにこだわる必要性がないのでは、とすら思うようになってしまいました。

 出版できるかできないかで言えば出版はできると思います。
 しかし売れるか売れないかでいうと、まず、売れないような気がしてなりません。

金之助さんの意見

 はじめまして金之助です。
 私もラノベ書き初心者ながらご返答させていただきます。

 「萌え」というのは必要、というより作者が意図せずとも無意識の内に入ってしまうものだと思います。
 というのも、私は「萌え」というのは個人の感覚で決まるものだと思っているからです。

 たとえば気さくでコミカル、だけどおっちょこちょいの男性キャラが存在したとして、manybooksさんこのキャラに対しどういう気持ちを抱きますか?
 「萌え」「なんとも思わない」「ウザい」・・・色々選択肢はあると思います。
 私もよく「萌え」キャラと言われているキャラに全く「萌え」を感じなかったり、逆にあまり「萌え」キャラと言われていないキャラに「萌え」を感じたりします。

 私は「萌え」というものはあくまで個人の主観であって、万人に通ずるものではないと感じています。

 また、ラノベではないのですが「萌え」という言葉自体が存在しなかった80~90年代のロボットアニメも、一部はDVDBOX化されて最近の人からも見られるようになっています。
 そのアニメの視聴者からの感想などを聞くと、大きなロボットや屈強な兵士にも、視聴者が「萌えた」という感想を抱いていることが結構あります。(主に女性ファンが多いですが)
 ごついロボットや兵士にも、やはりどこか「萌え」に通ずるものがあるんでしょう。

 だからといって完全に少年マンガのノリの「燃え」重視の作品で、それが今(2012年現在)のラノベ読者層に売れるかといったらNOだと思います。
 昔ならともかく、現在は、読者の年齢層、求められているもの、宣伝の環境、何もかもが違います。

 「燃え」重視の中に「萌え」という要素を入れる、とまではいかなくとも半分くらいの読者に「萌え」を感じさせる「何か」は最低限は必要だと思います。
(私の主観だと、ドジっ娘、敬語キャラ、小さいロボット等が当てはまります)

 現在はたとえ「萌え」を書く意図がなくとも「萌え」と言われてしまう傾向にあると思っています。
 なのであまり気にしなくとも、ムサい男ばっかりの作品とかを書かなければ大丈夫だと思います。

氷狼さんの意見

 スニーカーの「ムシウタ」を読んでみてはいかが。
 萌えが必要だという世界観変わりますよ。

飛車丸さんの意見

 ヒロインが美少女なんてのは、およそストーリー性を持つ創作において、神話の時代から今まで続いている王道なわけです。

 なので、作中で美少女を全く出さない「王道を外した展開」にするのなら、相当厳しいだろうなー、という程度ですね。

 で、表紙が美少女とか萌え絵とかどうとかは、出版社が作品の傾向を考えた上で決めることです。
 作家に出来るのは結局のところ、全力で面白い小説を書く、ということに尽きるかと。

道化童子さんの意見

 例えば、少年漫画のようなラノベということでしょうか。

 対象年齢が同じなので行けそうな気もするのですが、バトルやスポーツものは漫画という表現媒体が最適で、小説はどうしても劣ってしまいます。

 もちろん表現を工夫すれば何とかなるのかもしれませんが、少なくとも私はそれを自分でできるとは思えません。
 ですが、今ある物を表現するだけでは未来はありませんから、挑戦してみるのもいいかもしれませんね。

ひより。さんの意見

 萌え好きな人間の意見なんで偏りがあるかと思いますが、良ければ失礼します。

 個人的に昨今(2011/12/25)のラノベの風潮を見る限り『萌え抜き』の作品を書くことはかなりのディスアドバンテージになるんじゃないかな、と感じます。『はがない』にしても『Cキューブ』にしてもアニメ化の対象となっているのは萌えキャラを全面に押し出している作品ばかりですので、とてもその印象が強いです。

 ただ、作風によって『萌えをいれることによって、風味が落ちてしまう』作品は例外じゃないかな、とも思います。
 漫画ですがジャンプの『トリコ』や福本作品の『カイジ』や『アカギ』などは萌えがあったら逆につまらなくなるだろうな、って作品もありますよね。ラノベ市場でその理論が通用するかどうかは分かりませんが、個人的には面白ければそういう作品もアリかと思います。

 要は、極端に言ってしまえば作者の得意な作風と技量の問題でもあるように感じます。

 萌えが苦手なら無理に書く必要はないとも思いますしね。それ以外のスキルで他作品を圧倒できるなら、そちらを伸ばしたほうがいいとも思います。その場合、萌えは目の敵にするんじゃなくて『スパイス程度に入れる』くらいの感覚でいいんじゃないでしょうか。

 では、駄文失礼しました。

蒼菜さんの質問2013/07/29

 ども、こんばんはー。蒼菜と言います。初めましての方も多いかと思います。
 どうぞお見知りおきを。

 「萌え」ですか…。ひより。さんのおっしゃる通り、スパイス程度に考えておくのがいいかと思いますが、
 個人的には「とりあえずこれ入れときゃ売れるっしょ」な物と考えてます。
 「とりあえずツンデレ美少女入れときゃいいだろ」、「とりあえずブラコンの妹入れときゃいいだろ」…こんな具合です。
 手っ取り早いと思うんですよね、売る為には。
 もっとも、ラノベ読者は圧倒的にオタクが多いので、

「萌えの無いラノベなんてタコの入ってないタコ焼きみたいなもんじゃねぇかー!」

 てな方もいらっしゃるかと思いますが。
 「萌え」って難しいですよね。自分の「萌え」さえないので、自分の「萌え」を作品に練り込もうにも練り込めない。
 いや、もろもろの事情で精神状態がおかしなことになってて無感動になってるせいもあるかもしれませんが。
 参考になれば幸いです。お互い、頑張りましょう。では。

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