ライトノベル作法研究所
  1. トップ
  2. ライトノベルの書き方
  3. ラノベ新人賞攻略Q&A
  4. 文章公開日:2013/10/27

下読みによるラノベ新人賞攻略Q&Aまとめ

●文章について2

■質問2014/07/04
 ジジ様なりの「ライトノベル的な読みやすい文体」の定義やポイントについて、お聞かせいただけますと嬉しいです。
●ジジさんの回答
 あまりにも文語調、難解語や造語が盛り込まれている、文章まわしが抽象的すぎる、一文が妙に長い、これらが控えられていればまずは大丈夫かと思います。

■質問2014/04/02
 三人称単一視点で書いてはいるのですが、地の文に一人称視点が混じる文章を書いてしまいます。川上稔さんの「境界線上のホライゾン」有川浩さんの「図書館戦争」に影響を受けた結果だと思うのですが、問題ないでしょうか?
●ジジさんの回答
 三人称に一人称表現を混ぜるのは問題ありません。
●ダースドラゴンさんの回答(ラノベ作家志望)
 小説は「自由」なんです! どう書いても良いんです! 要は「読者に誤解なく伝わるか」だけ意識しておけばいいんです! のびのび書いてください! 僕はこの真理にたどり着くまでかなり回り道をしました! 
 現に、僕が過去、ラノベの新人賞に応募し、数ヶ月後返送されてきた評価シートに、文章表現に苦言を呈されていたことはあっても、人称に苦言を呈されていたことは一度もありません! 僕の尊敬するプロの一般文芸作家さんも言っていました。
 「人称なんてなんでもいい。語り口なんてなんでもいい。そんなことより話をおもしろくしろ」って。

■質問2014/04/02
 三人称のメリットとは何でしょうか?
●ジジさんの回答
・視点主という存在がいないので、一人称よりも多角的に広い範囲を描写できる。
・地の文を口語にしなくてもいいので、端的に状況を説明できる。

■質問2014/04/02
 ライトノベルと一般文芸の大きな違いの一つに、僕は〈地の文〉があると思っています。
 やはり、大抵の一般文芸の様な淡々とした地の文よりも、例えば〈涼宮ハルヒの憂鬱〉や〈俺の妹がこんなに可愛いわけがない〉などのような、口語が満載の地の文の方が審査する方には好まれるのでしょうか。
●ジジさんの回答
 特にそのような傾向はありません。
 ただ、一人称はすべての情報が視点主(ほとんどの場合は主人公)というフィルターを通す分、視点主の個性が出しやすいですし、なによりも中高生読者が苦手とする説明文をセリフ調でソフトに伝えられるのでとっつきやすいというのは確かにあるかと。
 三人称のメリットを正しく生かせていれば正しく評価されますので、無理に一人称を使う必要はありません。

■質問2014/03/29
 仮に女性主人公を書くとしたら、で相方の男性主人公の目線で書くというのはアリでしょうか?
●ジジさんの回答
 谷川流氏の『涼宮ハルヒの憂鬱』(2003/6刊行)がまさにそのパターンですね。キョンという男子キャラの目からハルヒを語りあげるという。
 実はこの方式、応募作ではほぼ見かけないパターンです。
 資料になりそうな近年作ですと、ある男の魂を持つ銃がマスターである少女ガンマンの姿を語っていくという茜屋まつり氏の『アリス・リローテッド』 (2013/2/9刊行) がありますね。

 ハルヒやアリスと差別化できるオリジナリティが発揮できれば、まだまだ開拓の余地が大きいジャンルだと思いますので、挑む価値はあるかと思います。

■質問2014/03/29
 上の方法をとる場合、三人称一視点(男性主人公の視点)より、男性主人公の一人称の方がおすすめでしょうか?
●ジジさんの回答
 ハルヒもアリスも一人称を採用した作品です。
 ですので三人称で構成できるとかなり期待値は上がりますね。
 ただ、一人称の利点である「視点主の心情をセリフ化した地の文章で行える」が使えなくなりますので、三人称で効果が出しにくいようなら一人称で。

■質問2014/03/29
 短編を書き出したんですが、会話と呼べるようなものが一切ありません。こうゆう作品は、どうゆう評価になるのでしょうか?
●ジジさんの回答
 会話文が評価されやすいのは「おもしろい感じ」を筆頭にした作品の雰囲気や味が出しやすいことからです。
 説明という要素をどうしても含まざるを得ない地の文章だけで魅力を出すのがそれだけ難しいとも言い換えられますね。
 だからこそセリフに頼らず雰囲気や味を匂わせることができるなら、それはもう評価するしかありません。
 ただ、賞の関係から述べるなら、ラノベの場合は猛烈におもしろくないと編集側が評価しにくい(セリフがないというだけで中高生が食いつかないのではないかと恐れてしまう)可能性が多々ありますので、ヤングアダルトか一般文芸の層を狙うのが無難かとも思います。

■質問2014/03/29
 台詞回しや地の文の固さは、選考の際の大きな減点要素になるのでしょうか?
●ジジさんの回答
 なります。
 賞にはもちろん言葉づかいや文章に対するチェック項目があるのですが、それ以上に古さというものは審査側に大きなマイナス印象を与えます。
 コメディなら致命傷、シリアスでも大幅減点になりますので、ご自身が書かれてるジャンルの近年のヒット作を複数読み、傾向をつかむべきです。

■質問2014/03/28
 具体的に、ライトノベルにおける固くない文章やセリフとはどのようなものでしょうか?
●ジジさんの回答
 これは書き手それぞれの持ち味があることですので、あくまでも一例にすぎませんが、一人称ならとにかく文語調にしないこと(たとえば中学生男子に「~しているんだからな」などという、今時ありえない文語調セリフをしゃべらせない等)。
 三人称でも1/3くらいは一人称を混ぜて書くくらいの気持ちで、「~である」などの論文調をなるべく使わないこと。主人公の感情描写などでは、普通の描写文にセリフ調の文章をくっつけてもいいですね(たとえば、【○○は●●だと思った。なんだよこれ、わけわかんない。】のような感じで)。
 文章の固さは「文章」を書くことで生じることが多いです。そのようなときは、地の文章もある程度「セリフ化」してみるとよいかと思います。
 また、この言葉づかいは、現実社会よりもラノベ社会における今時の言葉づかいを指しているので、最新のラノベを資料にして考えてみるのがよいかと思います。

■質問2014/03/26
 章ごとに、又は場面ごとに主人公の一人称と三人称が切り替わる作品は、評価の上でマイナスになりますでしょうか。
●ジジさんの回答
 それだけでマイナスにはなりません。
 ただ、経験から言えば視点切り替えの応募作を一次から上げられたことがありません。
 これは視点切り替え・視点移動というものが「技術」で成り立つ手法だからです。
 極端な話、「おもしろさ」を測る一次審査に「うまさ」を測るための追加審査が加わるわけですから、それだけ審査の目が厳しくなるわけです。

■質問2014/03/26
 文章について苦心しているのですが、やはり文章が綺麗だな、と思う方はいらっしゃいますか?
●ジジさんの回答
 います。
 ただ「おもしろい」と「うまい」は両立しないことが多々ありますので、綺麗な文章を目ざすよりもおもしろい設定を考えることを優先するべきです。ラノベの正義は「おもしろさ」ですので。

●ジジさんのコラム2014/01/10
 「描写」と「説明」のプラス面マイナス面を、あえて私的解釈で言い切ってみるとすれば以下のようになります。
 説明文はおもしろくないですが、端的に物事を伝える分、読者に内容を不足なく理解させることができ、さらにスピード感やリアリティなどの重厚感が出せます。
 描写文は読者の心情に訴えかけ、想像や感動の幅を広げますが、文章が伝えるべき意味を薄めたり曲げてしまったりするため、冗長になりがちな面も持ちます。
 選考において「文章がうまい」と言われる人は描写がうまい人ですし、説明がうまい人は「読みやすい」と言われます。重心をどう取るかはひとつの肝になるかと思われます。

■質問2013/10
 読んでいて苦痛になる書き方などがあれば教えて欲しいです。
●ジジさんの回答
 普通に日本語がおかしいものは読みにくいし、まあまずおもしろくないですね。
 頭のいい人の定義と同じで、いい書き手というのは誰にでもわかる言葉でおもしろく書ける人だからです。味つけとして独自の表現を使うなら、ところどころにちょっとずつ、がいいでしょう。

次のページへ >> 文章について3

携帯版サイト・QRコード

QRコード

 当サイトはおもしろいライトノベルの書き方をみんなで考え、研究する場です。
 相談、質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。